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概要

抄集録

11O-021 人工股関節全置換術後1 年における股関節ならびに膝関節周囲筋力について ―健常者との比較―関田惇也1),岩崎麟太郎1),高平尚伸2)1)ジャパンメディカルアライアンス 座間総合病院2)北里大学 医療系研究科 感覚・運動統御医科学群 リハビリテーション科学key words 変形性股関節症・人工股関節全置換術・筋力【目的】 人工股関節全置換術(THA)後の術側下肢筋力は,術後6 ヶ月の時点で股関節のみならず膝関節周囲筋力においても健常者筋力と比較して低値であることが指摘されているが,それ以降の縦断的な調査を行った報告は少なく,特に術後1 年時に筋力低下が残存しているかどうかは明らかにされていない.そこで本研究は,THA 術後1 年までの術側下肢筋力を調査し,健常者筋力との比較を行うことで,術後1 年時に筋力低下が残存しているかどうかを明らかにすることを目的とした.【方法】 対象はTHA を施行した女性15 名(61.3 ± 7.0 歳,THA 群)とした.除外基準は股関節以外の運動器疾患や神経学的疾患を有する者とした.コントロールとして下肢関節痛のない健常女性36 名(61.8±10.1歳,健常者群)を対象とした.術前,術後3 ヶ月,6 ヶ月,および1 年時に,抗重力筋である術側股関節外転,伸展,および膝関節伸展筋力を測定した.測定にはhand-held dynamomete(rμTas F-1,Anima)を用い,トルク体重比と健常者群に対するTHA 群の筋力の比率(健常者比)を求めた.統計的解析では,各時期の筋力の比較には一元配置分散分析ならびにBonferroni の多重比較を用い,術後1 年のTHA群筋力と健常者群筋力との比較にはt 検定を用いた.有意水準は5%とした.なお,本研究は当院の研究倫理委員会で承認を得て実施した.【結果】 股関節周囲筋力は,術前と比較して術後1 年で有意に高値を示した(p < 0.01)が,術後6 ヶ月と比較して術後1 年で有意差を認めなかった.膝関節伸展筋力は術前と比較して術後1年で有意に高値を示し(p<0. 01),術後6ヶ月と比較して術後1年でも有意に高値を示した(p <0.01).股関節周囲筋力の健常者比は75 ~ 85%,膝関節伸展筋力は86%であり,ともに健常者と比較して有意に低値であった.【結論】 THA 術後1 年を経過しても股関節のみならず膝関節周囲筋力にも筋力低下が残存していることが示唆された.O-022 大腿骨近位部骨折術後症例における予後と既存椎体骨折との関連(第3 報)保地真紀子1),中山裕子1)1)新潟中央病院 リハビリテーション部key words 大腿骨近位部骨折・椎体骨折・再骨折【目的】 われわれは,大腿骨近位部骨折症例について,従来報告されてきた認知機能や受傷前の身体機能に加え,栄養状態や椎体骨折の既往が退院時の歩行に関与することを示してきた.本研究の目的は予後への影響について,さらに退院後の推移についても調査し明らかにすることである.【方法】 対象は2015.3 ~ 12 当院に入院した大腿骨近位部骨折術後症例のうち,入院前歩行自立であり,退院後1 年間経過が追えた45 名(男性10 名,女性35 名,81.1 ± 9.9歳)とし,入院時のX 線画像より既存椎体骨折の有無,術後3 週間の食事量,退院時及び退院後1 年における歩行状態,再骨折の有無について調査した.統計学的検討はt 検定,χ 2 検定を用い,有意水準は5% とした.また本研究は当院の倫理規定に基づき行った.【結果】 入院時,既存椎体骨折を認めた症例は45 名中22名(48.9%)であり,退院時移動能力は歩行自立30 名(66.7%),歩行介助8 名(17.8%),車椅子7 名(15.5%)であった.椎体骨折は歩行自立症例で36.7%,介助または車椅子例では73.3% に見られ,平均食事量は1251.2± 348.2kcal,1017.3 ± 331.8kcal と,いずれも有意差を認めた.1 年以内に再骨折を来した症例は5 名(11.1%)であり,橈骨遠位端骨折1 名,腰椎圧迫骨折2 名,対側の近位部骨折2 名であった.この内4 名(80.0%)は椎体骨折を有していた.退院時歩行可能であった38 名中,再骨折を来した5 症例を除き,1 年後に歩行能力を維持できなかった症例は4 名(12.1%)であり,内3 名(75.0%)は椎体骨折を有していた.【考察】 椎体骨折は大腿骨近位部骨折症例の退院時歩行能に影響し,食事量やその他の因子とともに予後予測の一助となるが,さらに退院後の機能低下にも関与し,再骨折のリスクを高める可能性がある.椎体骨折を有する症例については,機能低下の可能性を考慮し環境設定を行うことや,歩行困難となった際に対処できるよう支援の体制を整えておく必要があると考えられた.