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糖尿病性腎症の治療

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糖尿病腎症に対する治療は、その時期によって大きく異なります。

1) 糖尿病性腎症の治療を始める時期

2) 血糖管理

3) 食事療法の変化

4) 安静

糖尿病性腎症の治療を始める時期

糖尿病が原因で蛋白尿が現れると、平均数年で透析が必要となる程、進行が早いと言う統計も有ります。もちろん進行を食い止めるような方法が考案されていますが、早く始める程有効です。一般には検尿では蛋白尿は陰性ですが、特殊な尿検査でアルブミンと言う蛋白が正常値を上回った時期(微量アルブミン尿期と呼ぶ)から始めます。「腎臓病の種類、糖尿病性腎症の項」も参照して下さい。

微量アルブミン尿の時期には通常の糖尿病の症状以外、変化の無い事がほとんどで、腎症が現れていると言われても、自覚の無い患者さんの多いのが実状です。しかし、微量アルブミン尿の時期は非常に重要で、しっかり糖尿病の治療、血糖の管理を行えば、腎症は治ることもあります。

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血糖管理

糖尿病性腎症は糖尿病、すなわち血糖値が高い状態が長期間続くことによって起こります。従って、腎症が現れてからも血糖管理が最も重要である事は当然です。

糖尿病の患者さんが、腎症が出てきてから怖くなって、極端なダイエットで今まで肥満気味であった体重を急激に減らそうとする場合があります。また、既にやせ気味であるにもかかわらず、ダイエットを行っている人もおられます。しかし体重は少なければ良い、というようなものではありません。

血糖は管理できても栄養失調になって、肺炎で命を落とす、と言うようなことにもなりかねません。その人にとってちょうど良い体重を理想体重(または標準体重)と呼んでいます。いろんな求め方が有りますが、一般には、身長(m)x身長(m)x22と言う式が多く用いられています。例えば、165cmの方なら、1.65x1.65x22 = 59.9 kgが標準体重です。

とにかく、ダイエットで血糖を管理することは重要ですが、これを大幅に下回るような体重にならないように注意しましょう。ダイエットだけで血糖が管理出来なければ、血糖降下剤の服用や、インスリン(血糖を下げるホルモン)の注射を行うべきです。

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食事療法の変化

糖尿病の治療の基本は食事療法です。肥満を防ぎ、血糖管理のために糖分の多い食品は制限されます。ところが、腎症が現れると食事療法は複雑になります

糖尿病性腎症では、糖尿病の食事療法に加え、慢性腎不全の食事療法が加わります。しかし、これらは互いに矛盾する内容が多いので、戸惑う患者さんが多く、実行できない、あるいは間違った方法を行っている場合が多々あります。

今まで、血糖を上げないために糖分は制限して同じカロリーの蛋白質を食べなさい、と指導されて来たのに、いきなり、蛋白質を制限して糖質や脂質を取りなさいとまったく逆のことを言われても、すぐには納得できないのは当然です。困った事に、今まで行ってきた食事療法は間違っていたのでは、と医師や栄養士に不信を抱き、受診しなくなるような事まで実際にあります。このような事の無いように患者さんが納得されるまで十分説明しますが、患者さん自身には病状が変わったのだから治療法が変わるのは当然と考えて頂きたいのです。

中途半端な説明で誤解を招くと困りますので、ここでは詳しく述べない事にしますが、基本は糖尿病の食事療法に慢性腎不全で述べたような食事療法が加わる事になります。『日本腎臓学会のガイドライン』では病期毎の食事療法が推奨されています。しかし、糖尿病性腎症で腎不全となった患者さんのほとんどは高齢であり、体重が標準体重以下の患者さんが多く、いずれにせよ透析までの期間が短いことから、栄養状態保持することを優先し、私共は1日0.8g/kg体重以下の蛋白制限は原則として行わないようにしています。

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安静

安静度も病期によって変化します。腎症が現れるまでは血糖管理、肥満解消のために、運動療法が推奨され、歩け歩けと指導されます。しかし、蛋白尿が出現すると運動制限が指導されることになります。

安静の程度は患者さんの腎症の程度、年齢や合併症などを考慮して決められるため、一概に言うのは困難です。特に高齢の患者さんで、心臓などに高度の合併症が無ければ、厳密な安静はかえって体力を低下するなど、別の合併症につながる可能性があります。もちろん過激な運動や、ゴルフなどの長時間に及ぶ運動はひかえた方が良いと思われます。

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