静岡大学東部キャンパスには生命科学の研究・教育に携わる多くの方々がいらっしゃいます。研究は基礎から応用まで、その研究分野は生物学から化学まで、また、研究対象は微生物から哺乳類までと多種多岐に渡っています。そのため、なかなか一つの話題を話し合うことが出来ないのが現状です。しかしながら、生命科学を研究する上で、共通の話題・問題があると思います。そこで、生命科学研究を指向する方々のネットワーク作りを目的として、生命科学懇話会を発足させることにしました(96/05/24)。
第95回 静岡ライフサイエンスセミナー | |
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日 時 | 2003年12月18日(木)16:00〜17:00 |
会 場 | 静岡大学理学部B棟2階B212教室 |
演 者 |
岡崎国立共同研究機構 基礎生物学研究所 生殖研究部門 助教授 吉国 通庸 先生 |
演 題 |
『メダカの卵成熟を理解したい!』
セミナー要旨: 本年初め、米国Peter Thomas博士のグループにより魚の卵成熟誘起ステロイドホルモンの細胞膜受容体がクローニングされた(Zhu et al. 2003a,b)。ステロイドホルモンに対する細胞膜受容体としても初めての報告であった。近年注目されているステロイドのnon-genomicな働きを理解する上で、新たな研究基盤が確立されることが期待される。また、複雑な細胞応答を理解する為の新たな手法としてプロテオーム解析法に期待が寄せられている。本セミナーでは、メダカの卵成熟を題材にしてこの新しいステロイドホルモン細胞膜受容体とその情報伝達機構を解明する糸口を、プロテオーム解析の可能性を検討しながら考えてみたい。 |
問い合わせ先 |
招聘者:
「生命科学懇話会」世話人 |
第94回 静岡ライフサイエンスセミナー | |
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日 時 | 2003年12月17日(水)16:00〜17:30 |
会 場 | 静岡大学理学部B棟2階B212教室 |
演 者 |
東京大学 医科学研究所 ゲノム情報応用診断部門 助教授 井ノ上 逸朗 先生 |
演 題 |
『SNPからわかるヒトの歴史と病気』
現世人類は約20万年前にアフリカで出現し、10万年ほど前にアフリカを離れ中求K東に移動し旧大陸へ分散した。その人類の進化上の歴史はヒトゲノムの遺伝子巣X型に刻印されている。集団の遺伝子多型(SNP)頻度の変化は人口の増減、移住などに左右され、また自然選択が働いた場合にも変化する。よって、遺伝子多型頻度を集団ごとに比較することにより人類の進化を知ることが出来る。 SNPは直接、疾患の原因となることがあり、疾患遺伝子解析には欠かせない。通常、患者・対照関連解析がおこなわれ、患者で頻度の高auSNPが原因とされる。SNPには先述したよう自然淘汰を受けているものがある。自然淘汰にはbalancing selectioncjdirectional selection (positive selection)がある。いずれにせよ、なんらかの選択圧がかかったため、遺伝子多型頻度が保たれているといえる。進化の過程での選択圧をとらえることは困難であるが、自然選択が関与しているということは、なんらかの疾患と関連した結果と考えることができる。単純ないいかたをすると、進化的に自然選択を受けている遺伝子(多型)は病気と関連している可能性がある。このような集団遺伝学的アプローチにより疾患遺伝子研究について考えてみたい。 |
問い合わせ先 |
招聘者:
「生命科学懇話会」世話人 |
第93回 静岡ライフサイエンスセミナー, 第21回 遺伝子実験施設公開セミナー | |
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日 時 | 2003年11月18日(火)17:00〜18:00 |
会 場 | 静岡大学理学部B棟2階B212教室 |
演 者 |
独立行政法人 国立環境研究所 海域環境管理研究チーム 総合研究官 木幡 邦男 先生 |
演 題 |
『都市・流域圏における自然共生型水・物質循環の再生と生態評価技術開発に関する研究』
上記題目は2002年度から発足したプロジェクトで,現段階では研究の成果,内容は少ないが,その概要について紹介します.このプロジェクトは総合技術会議が主導し国土交通省,農林水産省,産業経済省,厚生省,環境省などが参加するイニシアチブ「自然共生型流域圏・都市再生」に沿った研究で,提案課題の内容などその枠組を中心に紹介する予定です. |
問い合わせ先 |
招聘者:
「生命科学懇話会」世話人 |
第92回 静岡ライフサイエンスセミナー, 第20回 遺伝子実験施設公開セミナー | |
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日 時 | 2003年10月10日(金)16:00〜18:00 |
会 場 | 静岡大学遺伝子実験施設1階セミナー室 |
