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概要

抄集録

26P-051 重度片麻痺,高次脳機能障害を呈し,復職に至った症例榎谷高宏1),千賀浩太郎1),飯島伸介2),鎌田久美子3),菊地和美4),迫力太郎1),長谷川絵里1),藤井杏美1),水元紗矢1),大野範夫1)1)昭和大学藤が丘リハビリテーション病院 リハビリテーションセンター2)昭和大学藤が丘藤が丘リハビリテーション病院 リハビリテーション科3)昭和大学藤が丘藤が丘リハビリテーション病院 看護部4)昭和大学藤が丘藤が丘リハビリテーション病院 総合相談センターkey words 脳卒中・復職・高次脳機能【はじめに】 脳卒中を取り巻く医療状況の大きな発展にも関わらず,脳卒中後の復職率は20 年前と比べて大きな違いはない.今回早期からの仕事再開と,入院中のIT 環境が復職に有効と考えられた症例を担当したので報告する.なお発表に際し事例より同意を得た.【症例紹介】 50 歳代前半男性.職業システムエンジニア・管理職.平成28 年X 日右被殻出血発症,X + 15 日定位血種吸引除去術施行.X + 24 日当院回復期病棟転院.X+208 日自宅退院.【入院時評価】 GCS:E4V5M6.B.R.S.: 上肢I 手指I下肢II.感覚: 左上下肢重度鈍麻.高次脳機能障害: 左USN,注意障害,Pusher 症候群あり.ADL: 全介助.FIM: 運動15 点,認知11 点.SIAS:23 点.MMSE:26 点.BBS:0 点.【経過】 入院当日から職場の方が来院し引き継ぎを行う.X +58 日個室に移動.入院中は電話やIT 環境を整え仕事をした.疲労や姿勢保持を含め注意を促し,徐々に仕事の量(時間)と質(業務・責任度)を増やしていった.【退院時評価】 B.R.S.: 上肢II手指II下肢III.感覚: 変化なし.高次脳機能障害: 左USN,注意障害残存.ADL: 車椅子院内自立.FIM: 運動82 点, 認知29 点.SIAS:38 点.MMSE:30 点.BBS:40 点.自宅内はタマラック継手AFOで伝い歩き,入院中同様に仕事を行い,通勤に向けて障害者支援施設にて通所リハを継続.【考察】 今回は会社・本人の強い意向から早期に就業開始を余儀なくされたが,IT 活用をし,入院当初から会社との関係性が途切れなかったことは,復職に有効であったと考えられる.また,早期からの仕事再開が本人の精神的安定,覚醒の向上,身体機能の向上に有効であったと考えられる.今後,定年延長などにより復職に対するするニーズはさらに高まってくると考えられ,本症例のようなケースも増加すると考える.P-052 pushing に改善が見られた症例の一考察渡邉しのぶ1),河野博之1),長嶺大吾1),工藤弘之1)1)医療法人財団利定会 大久野病院 リハビリテーション部key words pushing・身体的な垂直判断・右半球損傷【はじめに】 pushing は時間とともに消失する例が多いが、右半球損傷では回復が遅延する傾向がある。2 度の脳出血を発症し右半球損傷でpushing が出現していた症例を担当した。壁面に右半身を接触させて立位練習を行い、短期間で改善が得られたため報告する。【説明と同意】 ヘルシンキ宣言に基づき、対象者本人及び家族へ説明の上、同意・承諾を得た。【症例紹介】 70 代女性。診断名:右側頭葉皮質下出血、右前頭葉皮質下出血。現病歴:X 日、自宅から救急搬送。右側頭葉皮質下出血を認めるが独歩自立まで回復。X+27 日に右前頭葉皮質下出血を認めADL 一部介助。X+45 日に当院回復期病棟へ転院。【初期評価】 JCSI-2 、BRS 上肢IV- 手指V- 下肢V、左上下肢とも重度感覚障害、左半側空間無視を中心とした高次脳機能障害、HDS-R10 点。主に立位でpushing 出現。SCP3.5 点。ADLでは立位不安定で、病棟ではトイレ誘導困難。【治療内容】 身体的な垂直判断(以下SPV)の歪みから立位能力低下。その改善を図るため、左下肢に長下肢装具を使用し壁面に右半身を接触させて立位練習実施。実施時間は休憩も含め15 分、期間は1 週間。【結果】 治療開始から1 週間後SCP0.75 点。静止立位でのpushing は見られなくなり、病棟でもトイレ誘導が可能となった。【考察】 pushing の責任病巣は視床、島葉の後部と中心後回の皮質下と報告がある。また下前頭回、中側頭回、下頭頂小葉、頭頂葉皮質下白質も正中位への姿勢調整に関与している。本症例は上側頭回から中側頭回、上前頭回が病巣であり、pushing が出現していた。pushing はSPV が歪んでいるが、視覚的な垂直判断が保たれている。立位練習では壁面に右半身を接触させ垂直位を保持させた。壁面に接触することで垂直位での体性感覚と外部の視覚情報が統合され、pushing が改善されたと考える。本症例では改善が見られたが、今回のアプローチがpushing を呈した他の症例にも有効であるか今後も検証が必要である。