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概要

抄集録

86P-171 脳卒中患者の起立動作時における筋の活動適応は急性期から生じる塙大樹1),久保田圭祐1),国分貴徳2),平田恵介1),宮澤拓3),園尾萌香1),藤野努1),金村尚彦2)1)埼玉県立大学大学院 保健医療福祉学研究科2)埼玉県立大学 保健医療福祉学部 理学療法学科3)上尾二ツ宮クリニックkey words 脳卒中・起立動作・筋シナジー【目的】 様々な神経生理学的研究により,ヒトは複雑な筋活動を集約した筋シナジーを機能単位としていることが立証されている.介在神経や運動神経への経路編成により筋シナジーの異常を招く典型的な疾患が脳卒中である.しかし,脳卒中患者の起立動作における異常筋シナジーは明らかにされていない.今回、急性期運動療法や効果測定に向けた基礎データを提供することを目的に検証を行った.【方法】 対象は脳卒中左片麻痺患者3 名(発症後期間 = 6.3 ±2.3 日),健常成人2 名とした.被験者は起立動作を行った.表面筋電図計を用い左下肢7 筋の筋活動を採集,筋シナジー解析として確立されている非負値行列因子分解を適用した.これらの筋シナジーを分類する目的で階層的クラスタ解析を行った.本研究はヘルシンキ宣言に基づいて行い,所属機関倫理委員会の承認を得た。【結果】 健常成人2 名は4 つの筋シナジーを有した.脳卒中患者のうち2 名は,大殿筋(GM)活動消失により3 つに筋シナジーが減少した.両者とも伸展相において大腿二頭筋(BFL)活動比が高く,この筋シナジーが健常成人と異なるクラスタを形成した.脳卒中患者のうち1 名は4 つの筋シナジーを有したが,伸展相においてGM を除く全筋を共活動させたため健常成人と異なるクラスタを形成した.その他の筋シナジーは,全被験者で同一クラスタを形成した(クラスタ内相関係数 = 0.93 ± 0.01).【考察】 脳卒中患者は運動制御の複雑性が低下し,筋シナジー数が減少する(Bowden MG, 2010).この知見は起立動作においても共通していた.また,脳卒中患者におけるGM活動消失は,身体重心を前方へ移しBFL 活動や共活動を下肢伸展力とする代償を招いた可能性がある.このような活動適応は急性期から起こることが示唆された.本研究結果をもとに,異常筋シナジーと動作パターンの関連性を検証することで,動作評価から異常筋シナジーの予測が可能になると考えられる.P-172 脳卒中者におけるペダリング運動と電気刺激併用治療が歩行速度、下肢協調性、主観的重量感に与える影響宮田一弘1)1)日高病院 リハビリテーションセンターkey words ペダリング運動・電気刺激・協調性【目的】 脳卒中の歩行障害についてペダリング運動中に電気刺激を併用するハイブリッドな治療が単独よりも効果的であるとの報告がされているが、歩行指標以外の検討はあまり行われていない。そこで、本研究では一事例の症例報告にて、ペダリング運動と電気刺激併用治療の効果を歩行速度、下肢協調性、主観的重量感の視点より検討した。【方法】 対象は回復期リハビリ病棟入院中であった脳卒中者(70代男性、第74 病日) で、下肢Brunnstrom stage.V、屋内杖歩行自立であった。ペダリング運動には、自転車エルゴメーター(cateye ergociser EC1200) を用い、負荷1.0kgmとし快適な回転速度にて10 分間実施した。電気刺激(COMBI200) は周波数100Hz、パルス時間100 μ s、感覚閾値1.2 倍の強度で10 分間、大腿四頭筋と前脛骨筋に実施した。評価の測定は介入前3 日、介入期5 日の介入後、介入後2 日間行い、評価項目は10m 最大歩行速度(MWS)、段差タッチ( 両下肢および麻痺側下肢のみ)、下肢運動の円滑性に関するVisual analog scale(VAS)を実施した。 尚、対象者には本研究の趣旨を説明後、同意署名を得た。【結果】 各評価結果の初回評価日、介入期初日および最終日、最終評価日の順に示す。MWS(m/s) は1.37、1.32、1.74、1.67、麻痺側下肢での段差タッチ(sec) は12.0、10.8、9.1、9.8、両下肢での交互段差タッチ(sec) は10.7、9.4、8.4、8.5、VAS(mm) は47、68、81、72 であった。全ての評価で介入期に改善が認められ、介入初日の値を最終評価日が上回り残存効果が示された。【考察】 本結果から、ペダリング運動と電気刺激を併用することで、歩行速度の向上のみでなく下肢の協調性の改善や主観的な重量感が軽減する可能性が示唆された。麻痺肢に対してペダリング運動という随意運動と電気刺激に感覚入力が即時的に運動機能を改善させ、主観にまで影響を及ぼした点は理学療法介入の一助になると考えられる。