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概要

抄集録

43P-085 理学・作業療法的介入によりQOL 向上に寄与した膵臓癌末期患者に対するがんリハビリテーションの一症例石井大輔1)1)川崎幸病院 リハビリテーション科key words 終末期・家族・QOL【はじめに】 医療が病院から地域へ移行し入院期間が短縮傾向にある中、急性期病院にて理学・作業療法的介入により終末期がん患者とその家族のQOL 向上に寄与できたと考えられる症例を経験したので報告する。【症例紹介】 80 代男性、診断名:膵臓尾部癌(stage IVb)、主訴:全身倦怠感、現病歴:食欲低下・体重減少にて受診し膵臓癌の診断で入院、本人・家族へ告知済、予後1 ~ 2 カ月、緩和的治療方針。【説明と同意】 本症例には今回の発表の主旨を説明し同意を得た。【経過】 2 病日よりリハビリ開始。経鼻酸素(3L/min)、疼痛無し、PS:grade3、ADL:室内歩行・トイレ動作自立。7 病日まで筋力訓練、歩行訓練を実施。8 病日より酸素マスク(5L/min)、歩行困難となる。14 病日まで理学療法と精神障害領域の作業療法による緩和ケア及び家族に対する患者への身体ケア方法を指導。15 病日に酸素マスク(10L/min)、モルヒネ投与、意識障害、ADL 全介助となり、17 病日に永眠。【考察】 余命宣告を速やかに受け入れる事のできる人は少ないのではないか。本症例も突然の告知に対し患者と家族は適切な対応が困難な状態であった。また「家族は第二の患者」とも言われ死亡前後、患者ケアに十分参加できなかった家族は死別体験の無い同年代と比べて死亡率が高いとされる。そこで今回、理学・作業療法的介入による「身体的・精神的・社会的な痛みの緩和」と「家族主体の患者ケア」を通じて患者と家族が死を受け入れられるよう支援することで、生存中の患者と家族、そして死後残された家族のQOL向上を図った。結果、生存中は患者と家族が共に笑顔を交えて身体ケアとこれまでの人生の振り返りを行う日々を過ごされた。これまでのリハビリは生きている事が前提ではなかったか。終末期がん患者に対するリハビリは死に対する理解を深める必要がある。そして急性期病院での短い入院期間でも患者と家族のQOL向上に貢献できることは少なくないと考える。P-086 肺内パーカッションベンチレーター、排痰補助装置を導入し気管切開孔を閉鎖できた高位頚髄損傷の症例米山静香1),山崎忍1),泉從道1)1)鹿教湯三才山リハビリテーションセンター 三才山病院key words 高位脊髄損傷・気管切開・機械的排痰【はじめに】 今回、高位頚髄損傷受傷後に気管切開術が行われた症例に対し肺内パーカッションベンチレーター( 以下IPV? )、排痰補助装置カフアシストE70 ?(以下E70 ?)を導入し、自己排痰が可能となり気管切開孔閉鎖に至ったので報告する。【症例紹介】 57 歳、男性。診断名:頚髄損傷(第4 頚椎前方脱臼)。現病歴:交通事故にて受傷しC4/5 後方固定術を施行。第2 病日に気管切開下陽圧換気療法が開始され、第19 病日に離脱。第23 病日に回復期リハビリテーション目的で当院へ転院。本研究は患者より文章にて同意を得て、当院学術研究倫理審査委員会に承認を得た。利益相反はない。【初期評価】 Zancolli の分類: 右C6 A、左C6B1、ASIA 分類:C、呼吸機能:気管切開カニューレ(高研レティナ?)留置。肺活量( 以下VC):1390mL、最大呼気流速( 以下CPF):110L/ 分。痰は黄色で粘稠度が高く自己排痰が困難。気管切開孔からの吸引を1 時間に1 回行っていた。FIM:運動13 点、認知34 点、合計47 点。【介入と経過】 入院時より徒手による咳介助訓練を実施し、訓練中の自己排痰が可能。第57 病日に気管支肺炎を併発。排痰目的にIPV ?を開始。第140 病日、VC:2070 mL、CPF:125L/ 分。気管支肺炎が軽快して痰の粘稠度が低下し、自己排痰頻度が増加。第147 病日にIPV ?を終了し、E70?を導入。第175 病日には気管切開孔からの吸引は2-3日に1 回へ減少し、自己排痰が可能となった。第195 病日にVC:2200 mL、CPF:125L/ 分となり、気管切開カニューレを抜去し、気管切開孔は自然閉鎖。【考察】 高位脊髄損傷患者は、急性期では副交感神経優位となり気道分泌物が増加しやすい。本症例は呼吸筋麻痺を生じ咳嗽力が低下し、加えて気管支肺炎を併発し自己排痰が困難となった。IPV ?を導入し痰の粘稠度を低下させ、その後のE70 ?の導入により自己排痰が可能になった。気管切開閉鎖後は気管カニューレによる刺激が消失することで痰も減少し、本人のストレスも軽減された。