コールバーグ

(こーるばーぐ Kohlberg, Lawrence)


教育心理学者、道徳教育学者(1927-1987)。

1927年にニューヨークのブロンクスヴィルで生まれ、そこで育った。 1948年にシカゴ大学に入学し(あまりに賢かったので1年で学部を卒業した!)、 臨床心理士になろうかと思っていたが、 ピアジェの道徳発達理論を学んで研究者の道を歩むことになった。 1958年に出版された博士論文で、有名な道徳発達の六段階説を展開する。 彼の理論は、それまでの「道徳は親が子どもに押しつけるもの」とか、 「道徳は不安や罪の意識を逃れるためになされるもの」といった理論に対し、 子どもが最終的に自律的な道徳的行為者になることを主張したものだった。

1968年にハーバード大学の教育学部に迎えられ、 道徳教育研究所(the Center for Moral Education)を設立し、 20年間そこで教えた(教育学・社会心理学教授)。 実践的関心も強く、 学校や刑務所の参加型民主主義的(`just community')改革を実践した。

コールバーグの有名な道徳発達理論によれば、 人の道徳的発達は、(1)社会の道徳を学ぶ段階である前慣習的水準から、 (2)社会の道徳を身につけた段階である慣習的水準を経て、 (3)社会の道徳を批判し、自律的な道徳を有するようになる脱慣習的水準へと至る。

(以上の三段階は、さらにそれぞれ二つに分かれるため、 六段階説として知られる。 また、多くの人は(2)の段階で止まるとされる。 ついでに言えば、倫理学を学んで身に付くのは(2)ではなく、 (3)の方である。もちろん、 倫理学を学んだ人がみな(3)の段階に至るわけではないが)

後年は病気を患い、最後は入水自殺を遂げた。合掌。

70年代に一世を風靡したコールバーグの道徳発達理論を、 80年代になってギリガンフェミニズムの立場から批判したことはよく知られている。

13/Aug/2004


参考文献・サイト


KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Fri Aug 13 04:32:46 JST 2004