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概要

抄集録

75P-149 脳卒中片麻痺患者における段差昇降練習の違いが歩行に及ぼす影響―シングルケーススタディによる検討―青木拓也1)1)IMS グループ横浜新都市脳神経外科病院key words 脳卒中患者・段差昇降・歩行機能【はじめに】 脳卒中片麻痺患者(片麻痺者)の運動療法において,段差昇降練習は麻痺側下肢の機能向上や歩行の安定性向上に対してよく選択される.しかし,先行研究では段差昇降の方法についてあまり議論されていない.そこで本研究は,片麻痺者に対して段差昇降練習の違いが歩行機能にどのような影響を及ぼすのかをシングルケーススタディを用いて検討した.【方法】 対象は70 歳代女性で左延髄内側にラクナ梗塞を発症した右片麻痺者とした.患者特性は発症24 日,SIAS 運動項目(SIAS - M)7 点,Functional Ambulation Category(FAC)1 点(T 字杖とプラスチック短下肢装具を用いた),明らかな高次脳機能障害のない患者だった.方法はシングルケーススタディによるABAC デザインを用いて,各期間をそれぞれ3 日間とした.A 期は手すりを用いたステップ運動,B 期は階段一段のみを二足一段にて昇降し,C 期は階段二段を一足一段にて昇降する運動を各期10 分間(休息を含む)行った.それに加え,各期それぞれ30 分の運動療法や歩行練習等を行った.評価項目は10 m快適歩行速度,Timed Up and Go Test(TUG),Wisconsin Gait Scale(WGS)とし,各期終了時に最小限の介助にて測定した.なお,対象者へは研究内容について十分な説明を行い,書面にて同意を得た.【結果】 本研究終了時(C 期)のSIAS-Mは10点,FAC2点だった.各期終了時の結果は(A0 - A1 - B - A2 - C の順で示す),10 m歩行速度(m/s)は0.36 - 0.35 - 0.32 - 0.39 - 0.41,TUG(sec)は31.5 - 31.1 - 30.1 - 27.7 - 25.3,WGS(点)は29.9 - 27.9 - 29.9 - 27.9 - 24.9 だった.【考察】 段差昇降練習では,一段差昇降では歩行バランスの改善,二段差昇降では歩行速度・歩行バランス・歩容の改善が認められた.これは二段差昇降を行ったことにより,麻痺側下肢の伸筋群の筋力強化だけでなく,身体重心を前上方へ移動することの運動学習につながったと考えられた.P-150 視覚誘導性自己運動錯覚によりギランバレー症候群の足関節背屈機能障害に効果が得られた一症例酒井克也1,2),池田由美2)1)医療法人 輝生会 初台リハビリテーション病院2)首都大学東京大学院 人間健康科学研究科key words 視覚誘導性自己運動錯覚・ギランバレー症候群・足関節背屈機能障害【はじめに・目的】 視覚誘導性自己運動錯覚(kinesthetic illusion inducedby visual stimulation:KiNVIS) は、一人称的に映像を観察することで身体が動いていないにも関わらず、あたかも動いているような錯覚が生じる視覚を用いた運動錯覚法である。健常人を対象に足関節背屈運動のKiNVIS を行った結果、一次運動野の興奮性が増加することが報告されている。今回、ギランバレー症候群により長期間足関節背屈機能障害を呈し改善を得られなかった症例を担当し、KiNVIS を実施した結果、効果が得られたので報告する。【方法】 対象は回復遅延型のギランバレー症候群と診断され左足関節背屈機能障害を呈し、発症から138 病日以上改善が見られなかった50 歳代男性であった。ABA シングルケースデザインにて、A1 期をベースライン期、B 期を介入期、A2 期をフォローアップ期とし、各々3 日間ずつとした。各期で一般的な理学療法を60 分/ 日実施し、B 期のみ20分間の足関節背屈運動のKiNVIS を付加した。KiNVIS は他者の足関節背屈運動の映像を対象者に一人称視点で1秒間に1回のペースで観察させ運動錯覚を生じさせた。その際生じた錯覚の程度をVisual Analogue Scale(VAS) を用い評価した。また各期に足関節自動背屈角度と10m 最大歩行速度を計測した。本研究はヘルシンキ宣言に遵守し、当院倫理審査委員会の承認を得た後、対象者の同意を得て実施した。【結果】 B 期のVAS は平均55 ± 5mm であった。足関節自動背屈角度はA1 期は平均2 ± 0°であり、B 期では5.6 ± 0.5°に改善しA2 期後まで効果が持続した。10 m 歩行速度はA1 期では平均12.3 ± 1.7 秒であり、B 期では7.98 ± 0.7秒に改善を認めA2 期まで効果が持続した。【考察】 本症例においてKiNVIS の介入により足関節自動背屈角度の改善が得られたのは、健常人を対象とした先行研究と同様に運動錯覚による一次運動野や運動関連領野の興奮性増加との関連が推測される。今後はこの点について検討していく。