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問題解決型学習法(PBL:Problem based learning)
問題解決型学習は、少人数のグループ学習を通じて課題を達成してくなかで、学生自身が学ぶことを発見していく学習スタイルです。近年、医学教育や理学療法教育に導入され、理学療法養成校の多くで実践されています。しかし、少数教員の科目や、科目の一部での導入がほとんどです。本学リハビリテーション学科のPBLは、理学療法専門科目である、理学療法学(運動器系・神経系・呼吸循環代謝系・小児)の合計11科目で実施しています(表1)。しかも学科教員(理学療法士)の全員が有形無形に関わっています。このように系統的で総合的なPBLを実践している養成校は数少ないのではないかと、手前味噌ではありますが自負しています。
表1 PBLを実施している科目(今回紹介分のみ)
  前期(1学期) 後期(2学期)
2年次 ・ 運動器系理学療法学および演習
・ 神経系理学療法学および演習
・ 呼吸循環代謝系理学療法学および演習
・ 小児理学療法学
3年次 ・運動器系理学療法学実習
・神経系理学療法学実習
・呼吸循環系理学療法学実習
・小児理学療法学演習
 

では当学科のPBLについて簡単に紹介します(理学療法士を目指している方々向けです)。PBLでは、教員は講義を一切しません。学生は6〜7名のグループに分かれ、教員から課題を受け取り、その課題についてグループで学習していきます。講義をしないのですから、もちろん教員は答えを教えません。学生達が自主的にグループで行動しなければ学習できないようになっています。図をご覧下さい。これは当学科で実際にPBLにおいて使用しているものです(処方箋)。さあ!皆さんも当学科の学生に、いえ!理学療法士になったつもりで考えてみましょう!
あなたのもとに、主治医からこんな処方箋が届きました。今日からこの患者さんをあなたが治療(理学療法)しなければなりません。さあ!どうしましょう!?

・・・ ACL損傷ってなんだろう?  BTBってどんな手術?  CPMって? ?????
さあ! 大変です! どんな情報が必要でしょうか? 文献は?本は? とても一人では調べきれません。だって同じような処方箋が一度に18枚も手元に届いたのですから・・・!
* 従来の教育法では、学生は教室に座って眠たい目をこすりながら教員の講義を聴講していました。中には居眠りする学生も・・・。黙っていても資料は手元に入ってきます。授業の後には無残にも放置された資料が・・・。でも、PBLではそんなことは一切できません。学生達(グループ)で解決していかなければ、資料もありません。誰も教えてくれません。


* グループで調べて分かったこと(知識)をレポートにして担当教員に提出します。
これがまた、簡単にOKをもらえません。教員は提出されたレポートが、あらかじめ設定した教授目標(ここまで、これが、このようにできていなければならない;専門的には一般目標、行動目標と言います)に沿ったレポートになっているかを確認します。不足があれば、答えを教えず、「〜についてはどう考えるの?」などのアドバイスのみ与えます。学生は、またグループで調べて修正します。OKが出るまで最低でも2〜3回の書き直しが必要です(しかもレポート枚数は30〜40枚!)。これを2年生の後期(2学期)の半年間に18処方箋分繰り返すわけです。・・・・・・・・・・・ 気が遠くなりましたか?

このように、学生の自主的な行動が必要とされます。またグループで協調・協同して行動しなければなりません。PBLにより、単に疾患や障害、評価、治療の知識を丸暗記するのではなく、考える力が育成されます。そしてPBLは知識だけでなく、グループ学習することで自分の意見を述べることや、相手を理解するなど人間関係・コミュニケーションスキルの構築にも大いに役立ちます。事実、理学療法士が活躍する現場は、医師や看護師、作業療法士などのチームで行います。独りよがりの行動は患者さんに不幸をもたらすだけです。単に覚える知識でなく「考える力」、そして「人間関係」、臨床に必要な能力です。この能力を育成するのがPBLなのです。


「学生にとって大変な学習方法ですが、学生の変化は目覚しいです!学生は素晴らしい成長を遂げています!」

*これで終わりと思っていませんか? まだまだです! まだ技術が残っています。いくら知識があって、人間関係が上手くできても患者さんに治療できなければ意味がありません。ここからが最終段階です。実技系の科目(評価学、治療学など)はPBL以外にもあり、基本的なことはそこで学びます。しかしながら、学内では学生同士の練習のため現実感に乏しく、実践的ではありません。そこで、実習に赴く直前の3年生の1学期に(表1)、PBLで模擬患者(Simulated Patient::SP)を実施します。 担当教員が患者役を行い、実践(臨床)に近い状況で、評価や治療を実施します。学生同士のある意味馴れ合いの状況から一変、ともすれば患者さんはベッドから転倒します。汗がどっと!流れながらの実技練習です。これにより今まで気づかなかった患者さんの状況や注意しなければならないことなどを学んでいきます。もちろん、試験は教員が患者役で行います(専門的には、客観的臨床能力試験;OSCEと言います)。

このように当リハビリテーション学科は、PBLを導入することで、単に知識を習得するだけでなく、臨床で必要な問題解決能力の習得を目指して、「知識(考える力)」、「人間関係」、「実践に即した技術」の三位一体の教育を実践しています。きっと胸を張って臨床に巣立っていけるものと確信しています。
我々のマインドに共感してくれる皆さん!九州看護福祉大学リハビリテーション学科で学んでみませんか? なお、PBLを受けた学生の生の声が2009年度の入学案内に掲載されています。是非ご覧下さい。

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