内側側頭葉てんかんに対する定位的放射線治療

東京大学 医学部附属病院 脳神経外科 川合研究室 | 難治性てんかんの治療 | 川合 謙介最近、内側型側頭葉てんかん典型例に対してガンマナイフなどの定位的放射線治療の有効性が報告されています。びまん性に拡がっていることの多い新皮質焦点に対し、側頭葉内側焦点は限局しているので、局所的な放射線照射は理にかなった治療法と言えます。当初は、脳組織を破壊しない低線量で記憶機能を温存したまま発作を抑制できるのでは、とも期待されましたが、東大病院における私達の経験では、切除手術同様、側頭葉内側構造を充分に破壊することによって効果を発揮するようです(Journal of Neurosurgery誌へ発表した論文)。外科的操作を必要とせず、短期入院で治療が終了するメリットに対し、発作抑制効果出現までに平均約1年の遅延がある、発作抑制・副作用とも長期効果が不明などのデメリットがあります。開頭手術を必要としない点では低侵襲的とも言えますが、照射野およびその周囲に広汎な脳浮腫が出現するので、外科的切除の方がてんかん焦点に対してより選択的とも言え、その評価は本邦のみならず欧米でも未だ固まっていません。当面は、専門施設(照射装置のみならずてんかんの専門医がいる施設)において、かつ、内側型側頭葉てんかんの典型例にのみ適応が限られる試験的治療法と言えます。

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