停電時の電源の確保について

 呼吸器を付けた患者さんにとって停電は重大事ですので災害等による停電時の電源の確保について考えてみました。

 発電機又はバッテリーを使う方法が考えられます。発電機の場合はエンジンを始動しないと発電しませんが長時間の供給が可能です。バッテリーはスイッチを入れれば即供給されますが短時間しか使えません。と言うことで緊急時にはバッテリーで対応して順次発電機に切り替えていくのがいいと思います。

 バッテリーを使う場合には他に充電器、変換用にインバーターを用意しなければなりません。

 

1、バッテリー

 鉛蓄電池という名のとおり小さくても重いうえに希硫酸を使っていますので液漏れをするとやけどをする厄介者です。そこで値段は少し高いですが液漏れの無い密閉型で容量が20Ah以上の物を使ってください。
(注:20Ahというのはバッテリーが溜めている電気の量で20アンペアの電流を1時間流せますということです。)
 
 

密閉型バッテリーの写真

2、充電器

カー用品や日曜大工の店で売っている一般用(自動車のバッテリー用)の充電器と密閉型のバッテリーを充電する専用の充電器(トリクル充電が出来る)がありますが、接続しっぱなしの場合には少し値段が高くなりますがトリクル充電の出来るものを使わないと危険です。

一般用の充電器の写真 密閉型用の充電器の写真

一般用の充電器
 

密閉型用の充電器
 

3、インバーター

 12Vの直流を100V、50HZ〜60HZの交流に変換する装置で容量は300W〜500W程度のもが必要です。

300Wタイプのインバーターの写真

500Wのインバーター
  

300Wのインバーター
  

4、接続方法

 接続は簡単で充電器、バッテリー、インバーターの陽極(+)どうし、陰極(−)どうしをつなぐだけです。1つ注意していただくことはバッテリー・インバーター間には大きな電流が流れますので太い線を使って出来るだけ短くなるように結線してください。

電源ユニットの例の写真
  
電源ユニットの写真

電源ユニットの写真

5、発電機

 長時間の停電に対してはバッテリーでは対応できないのでガソリンエンジンによる発電機を使う必要があります。

ポータブル発電機の写真1 ポータブル発電機の写真2

ポータブル発電機
  

6、参考資料

 一般的な鉛蓄電池では、充電が終了するとその後の充電電流は電解液中の水の電気分解に使われるので陽極板からは酸素ガス、陰極板からは水素ガスが発生します。そのために電解液が減少するので補水しなければなりません。  密閉型の場合は、陽極板が完全に充電された時点でも陰極板はまだ完全に海綿状鉛に変化しないように設計されており、そのために充電時陽極板から酸素ガスが発生しても陰極板は完全充電状態になっていないので陽極板で発生した酸素ガスは陰極版の海綿状鉛と電解液の硫酸と反応し、陰極板の一部を放電状態にして陰極板からの水素ガスの発生を抑えています。  このように陰極板は充電により海綿状鉛となる量と陽極板で発生した酸素ガスを吸収して硫酸鉛になる量とがバランスして密閉化を保ちます。
 

電池電圧と残容量の目安

12.6V 100%
12.4V 75%
12.2V 50%
12.0V 25%
バッテリー残量と負荷が表示される写真

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