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概要

抄集録

76P-151 3D-indicator を用いた自主練習により、上肢の運動失調症状が軽減した小脳梗塞の一症例海津陽一1),飯塚晃弘2)1)日高病院リハビリテーションセンター2)平成日高クリニック総合ケアセンターkey words 小脳梗塞・運動失調・測定障害【はじめに】 上肢運動失調症状に対し、練習装置“3D-indicator( 以下3D)” を用いた介入により改善を認めた一症例を報告する.【方法】 症例は小脳梗塞と診断され1 年半が経過し訪問リハビリを利用している70 歳代の男性である.初期には、入浴時、左上肢の失調症状による手すりのつかみ損ねが生活上の問題となっていた.症例は、体幹、下肢にも運動失調を認め、歩行に対するneed も強かったため、上肢失調症状に対しては、自主練習を処方することで改善を試みた.3D を用いた上肢失調症状に対する介入効果の検証を、介入開始1~ 2 週をコントロール期(C1 期)、3 ~ 4 週を介人期(T1期)、5 ~ 6 週をコントロール期(C2 期)、7 ~ 8 週を介入期(T2 期) として行った.なお、治療開始前に症例に説明を行い、書面にて同意を得た.3D は、円柱状の本体に1から10 まで番号のふられた小筒が360 度に配置されており、その小筒の位置を自ら動き、能動的に視覚探索し1 から順に玉を入れる課題である.T 期には、3D を用いた自主練習を毎日3 セット実施した.指鼻指試験(指腹接触回数)、松本らの打点検査(20 回リーチ、中心点からの距離の平均値)、リーチ時指先の総軌跡長(以下総軌跡長)を評価指標とした.総軌跡長は画像解析ソフトImage J を用いて二次元位置データのデジタイジングを行った.【結果】 C1 期前,C1 期後,T1 期後,C2 期後,T2 期後の順に結果を示す.指鼻指試験4/10, 4/10, 5/10, 5/10, 8/10、打点検査(cm)0.9 ± 0.5, 1 ± 0.5, 1.2 ± 0.6, 1 ± 0.5, 0.7 ± 0.3、総軌跡長(cm)20 ± 2.1cm, 19.5 ± 2.8, 20.3 ± 3.7, 22.3± 2.9, 16.5 ± 1.3 であった.T2 期後、入浴時のつかみ損ねが消失した.【考察】 目標物のある到達運動においては、視覚と体性感覚情報の統合が必要である.既存の介入の多くは体性感覚情報に操作を加えるものであったが、3D は能動的な視覚探索による対象物の空間認識機能が求められる課題であり、症例の到達運動改善につながったと考える.P-152 装具工夫により歩行の改善がみられた多発性硬化症の一症例山羽洋輔1),鷺池一幸1),瀧口裕子1)1)独立行政法人国立病院機構東埼玉病院key words 多発性硬化症・転倒リスク・装具工夫【はじめに】 多発性硬化症患者のオルトップLH に工夫をし、歩行時の右足部クリアランスの改善を図った症例について報告する。【症例】 40 代女性。10 年前に発症。アボネックス筋注後のふらつきによる転倒と屋外不整地での転倒歴あり。アボネックス筋注後の屋内歩行への不安感はNumeric RatingScale(NRS) で3/10、屋外不整地歩行への不安感はNRSで5/10 であった。総合障害度6.0、機能別障害度3。歩行はT 字杖使用で監視。Functional IndependenceMeasure(FIM) は121 点。Timed Up and Go Test(TUG) の最高値が11 秒26。右上下肢優位の失調症。痙性による右下腿三頭筋の筋緊張亢進で歩行時の右足部クリアランスが低下していた。右足底の触圧覚が重度鈍麻。徒手筋力検査は両下肢3~4 であった。オルトップLH を作製したが、右下腿三頭筋の痙性が顕著なとき、右足部のクリアランスは低下していた。症例には本報告の説明をし、同意を得た。【方法】 オルトップLH の前足底部と下腿後面との接触部位にパッドを挿入し、右足関節背屈角度を3°とした。【結果】 アボネックス筋注後の屋内歩行への不安感はNRS で1/10、ふらつきは減少した。TUG の最高値は、10 秒82となった。この装具工夫により、修正自立で屋内歩行が行えるようになったことから、FIM は122 点に上がった。一方、屋外不整地歩行への不安感はNRS で4/10、ふらつきに変わりはなかった。【考察】 装具工夫により右足関節を背屈方向に固定し、右下腿三頭筋の痙性誘発を抑制することができ、屋内歩行への不安感とふらつきが減少したと考える。この機序が歩行時の方向転換を円滑にし、TUG の値が減少したと推測された。ふらつきの減少により屋内歩行レベルが改善したが、屋外歩行には影響を与えられず、これは総合障害度と一致した。【まとめ】 多発性硬化症患者で歩行レベルに日内・日差変動があるとき、装具に工夫を加えることで、歩行時の不安感と介助量が軽減する可能性がある。