マルティン・ルター

(まるてぃん・るたー Luther, Martin)


ドイツの神学者(1483-1546)。若いころは法律を学んでいたが、 激しい雷雨で死にそうになり、信仰を得る。 父の反対を押し切って神学に専攻を変え、 ヴィッテンベルク大学の神学科の教授になる。 1517年に95カ条の意見書を出し、当時の腐敗したローマ教会を批判し、 宗教改革の流れを生み出した。 主著『キリスト者の自由』、『奴隷意志論』など。 また、初の聖書ドイツ語訳を刊行し、 この訳が近代ドイツ語の出発点となった。

[信仰義認説] 「神による救済を受けるためには、善行(功績)を行なう必要がある、 だから教会に寄付しなさい。贖宥状を買いなさい」 という当時のローマ教会の考えに対して、 ルターは『キリスト者の自由』で 「救われるためには必要なのは外面的な善行ではなく、 内面的な信仰である。ちゃんと信仰していたら救われる。 君らはローマ教会の掟や権力に従う必要がないという意味で自由なのだ」 と主張した。これを信仰義認説と呼ぶ。

[聖書中心主義、万人司祭説] また、ルターは聖職者は信仰と救済のためにはとくに必要ないと考え、 各人は直接神と向きあうのだから(神の前の平等)、 必要なのは聖書だけだと主張した。 聖書のドイツ語訳を作ったのは、 そういう考えが背景にあった。

09/Aug/2002


KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Wed May 29 12:05:04 2002