述語論理

(じゅつごろんり predicate logic)


フレーゲ(Gottlob Frege, 1848-1925)が創始した論理学アリストテレス以来の伝統的論理学(名辞論理学、 「すべての人間は死すべき存在である。ある人は人間である。 ある人は死すべき存在である」とか)には、いくつかの問題があった。

述語論理は、名辞を述語と理解することによってこれらの問題の解決を図り、 同時に名辞論理学と命題論理学(「PならばQ。しかるにP。ゆえにQ」 など。「ある〜」や「すべての〜」という量化の論理は含まない) との統合をも行なった。

固有名に関しては 「xは犬である」という関数を用いて、(たとえばこの関数をFxと呼ぶとすると) 「すべての犬」は「すべてのxについて、xは犬である」(∀xFx)、 「ある犬」は「あるxが存在し、xは犬である」(∃xFx)、 「ポチ」は(ポチをaという記号で表わすとすると) Faという風に表現することによって、 「すべての犬」とか「ある犬」とか「ポチ」というような名辞を 一括して処理することが可能になった (このような関数を命題関数とも呼ぶ)。

同じように、関係文については、 「xはyが好きである」というような変項が二つある述語(二項述語と呼ぶ)も、 Fxyのような形で表現することができる。

さらに、多重量化については、 存在量化子全称量化子を組合せることによって 解決できる。

最後に、名辞論理学と命題論理学の統合については、 名辞論理学における「すべての犬は動物である」というような全称命題は 「すべてのxについて、xが犬ならば、そのxは動物である」、 また「ある犬は動物である」というような特称命題は 「あるxが存在し、xは犬であり、かつ動物である」 という形で命題論理学における推論と同じ形式で扱えることになる。

このように述語論理はすごいのだが、 第一階(first-order)の述語論理では 関数の変項には事物(objects)だけが入るのに対し、 第二階(second-order)の述語論理では、 関数の変項として述語や関数も扱えるようになる (たとえば、「すべての関数Fについて(∀F)、…」 というように)。

20/Aug/2003


参考文献


KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Wed Aug 20 15:16:55 JST 2003