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概要

抄集録

49P-097 転位を認めた鎖骨骨幹部骨折に対し保存療法を選択しスポーツ復帰を果たした一症例松井麻美1),竹内大樹2),青山倫久2),綿貫誠3)1)AR-Ex 尾山台整形外科 東京関節鏡センター リハビリテーション科2)アレックス メディカルリサーチセンター3)AR-Ex 尾山台整形外科 東京関節鏡センター 整形外科key words 鎖骨骨幹部骨折・保存療法・スポーツ復帰【はじめに】 鎖骨骨折の中で骨幹部は約80%を占める最も多い骨折箇所であり,骨癒合が良好で機能的予後も良いことから保存療法が第一選択とされている.しかし近年,手術療法における良好な成績も報告されており,転位の著しい骨折では手術療法が選択される.今回,鎖骨骨幹部骨折を呈した手術療法と保存療法の適応境界例を経験し,良好な経過を得たため報告する.【説明と同意】 ヘルシンキ宣言に基づき,本症例に対し発表目的の説明を行った上で同意を得た.【症例】 15 歳女性.授業の合気道で受傷.左鎖骨骨幹部骨折と診断.受傷後2 日目より鎖骨バンドで固定を開始したが転位の改善が乏しく,手術療法を検討するも本人の希望より保存療法を実施,6 週間の安静期間を経て理学療法開始となった.【経過】 初期評価時の日本整形外科学会肩関節疾患治療成績判定基準(JOA score)38.5 点.安静時痛,動作時痛があり,肩関節屈曲90°,外転80°と可動域制限を認めた.受傷後8 週目で仮骨形成の進行を確認し装具を除去,関節可動域練習や筋力強化を継続し,転位の拡大なく良好な骨癒合を認め,15 週目でスポーツ復帰をした.復帰時JOAscore97 点.【考察】 鎖骨は肩甲帯の動作の支点となる役割を担い,肩甲骨の動きに付随して運動し,上肢挙上90°以上で胸鎖関節を軸に挙上と後方回旋をする.このことから骨癒合が不十分な時期には骨折部へ剪断力が加わらないよう肩甲骨固定下にて挙上90°以内で関節可動域練習を実施した.固定除去後は挙上時に肩甲骨のwinging を認めたことから,上腕の動きに合わせて徒手的に肩甲骨の操作をし,また肩甲骨固定筋の強化も実施した.鎖骨骨折の手術療法における固定期間は2 ~ 3 週であり,6 ~ 12 週でスポーツ復帰とされている.本症例は手術療法と比較し固定は長期に及んだが,癒合部の固定性が強固でない状態でも鎖骨の運動学的機能を考慮し介入したことで,良好な結果を得ることができたと考える.P-098 関節不安定性が関節内構成体に及ぼす影響について村田健児1),国分貴徳2),鬼塚勝哉3),中島彩1),藤原秀平1),森下佑里1),高柳清美2),金村尚彦2)1)埼玉県立大学大学院 保健医療福祉学研究科2)埼玉県立大学 保健医療福祉学部 理学療法学科3)東京女子医科大学 八千代医療センターkey words 関節軟骨・関節不安定性・組織学【目的】 メカニカルストレスは変形性関節症を主とした疼痛や機能障害を伴う運動器疾患の一要因とされている。なかでも関節不安定性が身体組織に影響を与えることを経験的に理解しているものの、関節不安定性が異常なメカニカルストレスになり得るという科学的根拠はない。本研究では、実験モデルを用いて関節不安定性条件とその制動条件を再現し、関節内構成体に及ぼす影響について調査した。【方法】 膝関節を対象に異なる関節不安定性を再現するため、Wistar 系雄性ラット6 か月齢15 匹を3 群に分類した (ACL断裂による脛骨前方不安定性を惹起した: ACL-T 群、ACL断裂後に脛骨前方不安定性を制動したCAM 群、手術を行わないINTACT 群)。術後12 週で膝関節を採取、凍結切片を作成し、サフラニンO・ファストグリン染色を行った。滑膜、半月板、関節軟骨、骨棘について組織学的分析を実施した。また、滑膜においては炎症メディエータであるTNF- αやIL- βについて、免疫組織学染色(アビジン・ビオチン複合体法)による観察を行った。統計解析は、関節軟骨、半月板、滑膜、骨棘の組織学的スコアについて一元配置分散分析(Tukey 法)を実施した。尚、本研究は本学研究推進委員会の承認を得た。【結果】 CAM 群の関節軟骨変性が前方・後方部で有意に抑制され(p < 0.001)、後方部のACL-T 群に比較してCAM 群で有意に抑制された(p < 0.001)。また、半月板においては、ACL-T 群で有意に変性が進行していたが、CAM 群とは有意差は認めなかった。滑膜組織でも同様に、ACL-T 群で滑膜周囲の細胞増殖や線維層の肥厚を認めた(p=0.018)。TNF- αやIL- βの免疫染色において、ACL-T 群で明らかな濃染を確認した。【結語】 解剖学的に骨構造が不安定な膝関節において、半月板や靭帯は関節の機能的安定性に重要な役割を果たしている一方、本研究結果は関節の安定性機構の破綻が滑膜炎や骨棘、変形性関節症といった関節内変性に惹起することを示唆した。