災害時の対応について

四日市での避難訓練を終えて

山中賢治

 今回は訓練内容の報告を含めて、災害時の対応についてのマルサ宅配便です。
去る11月2日(日)、16日(日)、30日(日)に四日市の患者さんの避難訓練を行いました。1995年1月17日に阪神・淡路大震災が、そして2004年10月23日に新潟県中越地震が起きたのは、皆さんの記憶に新しいことと思います。また、東海・東南海・南海地震は、100〜150年周期で繰り返し発生しており、今世紀前半には必ず起きるといわれています。特に、東海地震は、1845年(安政東南海地震)以降、150年以上地震が発生していないため、いつ発生してもおかしくない状況です。
 
 みえalsの会では、かねてより大規模災害時に備えて「災害対応マニュアル」の作成を行ってきています。このマニュアルは特に在宅で療養されている人工呼吸器のついた患者さんを対象としたものです。県の保健師さんにも協力していただき、聞き取り調査を行い、マニュアルの完成を急いでいるところです。
 
今回の会報にもその概要を掲載していますので、ご覧下さい。
 
 「災害対応マニュアル」に沿って、緊急時の対応を復習しておいたり、緊急時の持ち出し品を点検して準備しておくことは、とても重要で、いざという時に慌てないためにも必要です。皆さんも非常時の持ち出し品などを揃えてバックに詰めておくなどの対策を行ってください。
 
 大規模災害時には、電柱や架線の点検のため少なくとも3日間は送電がストップするといわれています。日頃、皆さんが使用している数多くの器機は電気を必要とします。人工呼吸器、吸引器(吸痰用)、低圧持続吸引器(唾液用)、電動ベッド、エアマット、パソコン、移動用のリフトなど、全て電気で動いています。中でも人工呼吸器は皆さんの命に直結していますから、いざという時のために、非常用の外部バッテリーや発電機を準備しておいてください。
 
 さて災害時の準備や心構えが出来たとしても、いざ避難となった際にALSの患者さんの皆さんは、ご自身やご家族だけで移動し、避難するのは困難な状況と思われます。ベッドから車椅子に移動する場合、頭部と気管切開チューブの確保に1名、身体を支えるのに上半身と下半身で2名、人工呼吸器を持つ(アンビューバックを押す)のに1名で、合計4名は必要と思われます。ですから、災害時にはご近所の協力が必要になってきます。日頃からの隣近所とのお付き合いが大切だと思います。県では、災害時に支援を必要とする難病患者さんのリストが作成されており、市町の自治体にも同様のリストが作られ、自治会や自主防災組織などにもリストが伝えられています。しかし、神戸や新潟での教訓ですが、震災時にはリストでしか見た事がない患者さんは救出が遅れ、一方、避難訓練などで顔を合わせてあった患者さんは、“あの人大丈夫かな?”と、皆が気付き救出が早かったといい、避難訓練の重要性が言われています。
 
 そこで、四日市では、私が在宅で受け持っている3名の患者さんを対象に避難訓練を行いました。今回の訓練では、患者さん自身も参加して実際に避難所までの避難訓練を行うことにより、近隣住民の方々に避難支援の方法について認識を深めていただき、円滑な避難支援ができるようにすることともに、患者さんご家族にも、災害時の備えについての認識を深めていただくことを目的としました。
 
以下の団体に参加協力して頂きました。
 
 三重県 健康福祉部 健康づくり室 地域保健グループ
 四日市市保健所 保健予防課
 四日市市役所 防災対策課
 四日市消防本部 南消防署
 四郷連合自治会、高花平連合自治会、西日野連合自治会、内部連合自治会
 フジレスピロニクス
 四日市医師会訪問看護ステーション
 訪問看護ステーションあすか
 すずらん福祉会
 
次の様な流れで訓練を行いました。
 
1)避難所となる体育館に関係者が集合。
2)体育館で移動方法・注意点等について講義をおこない、役割分担の確認。
3)アンビューバックの体験。
 (ダミー人形を使って実際にバックを押してもらいました)
4)ダミー人形を使ってベッドから車椅子への移動の練習。
5)体育館での講義終了後、患者さんのお宅へ移動。
4)避難時の物品確認。
5)役割分担どおり配置し、ベットから車椅子へ移乗。
6)避難所までの移動、途中、道路などの注意箇所の確認。
7)お宅へ戻り、車椅子からベッドへ移動。
8)参加者による反省会。
 
 2日には45名、16日には43名、30日には20名の参加がありました。
避難訓練を終えての私の感想ですが、訓練に参加して頂いた近隣の方々が非常に真剣に取り組まれていたことが印象的でした。いざとなったら自分達の力で何とかしなきゃ!という、強い意気込みがひしひしと伝わってきました。また、訓練を受入れて下さった患者さんとご家族に対しての感謝の言葉が多く聞かれました。災害時に、いかに人を集めるか、そのための“声かけ”が重要である、との意見も聞かれ、自主防災の意識の高まりが見られ、訓練を行った意味があったと感じています。
 
 今後、皆さんの所でも避難訓練が出来る様、みえalsの会では支援しておこうと考えています。
 
 最後に、訓練を快く引き受けてくださいました、TYさん、KTさん、KNさんに感謝を申し上げると共に、そのメッセージをご紹介します。

避難訓練の写真1 避難訓練の写真2
避難訓練の写真1
 
避難訓練の写真2
 
避難訓練の写真3 避難訓練の写真4
避難訓練の写真3
 
避難訓練の写真4
 
  
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