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概要

抄集録

32P-063 脳性麻痺を有する成人に対し体幹機能の向上により歩行を再獲得した症例安藤由孝1),西谷拓也1),青木賢宏1),岩田千恵子1)1)八王子保健生活協同組合 城山病院 診療技術部 リハビリテーション科key words 不安定板・体幹機能・歩行【はじめに】 脳性麻痺と変形性膝関節症を有し歩行困難となった症例に対し, 体幹機能が向上することで歩行が改善する経験をしたのでここに報告する.【倫理的配慮】 今回の報告に際し対象者へ説明し同意を得た.【症例】 64 歳女性. 診断名: 左変形性膝関節症増悪, 既往: 脳性麻痺. 入院前は左膝装具と右金属支柱付き靴型装具を装着し, 車輪付き歩行器歩行が屋内見守りレベルだった. 入院時はBr.stage 両側IV ~ V,ROM は膝関節伸展が右- 5°, 左- 20°. MMT は両大腿四頭筋3・腹直筋2, 臨床的体幹機能検査( 以下FACT) は4/20 点. 疼痛はNumericalRating Scale( 以下NRS) で左膝関節に安静時痛6・荷重時痛8, 歩行は困難だった. 評価結果より特に体幹機能の低下に着目した.【経過】 体幹機能向上練習は, 入院直後は端座位で同時収縮を行った.2 週目より平行棒内歩行練習を開始したが, 体幹の正中位保持が困難でチルトテーブル立位練習を併用した.4週目より体幹正中位での歩行が可能になったが, ごく短距離しか持続できないため, 突起型不安定板を使用し座位練習を開始した.5 週目で入院前の歩行が可能となった.【結果】 退院時の筋力はMMT で両大腿四頭筋・腹直筋4, 左膝関節の疼痛はNRS2,FACT は11/20 点となった. FACT の動的端座位保持能力の項目の内, 体幹回旋を伴う下方へのリーチ・臀部離床後の臀部の左右への移動・片側大腿部を持ち上げた時の体幹保持能力・両側大腿部を持ち上げた時の体幹保持能力の4 項目で改善が認められ体幹機能が向上した.【考察】 本症例では突起型不安定板を使用した練習が効果的だった. 関節の安定化と外力や状況変化に即座に対応させる課題は, 受容器より中枢神経系を経て効果器である筋に至る回路の機能を改善し, 神経―運動器のより良い協調により体幹と下肢の連動にも有効だったと考える.P-064 腰部脊柱管狭窄症により対麻痺・重度感覚障害を呈した症例―自宅退院を目指して―森祐希1)1)一般社団法人巨樹の会 宇都宮リハビリテーション病院key words 基本動作・環境設定・麻痺【はじめに】 本症例は腰部脊柱管狭窄症によりT h 11.12 レベルでの不全麻痺、重度感覚障害を呈した症例である。当院入院から自宅退院までの経過を報告する。発表に際し症例にはヘルシンキ宣言に基づき同意を得た。【症例紹介】 年齢60 代 性別 女性 疾患名 腰部脊柱管狭窄症 PLIF 施行 キーパーソン夫。本人・家族HOPE はトイレが一人でできること。入院時、基本動作中等度介助レベル、端座位保持困難、排泄はおむつを使用。両下肢MMT1 レベルで、深部表在感覚共に重度鈍麻。【経過】 入院初期より寝返り・起居の訓練を積極的に実施し、同時に端座位保持練習、両長下肢装具着用のもと、リーチングなどを実施した。入院4 週目に基本動作自立、8 週目に車椅子への移乗・移動自立。10 週目にトイレ動作自立、退院前自宅訪問での環境設定を実施。また、家族指導を行い11 週目に自宅退院の運びとなった。両下肢の感覚障害に大きな変化は見られなかったが、MMT は両側3 レベルまで回復した。【考察】 寝返り・起居訓練により、下部体幹の体軸内回旋から腹斜筋、骨盤・下肢の固定に働く大腿直筋や長内転筋の賦活が行えたと考える。更に、長下肢装具を用いたリーチ訓練が腸腰筋や大殿筋、脊柱起立筋などの抗重力筋を賦活させ、端座位の獲得に至ったと考える。また、歩行獲得には至らなかったものの、上肢機能の代償、環境設定により車椅子移動、トイレ動作獲得が自宅退院に繋がったと考える。