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概要

抄集録

17O-033 慢性腰痛患者のロコモティブシンドロームと破局的思考の関連性- ロコモ度テスト・PCSを用いて-村上寛地1),江連智史1),中澤拓也1)1)医療法人社団 紺整会 船橋整形外科 西船クリニックkey words 慢性腰痛・ロコモ度・破局的思考【目的】 慢性腰痛患者の特徴として, 腰痛が強いほど抑うつ傾向が高く, 破局的思考になりやすいと報告され, 慢性疼痛とロコモティブシンドローム( 以下ロコモ) の関連性も報告されている. 更にロコモを有する高齢者は心理社会的要因, 特に抑うつが有意に高値を示すと報告されている. しかし, 慢性腰痛患者のロコモが破局的思考に影響するか検討した報告は少ない. 本研究の目的は, 慢性腰痛患者のロコモと破局的思考の関連性を明確にする事である.【方法】 対象は慢性腰痛患者22 名( 男性3 名, 女性19 名), 年齢71.7 ± 8.1 歳である. 評価項目は, ロコモ度テスト, 腰痛のVisual Analogue Scale( 以下VAS), そして破局的思考の評価としてPain Catastrophizing Scale ( 以下PCS)を用いた. 統計処理はロコモ度テスト・VAS・PCS の各項目の相関関係をSpearman の順位相関係数を用いて検討し, 有意水準を5%とした.【説明と同意】 本研究は当院倫理委員会の承認を得た上で, 各被験者に研究に対する十分な説明を行い, 同意を得て行った.【結果】 ロコモと判定された患者は22 名中20 名(90.9% ) であった. 腰痛のVAS とPCS の反すう・無力感・合計点数に中程度の正の相関を認めた(r=0.62,p < 0.01 r=0.51,p< 0.05 r=0.55,p < 0.01). 腰痛のVAS とロコモ度は, 中程度の正の相関を認めた(r=0.48,p < 0.05). ロコモ度とPCSの反すう・無力感・合計点数にそれぞれ中程度の正の相関を認めた(r=0.66,p < 0.01 r=0.63,p < 0.01 r=0.61,p <0.01) が, 拡大視では相関を認めなかった.【考察】 本研究結果より, ロコモと判定されたのは90.9%と高率であった. 腰痛と破局的思考に関して先行研究と同様の結果であった. 慢性腰痛患者のロコモ度と破局的思考の関連性は, ロコモ度が高いほど破局的思考をとりやすいと考えられ, 更に腰痛が強いほどロコモ度が高値を示していた.このことから, 慢性腰痛に対し, 疼痛の改善のみならず,精神的アプローチが慢性腰痛及びロコモの改善に必要であることが考えられた.O-034 変形性膝関節症患者における立ち上がり動作の膝関節ダイナミクスは他関節の影響を受ける園尾萌香1),国分貴徳2),久保田圭祐1),塙大樹3),平田恵介3),金村尚彦2)1)埼玉県立大学 保健医療福祉学研究科 博士前期課程2)埼玉県立大学 保健医療福祉学部 理学療法学科3)埼玉県立大学 保健医療福祉学研究科 博士後期課程key words 変形性膝関節症・相互作用トルク・立ち上がり動作【目的】 変形性膝関節症( 以下,膝OA) は力学的負荷の蓄積が病態に関係するとされているが,近年外部膝関節屈曲モーメントが初期膝OA に関連していると報告されたことから矢状面についても着目され始めている。本研究では矢状面上の動的要素が強いとされる立ち上がり動作においてトルク解析を行い,高齢者と比較した。【方法】 対象は膝OA 群4 名と健常高齢者3 名の対照群,課題は立ち上がり動作とし, 三次元動作解析装置(VICON社製) と床反力計(Kistler 社製) を用いて計測した.3 セグメントモデルのラグランジュ方程式から総トルク(NET),筋トルク(MUS), 重力トルク(GRA), 相互作用トルク(INT),椅子反力からのトルクを算出した. 相分けはSchenkmanの方法を採用しContribution Index(CI) を用いて各相のNET に対する各トルクの寄与率を求め,Mann-WhitneyのU 検定を用いて膝OA と高齢者を比較した。なお,本研究はヘルシンキ宣言に基づいて行い、当院の倫理委員会にて承認を得た。【 結果】 第2 相において,膝OA 群は対照群と比較してCI は股関節・足関節INT と股関節・膝関節GRA が有意に低く,膝関節・股関節MUS が有意に高かった。NET 平均値は3 関節すべてにおいて膝OA 群が有意に低値を示した。【考察】 CI はNET に対する各トルクの相対的な寄与度を表すが,膝関節INT のCI に群間差がなかった。先行研究において立ち上がり動作時には他関節の角加速度を反映するINT の役割が重要であることが示されているが,膝OAでは膝関節INT が膝関節NET の生成に高く貢献しているものの量としては不足し,結果として膝関節MUS の寄与を増加させた立ち上がり動作を行っていると考えられる。本研究結果から膝OA は膝関節の力生成に他関節を利用できていないことが明らかとなり,理学療法において多関節を評価することの重要さを裏付ける知見となり得る。