(ほっぶず Hobbes, Thomas)
旅に出るとき、彼は武装する。 眠りに就くとき、棚に鍵をかける。 しかも、 法があり警官が武装して彼に不正がなされれば報復がなされることを知りながら、 彼はそうするのである。
---ホッブズ
愚か者は心の中で言った、 正義などというものはありはしない、と。 ときには声に出してそう言うこともあった。 そして、次のように真剣に主張した。 「自分の生存と幸福は自分自身に任されているのだから、 各人が自分の生存と幸福の役に立つと思われることを行なわない理由はない。 またそこで、約束をすることもしないことも、 約束を守ることも守らないことも、 自分の役に立つ場合は理性に反することではない」と。 愚か者はこう言うが、彼は約束があるべきでないと言うわけではない。 約束がときに守られ、ときに破られることを否定しているわけでもない。 また、約束の違反が不正義と呼ばれ、約束の遵守が正義と呼ばれることを 否定しているわけでもない。 ただ彼は、不正義が(…)、 各人に自分自身の善の追求を命じる理性に反しないこともあるのではないかと 問うているのである。
---ホッブズ
17世紀前半に活躍した英国の思想家(1588-1679)。 「善とは、自分の欲求するものであり、欲求の対象は本人に快をもたらす」 というあからさまな心理的快楽説を説いた。 さらに、すべての活動を物体の運動によって説明する唯物論、 世界で起きることは因果の連鎖によって必然的に決定されているとする 決定論なども主張し、 同時代の人からは忌み嫌われた。 しかし、その近代的な視点、明晰な議論のゆえに、 今日では--とくに京大文学部の一部では--けっこう評価が高いようだ。 主著は『リヴァイアサン』。
2002年度の授業のPPTファイルも参照せよ。
04/18/99; 26/Sep/2004
(以下は試験的なものです。上に書いてあることと同様、うのみにしないように)
(08/Mar/2000)
高校生から来た質問「ホッブズが清教徒革命の時批判されたのは何故ですか」
基本的にレポート関係の質問には答えないことにしてますが、 メイルの内容がていねいだったので回答しないのも失礼かと思い、 ヒントだけ記すことにします。
簡潔に言うと、清教徒革命は共和政の実現を目指したものであり、 ホッブズの思想は革命前の絶対王政を正当化する理論とみなされたからです。 共和政、絶対王政などについてはご自分でお調べください。
09/Feb/2002
上の引用は以下の著作から。