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慢性糸球体腎炎の薬物療法

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1) はじめに

2) レニン−アンジオテンシン系阻害薬

3) 副腎皮質ステロイドホルモン剤

4) ステロイド静注パルス療法

5) 免疫抑制剤

6) 抗血小板薬

7) 抗凝固剤

8) 漢方薬

はじめに

腎生検によって、慢性糸球体腎炎と診断されても、薬物療法の必要も無いような軽症の患者さんはたくさんいます。日本人は一般に薬好きで、入院までしたのに薬も出してくれない、と不満を言う患者さんもいます。また薬を出さないと病気が治ったと独断し、受診しなくなる患者さんが多いのが実状です。

慢性糸球体腎炎は治りにくい病気で、今は安定していても、突然活動性になる可能性があり、症状が無くても定期的な受診が必要であることを認識して頂きたいのです。

一方で、どうしてこのようにきつい薬を使わないといけないのか、と訴える患者さんもいます。これは腎炎の活動性が強いためで、もしこの時期に発見されていなかったら、透析寸前の腎不全になるまで放置されていたでしょう。このような場合には、ラッキ−であったと思って頂かなければなりません。

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レニン−アンジオテンシン系阻害薬

アンジオテンシン変換酵素阻害薬《ACE阻害剤》(レニベ−ス、カプトリルなど多数)やアンジオテンシン受容体拮抗薬《ARB》(ニューロタン、ブロプレス、その他)が用いられます。

本来降圧薬として非常に多く用いられています。最近、これらの薬は血圧を下げるだけではなく、慢性糸球体腎炎自体の治療にも有効な場合が報告されています。高血圧を合併している患者さんにはもちろん使用しますが、血圧のそれほど高くない患者さんにも効果が期待されます。副作用としては、前者には"から咳"があります。

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副腎皮質ステロイドホルモン剤

ネフロ−ゼ症候群を伴う慢性糸球体腎炎では、どのような組織所見であってもほとんどの場合に使用されます。ネフローゼ症候群を伴わない腎炎については、腎生検の結果、活動性が強く、腎不全に進行する可能性の強いような患者さんに投与します。

副腎皮質ステロイドホルモン剤は強力な作用を有する反面、様々な副作用の原因となります。まず、ほとんどの患者さんは顔が丸くなり(満月様顔貌)、にきびなどができます。もっと恐い副作用としては、胃潰瘍、糖尿病、感染症、骨粗鬆症、精神の変調などがあります。このように副作用の多い薬ですから、安易に服用すべきではありません。また、投与初期には、副作用による様々な合併症が予測されますから、原則として入院する必要があります。

腎生検も受けないで、《尿蛋白が出ているから試しに使ってみようか》などと言われたら、本当に必要か専門医に必ず相談して下さい。

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ステロイド静注パルス療法

通常はメチルプレドニゾロンを用います。ステロイド剤を、超大量短期間静脈注射する方法で(通常3日間)、腎生検で活動性の強い慢性糸球体腎炎に行われます。非常に強力な治療法で、効果も期待されますが、副作用に十分注意する必要があります。

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免疫抑制剤

シクロスポリン製剤エンドキサンイムランブレディニンなどが用いられます。原則としてステロイド剤と併用され、急速進行型腎炎や難治性ネフロ−ゼ症候群、頻回再発型ネフローゼ症候群のような場合に用いられます。

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抗血小板薬

ペルサンチンコメリアン等の抗血小板薬を慢性糸球体腎炎に用います。慢性糸球体腎炎の進展や悪化に血小板が異常に活性化することが関与していると考えられています。このため、血小板の作用を抑える薬(抗血小板薬)が基礎薬として用いられます。ペルサンチンが最も有効とされていますが、頭痛、動悸、顔面の熱感などの副作用がみられることがあります。

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抗凝固剤

ヘパリンワーファリンが用いられます。糸球体の毛細血管の血液凝固が、慢性糸球体腎炎を進行させます。特に、急速進行型腎炎の場合には、このような機序が作用しているとされています。このため、血液の凝固を抑える抗凝固薬が用いられます。また、ステロイド剤は凝固能を亢進するため、ステロイド剤を使用中のみ併用することもあります。

抗凝固薬の内服ではワーファリンが、点滴としてヘパリンが用いられます。これらの薬は用量が少ないと効果が得られず、多すぎると出血をきたすことがあります。そのため適切な用量を決めるまで、何度も血液検査を行う必要があります。

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漢方薬

柴令湯(さいれいとう)、五苓散(ごれいさん)、猪苓湯(ちょれいとう)などが用いられます。腎炎では柴令湯の効果が報告されていますが、含有されている成分から、ステロイド剤類似の薬効と考えられ、同様の副作用が見られることがあります。

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