ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

抄集録

23P-045 前十字靭帯損傷後の関節運動適正化は、運動に伴う過度な炎症を抑制し治癒に貢献する国分貴徳1),金村尚彦1),村田健児2),森下佑里2),庄野仁美1),小曽根海知3),高柳清美1)1)埼玉県立大学 保健医療福祉学部 理学療法学科2)埼玉県立大学大学院 保健医療福祉学研究科 博士後期課程3)埼玉県立大学大学院 保健医療福祉学研究科 博士前期課程key words 前十字靭帯・関節運動・炎症反応【目的】 我々は前十字靭帯(ACL)損傷後の膝関節に生じる異常な関節運動を正常化することで、損傷後の靭帯断端における治癒反応が変化し、自己治癒することを明らかにしてきた。本研究ではリハビリテーションの視点から、異常運動の制動の有無が、ACL 損傷後の運動により生じる炎症反応にどのような影響を及ぼすかを明らかにすることを目的とした。【方法】 本研究は埼玉県立大学動物実験倫理員会の承認を得て実施した。Wistar 系雄性ラット12 週齢50 匹を、対照群、ACL 損傷群、ACL 損傷+運動群、ACL 損傷後制動群、ACL 損傷後制動+運動群の5群に各10匹ずつ分類し、運動群には小動物用トレッドミルにて、1 日1時間の運動を負荷した。介入後1・2週経過時点において、膝関節よりACL を採取した。採取した組織からTotal RNA を抽出、cDNA を合成し、損傷靭帯の治癒関連因子(炎症系サイトカイン:IL-6、血管新生因子:VEGF-a)のプライマーを使用してreal-time PCR 法により各群の発現量を比較した。【結果】 ACL 損傷後1 週時点においては、正常関節と比較して炎症性サイトカインであるIL-6 の発現量が全群で亢進を認めた。特にACL 損傷後運動を実施した群では、その他の群に比べ顕著に亢進を認めた。一方、損傷後に制動をかけた群では運動の有無によるIL-6 の発現量に差を認めなかった。血管新生因子であるVEGF-a の発現量は、ACL 損傷後運動群で減少傾向を認めた。【考察】 ACL 損傷後に異常運動を許したまま運動した群では、炎症が強まり、治癒関連因子の発現低下から、治癒にNegative な反応が関節内で観察された。これに対し、異常運動を制動した場合、運動の有無による治癒反応への影響は、今回の2 因子においては見られなかった。今回の結果は関節内靭帯であるACL が、損傷後の治癒過程において関節外因子である関節運動の状態により影響を受けうることを示唆し、損傷後急性期における理学療法介入の重要性を示唆した。P-046 脳血管障害によりAICA 症候群を呈し離床に難渋した2 症例小川秀幸1),西尾尚倫1),丸山薫1),堀匠2)1)埼玉県総合リハビリテーションセンター 理学療法科2)埼玉県総合リハビリテーションセンター リハビリテーション科key words 前下小脳動脈症候群・眩暈・離床【はじめに】 前下小脳動脈(以下,AICA)症候群では、眩暈や嘔気などの主症状に関する報告が多く、離床に難渋した報告は少ない。今回、AICA 症候群を呈し離床に難渋した2 症例を経験したので報告する。尚、本人の同意及び倫理委員会の承認を得た【症例紹介】 症例A:40 代女性。急性くも膜下出血を発症し58 病日に転入院となった。画像所見では左中小脳脚から橋左後外側と延髄左外側に梗塞疑いがあり、左小脳外側から乳突蜂巣に術後性変化を認めた。初期の身体機能はBrs: 右下肢III、左下肢IV、下肢MMT は右3 レベル、左2 レベルであった。ヘッドアップ30 度で眩暈と嘔気が強く離床困難なため、日常生活活動はFIM で運動13 点、認知19 点、合計32 点であった。症例B:60 代男性。心原性脳梗塞を発症し51 病日に転入院となった。画像所見では左小脳半球下部と左中小脳脚から橋左後外側に梗塞を認めた。Brs: 両下肢VI、下肢MMT は両側3 レベルであった。ヘッドアップ30 度で眩暈と嘔気が強く離床困難なため、FIM は運動30点、認知34 点、合計64 点であった【結果】 症例A: ベッド上での身体運動やヘッドアップ角度の漸増を繰り返し、眩暈や嘔気は110 病日頃より改善した。屋外独歩自立となり213 病日に自宅復帰した。終期のBrs は右下肢V、左下肢VI、下肢MMT は右5 レベル、左4 レベル、FIM は運動83 点、認知35 点、合計118 点となった。症例B: ベッド上での身体運動を繰り返し、眩暈や嘔気は100 病日頃より改善した。院内独歩自立となり159 病日に自宅復帰した。下肢MMT は両側4 レベル、FIM は運動91 点、認知34 点、合計125 点となった【考察】 AICA は主に橋・小脳に血流を供給し、分枝として橋の蝸牛神経核や内耳の蝸牛にも血流を供給している。このため、今回の2 症例では頭位の変化により回転性眩暈や嘔気が強く出現し離床困難となったと推察された。画像所見と身体機能評価の双方の視点を組み合わせることで、適切な廃用予防や長期的な機能改善につながったと考える