ご挨拶
日本運動器疼痛学会は、痛みの研究に従事する整形外科の先生方が中心となって設立され、今回第4回目を迎えました。前会長牛田先生の尽力によって研究会から学会となり、今回初めて整形外科以外の診療科出身の柴田が会長を務めさせていただくことになりました。2011年11月19、20日の両日、千里ライフサイエンスセンターにて開催させていただきます。身に余る光栄であり、本学会をますます発展させ、痛みの臨床や研究の発展のために尽力したいと考えております。
痛み診療において学際的なアプローチは国際疼痛学会の基本理念であり、その重要性はさまざまな機会を通して繰り返し強調されてまいりました。しかし、実際にはその運営は容易いものではなく、大きな規模で機能的に運営されている施設は決して多くはありません。痛みの医療に関する医療機関の連携もまだ十分とはいえず、患者のドクターショッピングにつながっており、今後解決していかなければならない重要な課題です。本学会は、国際疼痛学会の理念を取り入れ「痛みを幅広くとらえる」ことに重点を置いております。さまざまな診療科の医師、医師以外の医療者、研究者の方々に参加していただき、他の分野の考え方を学ぶとともに活発な議論を通して互いに発展することを目標としてまいりました。このような場を提供するという意味で、前回の牛田会長が取り入れられたポスターセッションの1分間プレゼンテーションと自由討論は非常に好評でした。本年も是非継続したいと考えております。新たな出会いや共同研究のきっかけとなり、さらに痛み診療の学際的なシステム構築につながればこの上ない喜びです。
今回の学術集会のテーマを「痛みを考える~分子から社会まで」とし、遺伝子レベルの基礎的な研究から、トランスレーショナルな研究、臨床研究、疫学、そして痛みが社会へ与える影響についての研究に至るまで幅広い領域の演題を企画しております。焦点が定まらない企画だという御批判もあろうかと思いますが、それぞれの参加者が、痛みの分野における自身の位置づけを再認識し、さらなる発展につながることを期待しております。
今回学会となったのを機に関西医療大学の中塚教授を中心に教育委員会を設置いたしました。近年、痛みに関する教育の問題は、欧米先進国を中心に非常に重視され、さまざまな取り組みがなされております。今回の会においても、リフレッシャーコースを企画し、疼痛医学の基本的知識を学んでいただきたいと思います。
会場は空港からも新幹線からも利便性が高いところです。秋深い大変時候の良い時期の土日を会場内で過ごしていただくのはいささかもったいない話ではありますが、それ以上の収穫を得ていただけるよう鋭意努力したいと考えております。お誘いあわせの上、是非数多くの方に参加していただきたいと思います。