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概要

抄集録

2O-003 Hand Held Dynamometer を用いた下肢筋力検査における検者内・検者間計測誤差鈴木良和1),市川貴文2),上出直人3),清水絵里香1),中園哲治2),藤橋紀行1),福田倫也1,3,4)1)学校法人北里研究所 北里大学東病院 リハビリテーション部2)学校法人北里研究所 北里大学病院 リハビリテーション部3)学校法人北里研究所 北里大学医療衛生学部4)学校法人北里研究所 北里大学東病院リハビリテーション科key words 計測誤差・Hand Held Dynamometer・最小可検変化量【目的】 Hand Held Dynamometer(HHD) は,広く臨床の場で活用されており,定量的な筋力評価指標として知られている.その計測誤差を知ることは,患者の変化をとらえ治療効果を判定することにおいて重要である.本研究の目的は,HHD を用いた下肢筋力測定の測定限界を明らかにするため,検者内及び検者間に生じうる誤差の量を算出することとした.【方法】 対象は,健常成人16 名( 年齢26.8 ± 5.7,男性10名,女性6 名),32 脚とした.下肢筋力の検査項目は,股関節屈曲・伸展・外転・内転,膝関節伸展筋力とした.HHD(ミュータス F-1,アニマ社)を用い,最大随意収縮時の筋力を測定した.検者内信頼性の検証のため同一検者が各検査を3 回ずつ施行した.検者間信頼性の検証のため2 人の検者が同一項目を計測した.信頼性の評価のため級内相関係数(ICC(1,1),ICC(2,1))を算出した.さらに,測定限界の評価のため最小可検変化量(MDC)と,測定値に対する誤差の割合を示すため% MDC(100× MDC/ 平均測定値)を算出した.本研究は,研究倫理審査委員会の承認を得て実施した.【結果】 級内相関係数は,ICC(1,1) で0.88 ~ 0. 96(P < 0.01),ICC(2,1) で0.74 ~ 0.94(P < 0.01)であった.股関節屈曲・伸展・外転・内転・膝関節伸展の検者内計測誤差は,MDC で6.5,2.8,5.5,5.6,7.7kgf, % MDC で25.1,18.9,23.4,34.6,21.6%であった.検者間計測誤差は,MDC で6.6,3.7,9.1,7.6,8.6kgf, % MDC で26.2,25.5,38.8,46.4,23.5%であった.【考察】 筋力検査は,検者内・検者間においても誤差量を考慮すると,少なくとも3kg 以上の変化をもって患者の変化ととらえるべきである.また,各測定部位で測定値に対する誤差量は,19 ~ 49%と幅広く,HHD を用いた筋力評価の測定限界に十分注意して使用するべきである.O-004 速度変化に伴った筋シナジーの変化と生体力学との関連性の検討久保田圭祐1),塙大樹1),国分貴徳2),平田恵介1),園尾萌香1),藤野努1),金村尚彦2)1)埼玉県立大学大学院 保健医療福祉学研究科 2)埼玉県立大学 保健医療福祉学部 理学療法学科key words 筋シナジー・歩行・生体力学【目的】 ヒトは、機能的に類似した複数筋をグループ化した5つの筋シナジーを用いて歩行時の筋活動を制御していると考えられている。近年、速い歩行と遅い歩行では筋シナジーが変化するため、根本的な歩行制御が異なる可能性が示された。しかし、これら筋シナジーの変化を理由づける生体力学的役割は不明確である。そこで、今回我々は異なる歩行速度での筋シナジーの変化と生体力学的役割について検証し、歩行速度改善に対する効果的な理学療法を再考する新たな指標を提供することを目的とした。【方法】 対象は健常若齢者6 名。計測機器として表面筋電図計(1000Hz)を用い、体幹・片側下肢筋の計14 筋に電極を貼付、採集した筋活動に非負値行列因子分解を適用し筋シナジーを抽出した。また、床反力計付きトレッドミル(1000Hz)と三次元動作解析装置VICON(100Hz) も同期計測し、逆動力学計算から立脚後期の足関節パワーを算出した。測定課題は快適速度(1.4、1.68m/s) と低速度(0.56、0.84m/s) の4 条件における各2 分間の連続歩行とした。なお,本研究はヘルシンキ宣言に基づいて行い、所属先の倫理委員会の承認を得た。【結果】 各速度条件における筋シナジー数は快適速度歩行では4-5 個、低速度では3-4 個であった。低速度では遊脚期の筋シナジー数の減少が認められた。また、足関節の底屈パワーは速度が低下するほど小さくなった。【結論】 先行研究から足関節底屈パワーは体幹の前方推進と遊脚下肢の加速に寄与すると考えられている。そのため、歩行速度低下による足関節底屈パワーの低下が遊脚下肢の加速に対する複数筋の共同収縮を生じさせ、筋シナジー数の減少に繋がったと考えられる。本研究結果において、遅い歩行と速い歩行では必要となる関節パワーと筋の協調性が異なるため、歩行速度の改善に対しては、足関節底屈パワーが発揮しやすい身体機能の改善と目標とする歩行速度を考慮した介入が重要である可能性が示された。