利他性

(りたせい altruism)


人間の心の中にある、他人のために他人を思いやる気持ちまたは欲求のこと。 自分のために他人に親切にするのは、 しばしば利己的だと非難され、道徳的でないと貶されるので注意。 利己性の項も参照せよ。

人間の心の中に利他性が実際に存在するか、 すなわち他人のために他人を思いやる気持が存在するか、 という問いは、近代英国道徳哲学の大きな主題である。 ただし、そこでは主に「自愛 (自己利益self-interest、あるいは利己的selfish)」と 「善意」という対立する言葉で論じられてきた。 この言葉遣いがいつ「利己性」と「利他性」 という言葉遣いに代わったのかは不明。

なお、内井先生によると、 利他性には進化論的意味と心理的(倫理的)意味があり、 前者の意味では、「ある行為が利他的なのは、 その行為が他人の適応性を増大させ、 行為者の適応性を減少させるときであり」、 後者の意味では、「ある行為が利他的なのは、 その行為が、単に自分の欲求を満たすための手段としてだけではなく、 他人のために、行為者の究極的欲求からなされるときである」。 (28/Jan/2000)


KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Fri Jan 28 07:07:35 JST 2000