演 者 1 |
九州工業大学情報工学部 教授 児玉 孝雄 先生 |
演 題 1 |
『ふつうの水,遅い水,速い水』
生体の大部分は水であり,生体分子の大部分は水の中でその機能を発揮している。一般には水は生体分子と相互作用をするとその動きが鈍くなるが,逆に生体分子と相互作用をすることによって動きが速くなる水もあることがわかってきた。そこで,生体分子と水の相互作用について造詣の深い児玉教授に「ふつうの水,遅い水,速い水」という演題で講演していただく。 |
演 者 2 |
藤田保健衛生大学 総合医科学研究所 教授 丸野内 棣 先生 |
演 題 2 |
『骨髄ストロマ細胞の神経細胞への分化』
損傷を受けた組織の機能を,別のところでつくり出した細胞の移植により肩代わりさせようという治療法「再生医療」が注目され,多機能性幹細胞を特定の組織に分化誘導する研究がさかんに行われている。そこで,幹細胞の増殖・分化を制御しているストロマ細胞の研究に永年携わってこられた丸の内教授を招待し,「骨髄ストロマ細胞の神経細胞への分化」のテーマで最近の再生医療の側面を紹介していただく。 |
問い合わせ先 |
招聘者:
「生命科学懇話会」世話人 |
第91回 静岡ライフサイエンスセミナー | |
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日 時 | 2003年9月24日(水)17:00〜18:00 |
会 場 | 静岡大学理学部B棟B212教室 |
演 者 |
国立科学博物館 動物研究部 研究官 西海 功 先生 |
演 題 |
『日本の鳥類相の起源---本州と韓国における集団間の遺伝的差異から』
本州は氷河期に何度か大陸と地続きになり、およそ15万年前に最終的に切り離されることなどを通して、独自の生物相を形作ってきた。ただ、鳥類は強い飛翔力があり、他の動物分類群とは違う形成史をもつかもしれない。逆に、多くの鳥類は強い繁殖場所の固執性があり、出生地からの分散距離はあまり大きくないとの見方もある。鳥類が多くの亜種に分けられることも、遺伝子流動があまり大きくないことの傍証といわれる。日本には、鳥類のいくつかの種では大陸とは異なる固有の亜種が生息し、また別の種では大陸と同じ亜種が生息する。大陸との関係は種によって異なると考えられるが、いずれにせよ韓国は日本の鳥類相に最も関わりの強い地域といえる。 そこで、ウグイスやヒヨドリなど、日韓に共通して分布する9種の小鳥類について、日韓での遺伝的差異をミトコンドリアDNAのチトクロムb領域を分析して調べ、両集団間の遺伝距離や、それと形態の分化との関係などを探った。その結果、日韓の集団間の差異は留鳥(渡りをしない定住性の鳥)のうち半数以上の種ではほとんど検出されず、集団の分岐はあったとしてもせいぜい1万年以内であることがわかった。また、同亜種が分布する種と別亜種が分布する種で日韓での遺伝的差異の程度に明らかな違いは見られず、亜種分化は多くの小鳥類では1万年以内の短期間に起こったと評価された。ただ、意外なことに、調べた3種の渡り鳥においては、0.3%ほどの遺伝的な集団間差異があり、日本列島が大陸から最後に離れた15万年前以降にはほとんど行き来がない可能性が示唆された。以上の結果は従来考えられていた以上に日韓の鳥類集団の関係が近いことを示す。 |
問い合わせ先 |
招聘者:
「生命科学懇話会」世話人 |
第90回 静岡ライフサイエンスセミナー | |
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日 時 | 2003年7月4日(金)09:00〜11:50, 12:45〜17:35 |
会 場 | 静岡大学農学部B棟B207教室 |
演 者 |
静岡県立静岡がんセンター研究所 遺伝子診療研究部 主任研究員 大島 啓一 先生 |
演 題 |
09:00〜11:50 『遺伝、遺伝子、病気』 12:45〜17:35 『トリプレット・リピートの不安定性と非メンデル型遺伝病』 Part 1.トリプレット・リピート病の概要 Part 2.トリプレット・リピートの不安定性の分子機構 (この講演は農学部応用生物化学専攻大学院講義として行われる予定です) |
問い合わせ先 |
招聘者:
「生命科学懇話会」世話人 |
第89回 静岡ライフサイエンスセミナー, 第16回 遺伝子実験施設公開セミナー | |
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日 時 | 2003年5月30日(金)17:00 〜18:00 |
会 場 | 静岡大学理学部B棟B202室 |
演 者 |
キリンビール株式会社基盤技術研究所主任研究員 岩松 明彦 氏 (静岡大学理学部化学科OB) |
演 題 |
第一部『蛋白質を解析するにあたっての温故知新』 第二部『キの利く研究者になるために- 細胞宇宙の構造の理解を通して -』 内容は、マススペクトルを用いた最先端の蛋白質分析法と研究者になるための心得です。 |
問い合わせ先 |
招聘者:
「生命科学懇話会」世話人 |
