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概要

抄集録

78P-155 肩甲帯周囲の機能向上により起立動作を獲得した脊髄性筋萎縮症患者の理学療法の経験尾澤翔太1),水口健一1),植松寿志1),島村亮太1),小森智子1),前原栞1)1)東京都リハビリテーション病院 リハビリテーション部 理学療法科key words 脊髄性筋萎縮症・起立動作・肩甲帯【はじめに】 12 歳より脊髄性筋萎縮症(SMA)III 型があり, 今回, 転倒により骨盤骨折を受傷し起立動作重度介助となった症例を担当した. 肩甲帯周囲の機能向上により起立動作が自立し歩行器歩行獲得に繋がったため経過を報告する. 尚, 本発表はヘルシンキ宣言に基づき, 患者に説明し同意を得た.【症例紹介】 症例は60 歳代前半男性.2016 年9 月下旬にトイレで転倒し, 仙骨, 右坐骨骨折を受傷し保存的加療. 受傷後64 日に当院転院. 受傷後134 日に自宅退院. 既往歴は15 歳で左アキレス腱延長術. 受傷前ADL は屋内歩行器歩行自立,屋外車いす介助.【初期評価】 筋力(MMT) は体幹1 ~ 2, 上肢2 ~ 3, 前鋸筋1, 下肢1~ 3. 座位保持自立. 起立動作は手を膝につき前方に勢いをつけて離殿可能, 支持物へのリーチや体幹伸展に重度介助を要した. 立位は手掌支持で肘・膝関節をロックし見守りにて保持可能. 肩甲骨は挙上・内転位であった. 問題点として全身の廃用性筋力低下, 肩甲帯周囲の固定性低下により起立時のリーチ動作で体幹支持が困難であることと考えた.【PT 経過】 全身的な筋力強化や起立動作練習に加え, 前鋸筋強化を積極的に行った.OKC の除重力訓練から開始し徐々に抗重力運動を行い, 前腕支持の腹臥位や立位にて肩甲帯にCKCで機械的刺激を加え, 筋収縮を促す訓練へ移行し, 段階的にknees and elbows や肘伸展動作練習へと負荷を上げていった.【最終評価】 MMT は上下肢体幹で著変なく前鋸筋は3 に向上. 起立・立位は上肢支持にて自立. 立位時, 肩甲骨は挙上・内転位であった. 前腕支持にて歩行車歩行自立となった.【考察】 SMAIII 型は近位部の筋力低下が特徴と言われているが, 本症例は肩甲帯周囲の機能が向上し起立動作を獲得した. これは受傷前から動作遂行に上下肢の努力が大きく,肩甲帯周囲の廃用があり, 機能向上の余地が大きかったためであると考える. また, 膝関節をロックし前腕支持にて歩行器歩行が可能であった為, 起立動作の獲得が歩行自立に繋がったと考える.P-156 プッシャー現象のある脳出血患者に内在的・外在的フィードバックを入力し体性感覚の差異が改善された一症例平林拓也1),浅野大志1),木島隆2)1)杉並リハビリテーション病院 リハビリテーション科2)信州リハビリテーション専門学校 理学療法学科key words プッシャー現象・体性感覚・フィードバック【はじめに】 端座位, ベッド・便座, 車いす間の移乗等でプッシャー現象が出現する症例の体性感覚にアプローチしプッシャー現象改善, 端座位保持, 移乗動作介助量軽減されADL 向上した症例報告をする.【症例紹介】 60 代男性, 平成28 年9 月24 日右皮質下~被殻領域で出血.10 月29 日当院入院時評価はBrunnstromstage左I-I-II, 感覚は右上・下肢正常, 左下肢は表在・深部感覚共に重度鈍麻,clinical assessment Scale for ContraversivePushing ( 以下SCP)の座位項目は最高点の3点. 座位, 立位,移乗動作時にプッシャー現象が出現.FIM の運動項目20 点. 左偏移した端座位を鏡で「右に傾いている」と発言し, 正中位に修正すると右上下肢で左側に押す現象がみられた.【治療方針】 左下肢感覚鈍麻・重心が左偏移した状態で, 右に偏移すると認知したことから自覚的身体垂直認知の偏移・体性感覚の差異が生じ, プッシャー現象が出現すると仮説した. 正中端座位を外在的・内在的フィードバック(以下FB)を利用することで体性感覚の差異は改善しプッシャー現象の改善に繋がると考えた. 治療方針は症例・ご家族に対し書面で説明し同意を得た. 介入は当院倫理委員会にて許可を得た.【治療・結果】 まず鏡の外在的FB で体性感覚の差異の改善を図る. 次に鏡無し端座位が可能となったら, 外在的FB を除き正中位を足底, 坐骨結節へ感覚入力による内在的FB で認識するよう促した. また, 課題は足底離床から立位等へ段階的に高めた. 結果,SCP 座位項目は0 点. 端座位は支持物なく正中位保持可能, 移乗動作は支持物使用し見守り~手添え介助レベル,FIM 運動項目38 点と改善した. 症例は「自分でもびっくりしています」と発言した.【考察】 体性感覚に対し正中位で外在的・内在的FB を利用したことで視覚系, 前庭系の賦活に繋がり体性感覚の差異が改善されたと考える. また, 端座位保持, 移乗動作の介助量軽減, 上記発言から症例自身が動作面の改善を実感したことから今回のアプローチはプッシャー現象に対し有用と考える.