ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

抄集録

44O-087 視床出血を呈し重度感覚障害を伴った方への長下肢装具での移乗動作と歩行再建の治療経験から考えたこと高岩伸好1),森川健史1)1)医療法人財団 健和会 柳原リハビリテーション病院key words 重度感覚障害・長下肢装具・起立運動【はじめに】 当院回復期では,脳卒中患者の歩行再建戦略として長下肢装具装着下での起立運動と歩行練習を推奨しており成果を挙げている.しかしながら,重度感覚障害を伴う介助量の多い患者へ用いると,立位・歩行姿勢は偏移して移乗・歩行動作の獲得に難渋する症例を経験する.今回,視床出血を呈した症例に対して,長下肢装具を作製・装着し,移乗動作の早期自立を目的とした反復的な起立運動を実施し,示唆を得たので報告する.【経過】 本症例報告は所属施設倫理委員会の承認を受けた.起立運動時に重篤な感覚障害により,麻痺側下肢足底面への十分な荷重が得られない事と身体が大きく介助困難な為,適正な起立運動の軌道が得られなかった.結果,体幹伸展パターンによる代償動作を反復・強化してしまい,加えて麻痺側内転筋群とハムストリングス・下腿三頭筋群の痙性亢進が膝折れを助長し,移乗動作獲得に難渋した.この為,長下肢装具装着での静止立位保持からの大殿筋促通と背臥位での体幹筋群促通を恐怖心を生じさせないような配慮を施し,治療プログラムの変更と追加を図った.結果,移乗動作は自立し,SLB での四点杖歩行見守りレベルでの退院に繋がった.【考察】 長下肢装具装着下での起立運動や歩行練習は脳卒中ガイドラインで推奨されている.しかし,重篤な感覚障害がある本症例はボディイメージが低下している可能性があり,立位保持が困難であったために再現性のある起立運動を実施する事が困難であると推測した.そのため、立位保持安定化を目的に体幹部腹筋群と大殿筋筋収縮感覚を集中的に入力したことで,膝折れの抑制と踵接地へ誘導が可能となり,ADL の拡大と歩行動作の獲得に至ったと考察した.【まとめ】 長下肢装具装着下での起立運動と歩行練習に,患者の個別性に合わせたプログラムを組み合わせる事で,より効果的なアプローチとなり得ることが示唆された.O-088 半側空間無視による非対称的な歩容がHonda 歩行アシストを使用した歩行練習によって改善を認めた脳卒中1 症例廣澤全紀1,2),佐藤義尚1,2),山川諒太1),網本和2)1)東京都リハビリテーション病院 リハビリテーション部 理学療法科2)首都大学東京大学院 人間健康科学研究科key words Honda歩行アシスト・半側空間無視・対称性【はじめに】 装着型ロボットであるHonda 歩行アシスト(HWA) は歩幅や歩行周期を計算し,左右の股関節運動の対称性を補正することが可能である.脳卒中患者が半側空間無視(USN)を呈すると代償的な身体の回旋によって非対称的な歩容を認めることが報告されている.そこで,本研究はUSN を呈した脳卒中1 症例について,HWA を使用した歩行練習が及ぼす影響について検討した.【方法】 対象は右中大脳動脈領域の脳梗塞を呈した1 症例である.本研究は71 病日より開始した.院内は独歩自立に至っていたもののUNS が残存しており,歩行時に代償的な体幹の左回旋を伴い,左の挟み角(股関節屈曲と対側の伸展角度の和)が右と比較し減少していた.介入は通常のPT60 分間に20 分間のHWA を使用した歩行練習を付加したA 期,PT60 分間のみのB 期,PT40 分間に20 分間のHWA を使用した歩行練習を付加したA’ 期を各6 日間ずつ設け,ABA’ の順に行った.HWA は2 名以上の理学療法士によって左右の挟み角が均等に近づくように基準値を設定した.各期の前後1 日ずつの期間に挟み角対称度(左右挟み角の比,1 が最高値),10M 歩行速度,6 分間歩行距離(6MWT),生理的コスト指数(PCI ),Timed Up and Go test,Trail Making Test Part-A, 星抹消試験,文字抹消試験を測定した.【結果】 挟み角対称度は0.80-0.95-0.93-0.98( 介入前-A 期-B 期-A’ 期),10M 歩行速度は16.7-10.6-14.3-14.5 秒,6MWT は260-318-321-307m,CPI は0.6-0.30-0.07-0.1であった.その他の評価項目は一定の傾向を示さなかった.【考察】  挟み角対称度はA’ 期を経て0.98 となり,歩行の対称性に改善が認められた.HWA を使用した対称的な運動感覚のフィードバックの反復によってUSN 症例であっても学習効果が得られる可能性が示唆されたと考える.【倫理的配慮,説明と同意】 本研究はヘルシンキ宣言に則り,研究の目的や方法について説明を十分に行い,書面にて同意を得て実施した.