ホルモン感受性リパーゼ欠損マウス由来白色脂肪組織に発現する細胞内中性脂肪分解酵素の特性

1東京大学 医学部 糖尿病・代謝内科、2理化学研究所細胞生化学研究室、3自治医科大学内分泌代謝科

大須賀淳一1、田村嘉章1、安達栄樹2、辻本雅文2、石橋俊3

糖尿病では高血糖やインスリン抵抗性の結果、酸化ストレス、PKCの活性化、最終糖化産物(Advanced glycation end products; AGE)の作用などにより、血管障害が生じると考えられている。これらの因子の中で、AGEの受容体としてReceptor for AGE(RAGE)やGalectin-3がクローニングされ、糖尿病性血管合併症との関連が検討され、受容体機能の多様性が示唆されている。 変性リポタンパクの受容体としてクローニングされたSR-AI/IIやCD36といったスカベンジャ−受容体は、AGEの受容体として機能することが近年明らかにされてきた。これまで、我々は血管内皮細胞よりクローニングされたスカベンジャ−受容体の機能について解析を行なってきたが、その中でFEEL (fasciclin, EGF-like, laminin-type EGF-like, and link domain-containing scavenger receptor)-1/2がAGE受容体として機能することを見い出した。FEEL-1/2はアセチル化LDLの受容体としてクローニングされたが、CHO細胞を用いた検討により、他のスカベンジャ−受容体よりAGEに対する親和性が高いことが判明した。また、FEEL-1は血管内皮細胞での発現が多いことが示されている。一方、同様に内皮細胞のスカベンジャ−受容体であるSREC (scavenger receptor expressed by endothelial cells)-Iは、AGEに対する受容体活性はほとんど皆無であった。 従って、FEEL-1(/2)は、AGEによる血管合併症に関連して可能性があり、治療的観点からも重要な分子と考えられる。