ルソー

(るそー Rousseau, Jean Jacques)

単に欲求に突き動かされるのは奴隷であり、 自分が作った法に従うことこそが自由である。

---ルソー

「共同の力をあげて、各構成員の身体と財産を防禦し、保護する結合形態を 発見すること。この結合形態によって各構成員は全体に結合するが、しかし 自分自身にしか服従することなく、結合前と同様に自由である」 これこそ社会契約の解決する基本問題である。

---ルソー

社会人の状態を未開人の状態と偏見なしで比較してみるがよい。(…) われわれ[社会人]をすりへらす精神の苦痛、われわれを疲労させ苦しめる 激しい情念、貧しい人々の重荷となっている過度の労働、 富んだ人々がこれにふけり、ある者はその不足のため、 他の者はその過度のために死ぬさらにもっと危険な柔弱、 それらをもしもあなた方が考察するならば、 また食物の途方もない混合、有害な調味料、腐った食料品、変造された薬、 それらを売る人々の詐欺行為、それらを飲ませる人々の誤り、 それらを調製する容器の毒、そういったことをもしもあなた方が 考えるならば、また集まった多数の人々のあいだの悪い空気によって 生まれる伝染病、われわれの生活様式の虚弱さや、 家の中と戸外を往来して通るために起こる病気、 あまりにも用心をしないで衣服を着たり脱いだりして用い、 われわれの過度の官能がすべての世話を必要な習慣に変えてしまって、 もしもそれを無視するか欠くようなことがあれば、 あとになってわれわれの生命または健康を失うようなことから起こる病気、 これらにもしもあなた方が注意をはらうならば、 またいくつかの都市を全滅させ、または転覆して、 その住民を何千人も死なせた火災や地震を、あなた方が考慮に入れるならば、 要するに、これらすべての原因がたえずわれわれの頭上に集中するさまざまな 危険を、もしもあなた方が一つに結びつけるならば、 われわれが自然の教訓を軽蔑したことに対して、 自然がいかに高い支払いをわれわれにさせているかを、 あなた方は感じるであろう。

---ルソー


スイス生まれのフランス哲学者(1712-78)。 主著『社会契約論』(Du Contrat social 1762)、 『エミール』(Emile ou de l'education 1762)その他。 現代人の腐敗を批判し、野蛮人の方が文明人よりも優れていると考え、 自然へと帰っていった。

(06/Feb/2001)


冒頭の引用は以下の著作から。


KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Wed Jan 30 19:22:45 JST 2013