富山県射水市民病院事件

(とやまけんいみずしみんびょういんじけん)


2006(平成18)年3月25日、 富山県にある射水市民病院の 病院長が記者会見を開き、2000年から2005年にかけて、 7人の患者が外科部長によって人工呼吸器を取り外され て死亡していたと発表した。

報道によると、患者は50歳代から90歳代の男女で、7人いずれも意識がなく、 回復の見込みがない状態(5人は末期がん)だったとされる。また、同院長の 説明によると、この7人のうち、1人のカルテについては、家族を通じて本人の 同意が得られていることが記載されており、残りの6人については、家族の同 意のみが得られたことが記されていた。

県警は、08年7月に、呼吸器外しに関与した医師2人を、殺人容疑で富山地検に 書類送検した。なお、道立羽幌病院(04年5月)、和歌山県立医大付属病院紀 北分院(06年2月)でも同様の治療中止事件が起き、両者とも殺人容疑で書類 送検された(前者は06年8月に不起訴が決まった)。

この事件がきっかけとなり、行政や学会で終末期医療に関するガイドラインを 作る動きが活発化した。例えば、厚生労働省が07年6月にまとめたガイドライ ンでは、医療・ケアチームと患者・家族らによる慎重な手続きを踏まえた決定 の必要性が強調された。また、07年10月に日本救急医学会が公表した指針では、 治療中止が許される4類型が提示されており、厚労省のものよりも一歩踏み込 んだ内容である。さらに、国会でも超党派の議員連盟が07年6月に尊厳死法案 を公表したが、国会での審議はまだ行われていない。

15/Jun/2007; 13/Sep/2007追記; 03/Jul/2009追記


本項目の元の出典は以下。ただし、一部加筆修正あり。


KODAMA Satoshi
Last modified: Fri Jul 3 12:00:08 JST 2009