第88回 静岡ライフサイエンスセミナー, 第15回 遺伝子実験施設公開セミナー | |
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日 時 | 2003年4月25日(金)13:30 〜15:30(質疑応答含む) |
会 場 | 静岡大学遺伝子実験施設1階セミナー室 |
演 者 |
アマシャムバイオサイエンス株式会社 西本 洋子 氏 |
演 題 |
『プロテオーム解析におけるタンパク質発現ディファレンシャル解析 〜 蛍光標識二次元ディファレンス電気泳動:Ettan DIGE 〜』 近年マイクロアレイを用いたmRNA発現ディファレンシャル解析技術は、特定の生命活動に関与する遺伝子を決定するという目的で、有用なツールとして広く利用されています。しかし最近のデータから、mRNAの発現量とタンパク質の発現量には必ずしも相関はないことが明らかになってきています。さらにmRNAの解析のみではタンパク質の機能を調節する翻訳後修飾の解析は行うことは出来ません。そこで、実際に生命現象の大部分を担っているタンパク質の網羅的解析(プロテオーム解析)が注目されています。 現在のプロテオーム解析ではタンパク質サンプルを二次元電気泳動法で分離し、分離された個々のタンパク質を質量分析計を用いて同定する手法が主流となっています。しかし、この系でのタンパク質の定量的な発現ディファレンシャル解析には幾つかの問題点があります。それは、ゲルごとにスポットパターンやボリュームにばらつきが見られることが理由として挙げられます。そこで、弊社は確立された技術である二次元電気泳動法をベースにし、その欠点であるゲル間(サンプル間)の再現性を大きく改善することで、タンパク質のディファレンシャル解析に対する信頼性を大きく向上させた新技術「蛍光標識二次元ディファレンス電気泳動 / 2D difference gel electrophoresis」を開発しました。この技術は、非常に定量性の高い蛍光試薬を用いて多重蛍光標識した複数のタンパク質サンプルを、1枚のゲルで泳動します。それを複数枚泳動し、専用の解析ソフトウェアーを用いて統計的な解析をすることで、タンパク質の発現量の差違解析に対する信頼性を大きく向上させています。 本セミナーでは翻訳後修飾解析、病態研究など実際の実験例を含め、DIGE技術の紹介をしてもらいます。 |
問い合わせ先 |
招聘者:
「生命科学懇話会」世話人 |
第86回 静岡ライフサイエンスセミナー 公開シンポジウム「生命環境応答に関する統合バイオサイエンス2」 |
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日 時 | 2003年3月14日(金)12:55〜15:30 |
会 場 | 静岡大学理学部B棟B202室 |
プログラム | |
12:55〜13:00 | ごあいさつ |
講 演 13:00〜14:40 |
13:00〜13:25 塩尻信義(静岡大学理学部) 「マウス胎児肝芽細胞の増殖・分化機構とその人工肝臓モデルへの応用」 13:25〜13:50 山内清志(静岡大学理学部) 「甲状腺系を撹乱する化学物質の探索」 13:50〜14:15 丑丸敬史(静岡大学理学部) 「栄養源飢餓に応答した細胞の応答機構の解析: リボソーム合成に関与する因子の同定と解析」 14:15〜14:40 上野 勝 (静岡大学理学部) 「DNA切断末端と染色体末端(テロメア)で機能するタンパク質の機能解析」 |
14:40〜14:50 | 休 憩 |
講 演 14:50〜16:30 |
14:50〜15:15 吉永光一(静岡大学理学部) 「葉緑体ゲノム構造と機能からみた植物の陸上への適応」 15:15〜15:40 渡辺修治(静岡大学農学部) 「光周期と花:香気生成・発散と花芽誘導の生物有機化学」 15:40〜16:05 河岸洋和(静岡大学農学部) 「キノコに関わる生物有機化学的研究の現状と今後」 16:05〜16:30 杉山公男(静岡大学農学部) 「食品成分による脂質代謝の調節―エリタデニンの作用機構―」 |
16:30〜16:40 | 休 憩 |
特別講演 16:40〜17:30 |
Dr. Ian Toth (Scottish Crop Research Institute) 「Genomics Study of Plant Pathogenic Bacteria」 |
連絡先 |
問合先:
「生命科学懇話会」世話人 |
第86回 静岡ライフサイエンスセミナー (理工学研究科博士後期課程環境科学専攻 博士学位論文発表会) | |
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日 時 | 2003年1月17日(金)13:30 〜 |
会 場 | 静岡大学理学部B棟B213教室 |
演 者 |
静岡大学
大学院理工学研究科
環境科学専攻
中嶋 昭雄 氏 |
演 題 |
『分裂酵母の窒素源飢餓応答における 核酸と蛋白質の分解機構の研究』 |
連絡先 |
問合先:
「生命科学懇話会」世話人 |