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長期透析の合併症

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様々な合併症があり、透析患者さんを悩ましています。しかし、患者さんの努力で予防できるものも多く、透析を始めた患者さんは、将来このような合併症を起こさないようにしていただきたいのです。

1) 合併症に注意

2) 心不全

3) 感染症

4) 脳卒中

5) 栄養障害

6) 低血圧症

7) 骨・関節障害

合併症に注意

透析療法を長く続けると(現在25%以上の患者さんが10年以上透析を受けている)、様々な合併症が現れることがあります。既に30年間透析を受けている患者さんもおられ、どのような原因で、どのような合併症が現れるか、だいたい予想できる時代になっています。透析療法が始まった頃にはもちろん長期の合併症など見当もつかない、というより《今日を無事に乗り越える》ことが目標でした。しかし今では、皆さんの先輩である長期透析患者さんが現に経験し、苦しんでいる合併症から、これから透析を始める患者さんに様々な忠告が送られているわけです。

もちろん現在でも予防の困難な合併症もありますが、一般には食事療法などにより予防できます。透析を開始する時点で、既に合併症を持っている患者さんは、これがさらに悪くならないように注意が必要です。主な合併症の原因や予防・治療法を以下に簡単に説明します。

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心不全

心不全は透析患者さんの死因の中で最も多く、極めて重要な合併症です。心不全には急性心不全慢性心不全があります。

急性心筋梗塞や高カリウム血症、過剰な体重増加などが原因で急に心臓の働きが低下したり、あるいはとまってしまったりするのが急性心不全です。今元気な患者さんでも、急性心不全の危険がいっぱいなのです。

一方、もともと心臓の病気があって働きの弱い人や、糖尿病が原因で透析を始めた人、高齢者の中ですでに心臓の予備力が低下している人がいます。これが慢性心不全で、ちょっと無理をしたり、体重増加が多かったり、急に血圧が上昇したり、逆に透析中のショックなどによって胸苦しさ、息切れなどの心不全の症状が現れます。ひどい場合には命にかかわります。若くて元気な患者さんでも、透析のたびに体重の増加量が多かったり血圧の管理が悪いと、徐々に心機能が低下し、慢性心不全になってしまう危険があります。

これらを予防するには、食事療法により透析間の体重増加を少なくし高カリウム血症を予防し血圧を管理することが重要です。

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感染症

心不全に次いで多いのが感染症です。透析患者さんは、ばい菌やウイルスに対する抵抗力が低下しており、健康な人より感染症にかかりやすいのです。また、透析患者さんは症状が出にくい特徴があります。肺炎にかかっても高い熱が出ず、全身の倦怠感(だるく感じること)や咳、痰だけで始まることもあり、このため軽い風邪と誤って判断して治療が遅れることもあります。いずれにしても、予防と早期発見・早期治療が最も重要です。

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脳卒中

透析患者さんの死因の第4位が脳卒中です。脳卒中とは、脳の血管が破れる脳出血と、脳の血管がつまる脳梗塞に分けられます。脳出血、脳梗塞ともに長期間高血圧が続いたり、高齢の患者さんや糖尿病による腎不全の患者さんで、脳の動脈硬化が強い場合に起こりやすいのです。とくにこのような患者さんは血圧や体重の変動を少なくして脳卒中の予防に心がける必要があります。

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栄養障害

透析患者さんが高齢化し、糖尿病性腎症の患者さんが増加するようになって、栄養障害が大きな問題になっています。一般に、透析患者さんのドライウェイトは健常人より5〜6kg少なく、標準体重以下の方が多いのです。

また、透析患者さんのドライウェイト(目標体重)は仮に決めたものですから、本当の体重が減っていても見かけ上判断できないこともあります。様々な原因で体重は減少します。通常では原因が無くなるともとの体重に戻りますが、透析患者さんでは、もとの体重に戻らず、どんどん減っていき、栄養失調状態となって抵抗力が低下し、感染症などの原因となります。とかく痩せている方が健康に良いと言う最近の風潮ですが、透析患者さんは標準体重を目標にしっかり食べる必要があります。

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低血圧症

透析中だけ血圧が下がるのは透析間の体重増加が多く、時間当たりの除水量が多いからで、塩分や水分制限を強化する必要があります。透析室での血圧を見ると透析前の立位と臥位には差はありませんが、透析中には平均約30mmHg低下します。さらに透析後立位の血圧は、透析中の最も低い血圧まで低下し、立ちくらみやふらつきの原因となります。

一方、透析が長くなるにつれ、透析前の最高血圧が100以下にまで下がる低血圧症となる患者さんが増えてきます。このような患者さんは日常生活においても倦怠感や立ちくらみを訴えることが多く、透析中にも血圧が低下し、立ちくらみと同じ様な症状を起こしやすくなります。自律神経障害などいろいろな原因が考えられていますが、ドライウェイトが本当の体重より少ない場合もあり、まず、これを見直してもらう必要があります。しかし、原因不明なことも多く低血圧が続く場合には、血圧を上げる昇圧薬を飲むと楽になる場合があります。

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骨・関節障害

長期間透析を受けている患者さんの多くは徐々に骨がもろくなったり、また関節の痛みに苦しんだりしています。透析患者さんの骨の異常にはいろいろな原因が絡み合っており、その病気の形態も複雑であるため、一般に腎性骨異栄養症(ROD)というわけのわからない名前が付けられ、病気そのものについてもあまりよく知られていませんでした。しかし、透析アミロイドーシスという病気の原因も解明され、徐々に明らかになってきています。最近では、慢性腎臓病におけるミネラルの異常は骨の病変を起こすだけでなく、血管を含む全身の石灰化を生じて長期的に透析患者さんの寿命に悪影響を及ぼすことが判ってきました。

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