統計学的画像再構成法である

OSEMアルゴリズムの基礎論

 

【第1章】          確率・統計の基礎

 

1.1         シグマ(Σ)とパイ(Π)と対数(Log)の記号

 

さて、平均値をもう少し詳しく記号で見てみましょう。「平均なんて簡単だよ!」 まあ、そう言わずに少しだけ覗いてください。平均値にはいくつかあります。みなさんがよく使う平均値とは“算術平均または相加平均”というものです。その他に“幾何平均または相乗平均”、“調和平均”などといったものがあります。これから算術平均について解説します。

 

しかし、この説明をする前にこれから話す内容には無数に出てくる、Σ(シグマ)の記号を復習しましょう。高校数学の数列で出てきた記号です。

Σの記号は以下のような意味を持ちます。

つまりx1からxnまでを順に足すことを意味しています。もし、x2からx7までを足すのであるならば

と書きます。そして以下のことはan回足すことを意味しますので、

と約束しましょう。ようするに狽ニは、たくさんの規則性のある足し算を、ダラダラ書くのはめんどくさいので、きれいにかっこよく書くための記号です。

 

もう一つよく使う記号を説明します。これは円周率で使ったπ(パイ)の大文字で、Πと書きます。これは高校で使いませんので、ここでしっかり覚えましょう。Σは足し算の記号でしたが、Πは掛け算の記号です。つまり、

 と書きます。これは幾何平均または相乗平均のときに使用しますが、最尤推定にもたくさん出てきます。以上の記号は最尤推定を学ぶのにイヤッてほど出てきます。慣れてしまえばとても便利な記号ですから不慣れな人はがんばって早く慣れましょう。

 

それからもう1つ、高校生の時に数学が苦手になる人の多くは、この記号が苦手のようです。それは、「log」です。最尤推定の最初にこのlogを使います。少しだけ解説しましょう。次の式を見てください。

上の式は、ac乗したらbになることを表しています。このaの部分を底といいます。このとき10のときを常用対数といい、eのときを自然対数といいます。eは数値としては2.7くらい(e =2.71828182---)と覚えておきましょう。自然対数のときは、下の式のように記する事もありますが、一般的に低の部分が書いてなければ上式の記載でも自然対数と判断します。では問題です。

【問】 はいくつでしょうか?

    これは5を何乗したら25になるかと聞いているのですから、簡単ですね。

答えは「2」です。

    そして、次はeを何乗したらeになるかと聞いているのですから、

答えは「1」です。

 

以下に対数の性質を示します。公式ですので覚えたほうがいいでしょう。最初の公式は特に重要です!底が書いてなければ自然対数です。

 

 

数学には色々な記号がたくさん出てきますが、慣れてしまえば便利で簡単なものです。苦手な人は繰り返し見ていただいて、慣れてください。この記号の意味に慣れることが数式を追っていくことの基本です。数学は計算ができる・できないではありません。数学語という言葉と文法で、科学的現象を説明しているだけです。初学者は焦らずゆっくり追ってください。