後件否定

(こうけんひてい modus tollens)


前件肯定と同様に、 妥当な推論形式の一つ。 「もしpならばqである。qでない。ゆえに、pでない」という形を取る推論は、 つねに妥当である(前提が真であれば、結論は必ず真になる)。 英語ではdenying the consequent (modus tollensはラテン語である)。

たとえば、
(前提1)もし台風警報が発令されたら、学校は休みである。
(前提2)学校は休みでない。
(結論)それゆえ、台風警報は発令されていない。

前提1の条件文における後件(「学校は休みである」)が、 前提2において否定されているので、後件否定と呼ばれる。

よく似た推論形式で、妥当でないものに、 前件否定(denying the antecedent)がある。 これは、「もしpならばqである。pでない。それゆえqでない」 という推論であり、たとえ前提がすべて真であっても、推論が妥当でないため、 その結論は真でも偽でもありうる。

たとえば、
(前提1)もし台風警報が発令されたら、学校は休みである。
(前提2)台風警報は発令されていない。
(結論)それゆえ、学校は休みでない。

台風警報が発令された場合ではなくても、 学校が休みの場合があるので(たとえば夏休みだとか)、この推論は妥当ではない。 このような推論は、 前件否定の誤り(誤謬)を犯している、 と言われる。

前件肯定の項も参照せよ。

22/Aug/2003


参考文献


KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Sat Jun 2 00:39:20 JST 2007