(まるくす・あうれりうす Aurelius, Marcus)
腋臭(わきが)のある人間に君は腹を立てるのか。息のくさい人間に腹を立てる のか。その人間がどうしたらいいというのだ。彼はそういう口を持っているの だ、またそういう腋を持っているのだ。そういうものからそういうものが発散 するのは止むをえないことではないか。
曰く「しかしその人間は理性を持っている。だからどういう点で自分が人の気 にさわるか少し考えればわかる筈だ。」
それは結構。ところで君も理性を持っているね。そんなら君の理性的な態度に よって相手の理性的な態度を喚起したらいいだろう。よくわけをわからせてや り、忠告してやりなさい。もし相手が耳を傾けるなら君はその人を癒してやれ るだろう、怒る必要なんか少しもないさ。
---マルクス・アウレリウス
或ることが君にとってやりにくいからといって、 これが人間にとって不可能であると考えるな。 しかしもし或ることが人間にとって可能であり、 その性質にかなったことであるならば、 それは君にも到達しうることだと考えるべし。
---マルクス・アウレリウス
もし或る人が私の考えや行動がまちがっているということを証明し納得させてくれることができるならば、 私はよろこんでそれらを正そう。 なぜなら私は真理を求めるのであって、 真理によって損害を受けた人間のあったためしはない。 これに反し自己の誤謬と無知の中に留まる者こそ損害を蒙るのである。
---マルクス・アウレリウス
精確に読むこと、全体的にざっと考えただけで満足しないこと、 そして大ざっぱなことをしゃべる人たちに早速同意しないこと。
---マルクス・アウレリウス、『自省録』(西洋古典叢書)
後期ストア派の代表者(A.D. 121-180)。 ローマ皇帝(161-180)。 日々ギリシア語で綴っていた覚え書きが『自省録』 (ギリシア語ではTa Eis Heauton, ラテン語ではAd se ipsum) として死後編集され、今日に至るまで広く読まれている。 この書物を通じて、気高い精神の人として知られている。 なお、カール・マルクスは彼の遠い子孫にあたり、 二人合わせてマルクス兄弟と呼ばれ映画にも出演している。 (08/27/99)
上の引用は以下の著作から。