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概要

抄集録

72P-143 腰部脊柱管狭窄症により下垂足を生じた症例に対する運動療法の一考察塚田直樹1),沖真由香1)1)順天堂東京江東高齢者医療センター リハビリテーション科key words 腰部脊柱管狭窄症・下垂足・相反神経支配【目的】 腰部脊柱管狭窄症の脊髄根症状に対する運動療法として、電気刺激療法、装具療法、温熱療法など様々な手法がとられている。しかし、脊髄の神経機構を考えた治療アプローチは散見される程度に過ぎない。今回、脊髄根症状による前脛骨筋の筋力低下に対し、拮抗する下腿三頭筋の筋活動に着目した運動療法を実施した。考察を加え以下に報告する。【症例紹介】 80 代女性。腰部脊柱管狭窄症の診断のもと腰椎固定術(L3/4 のTLIF,PPS)施行。【方法】 2016 年度当院入院中の腰部脊柱管狭窄症により下垂足を生じた患者を対象に歩行機能の獲得を目的とした運動療法を実施した。運動療法は通常行われる前脛骨筋の筋活動の促通に加え、相反関係にある拮抗筋の下腿三頭筋の筋収縮に着目した遠心性筋活動のトレーニングを実施した。一回40 分の治療前後の歩行速度、歩幅、歩行率のVTR による評価、筋収縮の肉眼的観察を行った。なお、ヘルシンキ宣言に基づいた説明を十分に行い、書面にて同意を得た。【結果】 治療前歩行速度0.72m/ 秒、歩幅36.0 cm、歩行率2.00歩/ 秒。MMT 前脛骨筋2。治療後歩行速度0.83 m / 秒、歩幅41.6 cm、歩行率2.00 歩/ 秒。MMT 前脛骨筋2。介入前は前足部接地であったものが、介入後は足関節の背屈がおこり踵接地が見られるようになった。また、観察として治療前下腿三頭筋に見られていた不随意的な筋収縮はなくなり、遠心的な筋収縮が行えるようになった。【考察】 今回観察により下腿三頭筋の不随意的筋収縮が見られ、安静臥位においても足関節・足部の不随意運動が認められた。下腿三頭筋の筋活動が過度に増加した結果、足関節の背屈に必要な前脛骨筋の筋活動を妨げていたと考えられる。【まとめ】 下垂足を生じた一症例の治療経験から相反関係にある拮抗筋の活動にも着目した理学療法プランの重要性が考えられる。P-144 脳卒中片麻痺のある左THA 術後患者に対する理学療法~長下肢装具の適用により歩行能力の改善を得た一症例~佐藤俊城1),松本野乃香1),山井順1),高山幸奈1)1)特定医療法人 博仁会 第一病院 リハビリテーション室key words 人工股関節全置換術・脳卒中・長下肢装具【目的】 右片麻痺のある左人工股関節全置換術後患者に対し、長下肢装具を用いた介入により体幹機能や歩行速度の向上が得られたので考察を交えて報告する。【症例紹介】 70 歳代女性。10 年前に脳幹出血により右片麻痺( 下肢BRS:IV) となる。当時の歩行能力は四点杖使用し独歩、手術直前はT字杖、四点杖使用し監視下で5 m歩行可能であった。数年前から左膝関節後面痛出現、歩行能力や日常生活動作低下し、左変形性股関節症と診断、X 日に左THA( 後側方アプローチ) を実施した。【説明と同意】 ご本人へ報告の旨を説明し同意を得た。【経過および理学療法】 X+2 日後、立位は中等度介助、歩行困難であった。X+14 日後、FACT2 点、10 m歩行テストは快適1 分27 秒45 歩、努力1 分21 秒44 歩、TUG は測定不可能であった。X+21 日後もこれらの評価結果に変化はなかった。同日より備品用長下肢装具を使用した立位、歩行練習開始。X+35 日後、 FACT9 点、10 m歩行テストは快適56 秒31 歩、努力47 秒30 歩、TUG は快適1 分5 秒となった。歩行検査はいずれもT 字杖と四点杖を使用した。【考察】 術前からの歩行時の左膝関節後面痛は、手術後の立位・歩行練習においても同様の痛みの訴えがあった。この痛みは、橋網様体脊髄路障害による左股関節を中心とした予測的姿勢制御障害に対して、ハムストリングスが過剰収縮していることに起因すると推測した。介入3 週目より長下肢装具を適用して麻痺側下肢の支持性を保障し、左股関節を中心とした姿勢制御の再学習を行ったことで、痛みは消失、体幹機能や歩行能力の改善を認めた。2020 年には脳卒中患者は約300 万人になると予測されており、慢性期脳卒中者の中には転倒による骨折後の手術適応例や本症例のような例が増加していくと考えられる。脳卒中既往のある患者には現行疾患に対しての理学療法だけでなく、慢性期であったとしても備品用長下肢装具を適用するなどオーダーメイドの介入が有効であると思われる。