実践知

(じっせんち practical wisdom [understanding])


知性のうち、事柄の真偽ではなく善悪に関わる部分。 なすべきこととなさざるべきことに関する知識と言ってもよかろう。 理論知と対比される。 (05/27/99)

ギリシア時代においても、 実践知phronesis(フロネーシス)はとくに実践の場面において賢明で健全な判断を 下せる能力のことと捉えられていた。 sophia(ソフィア)はphronesisとほぼ同義であったが、 アリストテレスは、両者を区別し、 phronesisを「善き生についての真なる概念を持ち、 個々の選択を通してそれを現実化できる能力(卓越性)」と捉え、 理論における卓越性であるsophiaと対比させた(卓越性についてはの項を参照)。 非常におおざっぱに言えば、 勉強のできる人は理論知を持つのであり、 善い人生を送る能力を持つ人は実践知を持つわけである。

20/May/2003追記


KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Tue May 20 01:53:54 JST 2003