公共選択理論

(こうきょうせんたくりろん public choice theory)

大多数の経済学者は政治というものを、 適切な政策に対するいまいましい、 わけのわからない非経済的な障害と考えている。 対照的に公共選択論者は、政治の研究には経済学の用具を用いなくてはならないと 主張するのである。 彼らによれば、政治は経済活動の一つなのである

---T.G.バックホルツ


政治家や官僚、政党、圧力団体といった政治におけるアクターの活動を、 自己利益を追求する経済活動として分析する理論。 1986年にノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ブキャナンおよび 彼を含む「ヴァージニア大学学派」を代表とする。

公共選択理論によれば、財政赤字の慢性化、政治における圧力団体の暗躍、 官僚制の膨張、政府の規制による企業の保護といった諸問題は、 政治家や官僚が自己利益を最大化しようとしているという想定を基礎に 説明することができる。 たとえば、ウィリアム・ニスカネン・ジュニアによれば、 官庁とは権力の増大のために予算を極大化しようとする組織であるため、 政治家が官庁の予算を切り詰めようとすると大きな抵抗に遭う。

社会的選択理論も参照せよ。

08/Jul/2003


参考文献


上の引用は以下の著作から。


KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Wed Jul 9 18:51:24 JST 2003