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慢性糸球体腎炎の日常生活

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慢性糸球体腎炎の安静度には、現在でも確立された指標の無いのが実情です。これは慢性糸球体腎炎の進行は一般に緩徐で、10年単位でしか判断できないこと、個人の安静に対する感覚が非常に異なること、などが大きな要因です。

1) 安静の程度は?

2) 運動、体育

3) 趣味

4) 家事

5) 保温

6) お酒、タバコ

7) 薬、健康食品

8) 妊娠・出産

9) 感染症、風邪

安静の程度は?

一般に外来での1日尿蛋白と、入院中の安静状態の尿蛋白は非常に異なります。安静状態の尿蛋白の方が少ないのです。また、寝た状態よりも立った状態の方が、腎臓を流れる血液の量が減少し(「負荷腎機能検査の項」を参照して下さい。)、慢性糸球体腎炎ではこのような反応がより強く起こるため、腎臓に負担がかかるのです。このような状態が長時間続くと、ますます腎臓に負担がかかり、腎炎の進行を助長すると考えられています。

それではどの程度の安静が必要か?と聞かれると、あまり根拠が無いのが実情ですが、負荷腎機能検査などを行い、尿蛋白や腎機能の変動を参考に指導しています。いずれにせよ、生活制限の最も大きなポイントは食事療法と同じで、毎日コンスタントな生活をすることです。腎臓は生活の変化に敏感です。今日は1日中働いたから、明日は休み。と言うのではなく、できれば2日に分けて働く方が腎臓には負担が少ないのです。

このようなことを念頭において、生活を考えて下さい。先に述べたように、症状の無いことが多いですから、どのような場合に腎臓に負担となっているかを、頭で考えていただきたいのです。

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運動、体育

病状によりますが、慢性糸球体腎炎だからと言ってまったく禁止されるものではありません。ただ、競争するようなスポーツ、長時間にわたるもの、団体でするスポーツ(自分だけ疲れたからといって、休めない)、高温下・寒冷下でのスポーツ等は避けましょう。

学校での体育の授業は激しいものでなければかまいませんが、クラブ活動でのスポーツは残念ですが止めた方が良いでしょう。クラブ活動でのスポーツは、例え個人競技であっても、無理をしがちになるからです。

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趣味

できるだけ文化的な趣味で気分転換を図りましょう。軽い運動は結構です。自分の運動制限に合わせられる程度でしたら差し支えありません。この場合も疲れたら休むようにしましょう。

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家事

原則的に家事は通常どおりしていただいて結構です。《安静の程度》の項で述べたように、出来るだけコンスタントな生活を心がけましょう。忙しい時は家族の協力をお願いした方がいいでしょう。

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保温

コンスタントな生活が重要であることは何度も述べましたが、気候の変化は避けられません。しかし、気候に関しても、頭で感じる気分の良さとは関係なく、常に腎臓に無理がかかっていないかと思いやって下さい。

普通の人は夏や冬より、春や秋を好まれるでしょう。このような気温の変化は、感覚では非常に好ましいと感じられますが、体にとっては大きなストレスとなります。暑い夏から秋風が吹くとホッとしますが、血圧が変動したり、体の変調をきたします。特に子供や老人ではこのような変調が大きく現れます。実際、秋から冬にかけて腎臓病が悪くなることが多いのです。身体を冷やすと、神経の作用で腎臓の血管が収縮し、血流が悪くなります。これは、立った状態では腎血流量が減少するのと似ています。冬の寒い時に暖かくするのはもちろんですが、夏でも冷房が効き過ぎないよう、こまめに温度を調節したり、衣類を用意して身体が冷え過ぎないようにしましょう。

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お酒、タバコ

お酒自体は直接腎臓に悪くはありません。気分転換、ストレス発散等の面からはかえって良い効果もありますが、夜遅くまで飲んでいたりすると腎臓に負担となりますので、適量にしましょう。また酒の肴には塩分が多いものがありますので、とり過ぎに注意しましょう。

タバコについては"気分が落ち着く"など良い面もありますが、腎臓病の進行を早めます。禁煙すべきです。

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薬、健康食品

常用している市販薬や健康食品がありましたら、必ず主治医に伝えておきましょう。なかには腎臓に害があったり、体質と合わなくて良くないものもありますので注意が必要です。また、現在かかっている以外の医療施設を受診し、投薬などを受ける際は、必ずどのような腎臓病で治療中であるかを伝える必要があります。紹介状などを持って受診されることを勧めます。

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妊娠・出産

女性の患者さんにとって妊娠出産は重要な問題であり、悩まれている方も多いと思います。医学的な経験から色々な基準が提案されています。また、薬を飲んでいる方も多いと思いますが、ほとんどの薬は胎児に対する安全性が認められていない場合が多いのです。

従って、《出来てしまった、どうしたらいいです》と相談される患者さんが多いのですが、実際には、以下に述べる基準などを参考に主治医やご主人ともよく相談し、どうしても子供が欲しいと決断すれば、薬を止めるなどの周到な準備の上で、妊娠・出産に望むべきです。しかし全く腎臓病の無い方でも妊娠高血圧症候群が発症し、流産に終わるばかりか自分の腎臓を悪くすることがあります。ましてや腎臓病の患者さんは妊娠高血圧症候群の危険が大きいのです。

一般的にはクレアチニンクリアランスが70ml/分(正常;100ml/分)以下の腎機能低下がある人には、妊娠・出産は勧められません。このような患者さんの腎機能には予備力は全くありません。妊娠中は胎児の成長のために心拍出量や腎血流量は30〜50%程度増加します。しかし予備力が無ければ、もちろんこれは不可能で、胎児の成長が望めないことが多いのです。このため流産も多いのですが、母胎にも大きなダメージが及ぶ場合もあります。妊娠を契機に腎機能が急激に低下し、透析が必要となる場合もあります。このようなことをよく考えた上、主治医や家族と相談して下さい。

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感染症、風邪

風邪などの感染を契機として腎炎が悪化したり、ネフロ−ゼが再発することが非常に多いため、特に注意が必要です。日頃から規則正しい生活をして、十分睡眠をとり、疲れをためないようにしましょう。栄養のバランスが崩れないように食事をとりましょう。さらに、人ごみは出来るだけ避け、外から帰ったら必ず手を洗い、うがいを励行しましょう。予防に勝る治療はありません。ひいてしまった場合は早めに治療を受け、ひどくならないようにしましょう。

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