ベンタムにおける功利性の原理

彼の規範に関する主張と人間本性に関する主張が
両立しないという批判について

倫理学 修士2回生 児玉聡


目次


説明と弁明

題名について

論文の表題が「ベンタムにおける功利性の原理」なんて広い名前になってるのは、 題目提出の時点でまだ何を書くのか完全に決まってなかったため。 この題名が広すぎてよくないものであることは、 定義で言えば「人間は動物である」みたいな広定義がよくないのと同じ。 「カントにおける定言命法」とか、 「ヘーゲルにおける弁証法」とか言う題名でも同じで、 これじゃ扱いうる範囲が広すぎて何を書くのかわかんないでしょ?

そういうわけで、仕方ないから、副題は 「彼の規範に関する主張と人間本性に関する主張が両立しないという批判について」 というかなり限定のきいた名前にしておいた。 といっても、これはぎりぎりになって某師匠と相談して付けた名前で、 それまでは「全体の利益と個人の利益の関係について」 という、やはり何を扱っているのかわからない抽象的な題名になっていた。

ちなみに、the principle of utilityは、 これまでは「功利原理」と訳していたんだけど、 題目提出のときに某教授が「功利性の原理」の方が見栄えがいいんじゃないの、 と言われたので、 この論文では「功利性の原理」で統一した。 これ以降どうするかはまだ決めていない。


章立てについて

構成は、序論、本論、結論とした。 最初は、「序論」ではなく、 「はじめに」だったんだけど、 この部分から議論がスタートしてるし、 「はじめに、本論、結論」よりも 「序論、本論、結論」の方がかっこいいかと思って、 「序論」とした。どうでもいいが。

本論は、4章に分かれていて、 第1章と第2章でそれぞれベンタムの規範的主張(功利性の原理)と 人間本性に関する事実的主張(心理的利己説と通常の利己主義)を論じ、 第3章と第4章でこの二つの主張が両立しない、 という批判に対する応答を検討している。 第1章では特に目新しいことを言っていない。 功利性の原理についておおまかな知識がある人は、 ここを読み飛ばしても全く問題なくそれ以降の議論を理解できると思われる。

なお、一応断わっておくが、 このHTML版の修論は、誤字脱字および「てにをは」を訂正した以外は、 事務に提出したものとほぼ同じである。



KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Tue Feb 2 15:41:06 JST 1999