ノイラートの船

(のいらーとのふね Neurath's boat)


ウィーン学派の中心人物の一人、 オットー・ノイラート(1882-1945)が『アンチ・シュペングラー』(1921) で用いた比喩。彼によれば、 知識の総体というのは港の見えない海上に浮かぶ船のようなもので、 そのような状態でなんとか故障を修理しつつやっていかなければならない。 「われわれは船乗りのようなもの--海原で船を修理しなけばならないが、 けっして一から作り直すことはできない船乗りのようなもの--である」。

この比喩は、知識に関する基礎づけ主義を批判して用いられている。 すなわち、基礎づけ主義によれば、ある批判不可能な土台(となる命題)があり、 その上に建てられた体系(諸命題)も、 土台から論理的に導かれているかぎり批判を受けつけないものである。 これに対し、ノイラートの船の比喩が含意しているのは、 知識には土台は存在しないこと、 また、全体が沈んでしまわないかぎり、 部分的にはどの部分であっても修理をすることが可能であることである。

30/Apr/2003


参考文献


KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Fri Apr 11 03:29:41 JST 2003