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概要

抄集録

38P-075 家事活動量のコントロールが不良であった下肢痛に対してペーシングが奏効した一例押川武将1),中島陽平1),中村祐太1),柴伸昌1)1)東馬込しば整形外科 リハビリテーション科key words 下肢痛・家事活動量・ペーシング【はじめに】 慢性疼痛患者の特徴として全か無かの極端な思考・行動パターンを示すことが多い。今回、家事活動量のコントロールが不良であった下肢痛に対してペーシングを行うことで疼痛が改善した症例を経験したため報告する。【症例】 79 歳女性。2016 年7 月より出現した左下肢痛を主訴に10 月に当院受診。CT,MRI 所見と臨床症状から腰部脊柱管狭窄症と診断された。11 月より理学療法を開始した。なお、対象者には本報告の要旨を十分に説明し同意を得た。【評価および経過】 初期評価では体幹伸展にて左下肢後外側に疼痛を認めた(VAS8.0)。その後、1 か月間は姿勢修正を目的に介入し、疼痛軽減がみられた(VAS2.5)。しかし、家事活動量が増加したことで1 週間後に疼痛が悪化した(VAS6.5)。以後、治療後は疼痛が軽減し家事動作後に疼痛が増強するという状態が続いた。そして、疼痛がない時間で家事動作を済ませ、疼痛が出現したら臥床するという生活パターンであり、「リハビリ後の調子がいい間に一気に家事をやっている」という発言が聞かれた。そのため、洗濯、掃除は1 日2 回に分け、料理は一皿作るごとに座位で休憩するよう指導し、ペーシングを行った。【結果】 介入2 ヶ月で左下肢痛はVAS0 となった。1 日の行動をセルフマネジメントし計画的に家事動作を実施することが可能となった。【考察】 本症例は全か無かの極端な思考・行動パターンとなりやすく、姿勢修正による疼痛の改善が逆に短時間での家事動作を助長し、その結果、疼痛が増強するという痛みの悪循環に陥ったと考えられる。これに対して家事活動量をペーシングし、行動に対する認識を是正することで自己による家事活動量のコントロールが可能となり疼痛が改善したと考えられる。【結語】 家事活動量のコントロールが不良である症例に対してはペーシングが有効な手段であることが示唆された。P-076 腱板断裂を伴った反復性肩関節脱臼術後3 ヵ月に不安定感が出現した症例鈴木大1),古沢俊祐1),吉川恵1),橋川拓史1),寺門淳1)1)北千葉整形外科key words 腱板断裂・反復性肩関節脱臼・不安定感【はじめに】 中高齢者の肩関節前方脱臼は腱板断裂を合併する事が多く, 鏡視下にて腱板修復とBankart 修復を同時に行う術式が確立されており, 不安定感や再脱臼に対する長期の術後成績も良好であると報告されている. しかし術後早期の不安定感に関する報告は少ない. 今回術後5 週以降に不安定感が出現した症例に対する理学療法について報告する. なお本報告について患者に十分に説明し同意を得た.【症例紹介】 62 歳, 女性. 主婦. 平成24 年転倒により右肩関節脱臼を受傷. 平成27 年再び転倒し右肩関節再脱臼と腱板断裂を受傷. 平成28 年5 月他院にて手術施行. 術前の主訴は拭き掃除におけるリーチ動作時の不安定感でありApprehension sigh は陽性であった.【画像所見】 MRI にて棘上筋, 棘下筋の広範囲断裂と診断されBankart Lesion を認めた. またCT 所見にて前下方の関節窩骨折と診断.【手術所見】 ブリッジング法にて断裂腱の修復を行い, 同時に関節包の修復を行った.【理学所見】 術後は3 週で外転固定装具Off, 術後5 週で自動運動開始となった. 術後5 週以降疼痛は軽減し家事動作も徐々に可能となるが, 術後3 ヶ月で術前同様に拭き掃除におけるリーチ動作時の不安定感が出現した.Apprehension sigh は陽性であり腱板筋力は各方向で低下を認めたが, 肩甲骨位置の補正にて筋力の向上がみられた. 術後6 ヶ月では不安定感は消失し,Apprehension sigh は陰性となった.【考察】 術後5 週以降に出現した不安定感の要因として, 安静時肩甲帯Alignment 異常によりリーチ動作時における肩甲骨と上腕骨頭が求心位に保たれていない事と考えた. 理学療法介入では上腕骨頭に対する肩甲骨の求心位の獲得を目的に閉鎖位の運動療法を行った結果, 術後6 ヶ月では不安定感は消失した. 術後3 ヵ月で生じた不安定感に対する理学療法では, 肩甲骨と上腕骨の位置関係を考慮し, 閉鎖位の運動を用い肩甲帯を中心とした機能を賦活化させ, 逸脱した運動様式の修正を図ることが重要であると考える.