意思伝達装置「ニューロコミュニケーター」の可能性

 2010年3月末、産業技術総合研究所は、脳波を読み取ることで意思の伝達を可能にする装置 「ニューロコミュニケーター」を開発しました。この装置はALSなどの疾患で、発話や書字が困難な 重度運動障害の自立支援を目的に開発されました。


 この「ニューロコミュニケーター」は、脳と機械を結びつけるブレイン=マイインターフェース (BMI)と呼ばれる機器の一種で、利用者は頭部に超小型のモバイル脳波計を装着し、 パソコン画面に映し出されるメッセージの選択を、3階層にわたって連続で行う事で自分の意思を 伝えることができます。


 利用者が、画面を見ていて「おやっ」と思った時にP300という特有の脳波が出ていて、 この「ニューロコミュニケーター」は、このP300を検出することで、利用者がどの絵文字を 選んだかを判断する事が出来ます。


 条件が良いと、1つ選ぶのに2〜3秒しかかからず、しかも、その精度は95%以上だそうです。 具体的には、パソコンの画面に8種類の事象が単純な絵文字(ピクトグラム)で表示されます。


 まず第1階層では「移動する」「気持ち」など大きなカテゴリーを示す8種類の絵文字から選択をします。 利用者がその中から「飲食する」を選ぶと、第2階層では「食べる」「飲む」「味」など、 飲食に関する8種類の絵文字が表示されます。この中から「飲み物」を選ぶと、第3階層では「ジュース」 「お茶」などの飲み物の種類が示され、「水」を選べば、「水を飲みたいです」というメッセージが作られます。


 現在、この様な組み合わせで、8の3乗にあたる最大512通りもの意思表示が可能になりました。 また、作られたメッセージは、利用者の分身となるCGキャラクター(アバター)がクチパクアニメと共に 人工音声によって表出されるので、臨場感のあるコミュニケーションをとることができるそうです。


 装置の大きさは、縦3.3cm、横5.5cm、厚さ1.5cm、重量24.2gと軽量で、世界最小レベルだそうです。 開発担当している研究グループ長の長谷川良平博士は、「これから開発すべきことは山ほどありますが、 たくさんの人が期待してくれているので頑張って2〜3年後には、パソコンを除いて10万円以内で手に入り、 かつ簡単に楽しく使えるような装置にしたいと思っています」と、語られています。 製品化が待ち遠しい、そんな装置です。詳細は、産業技術総合研究所のHPをご覧ください。

意思伝達装置「ニューロコミュニケーター」



もどる