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概要

プログラム集

68「健康長寿を目指して~“痛み”のない健やかな毎日を送るために~」日本福祉大学健康科学部リハビリテーション学科松原 貴子 我が国は,今や平均寿命80 年という世界最長寿国となり,国民の4 人に1 人が高齢者という高齢社会を迎えようとしている。そんな中,国民が健康で生きがいをもち,安心して生涯を過ごせるような明るい活力のあるものとするため,厚生労働省は健康長寿に関して様々な施策を打ち出している。 一方,厚生労働省「国民生活基礎調査」によると,腰痛や肩凝り,関節の痛みといった慢性的な痛みは,国民の多くが訴える症状の上位を占めており,慢性痛は国民病ともいえる。直近の大規模調査によると,国民の15%以上が慢性痛を有していることも報告されている。慢性痛は,個々の生活の質を著しく損なうばかりでなく,直接的・間接的医療費の高騰,労働生産性の低下,家族や社会の介護支援過多など,家族や社会にとっても大きな課題になっている。 慢性痛はなぜ治らないのか?あきらめている国民が半数近くいると推測されている。21 世紀に入り,慢性痛に関する研究は世界規模で飛躍的に発展し,新たな治療法の開発が進められている。しかしながら,我が国の慢性痛対策はまだまだ遅れているといわざるを得ない。そもそも慢性痛とはどのような病気なのか?治るのか?どういう治療がなされているのか?等々,慢性痛について様々な情報がインターネットやメディアを通じて世の中に蔓延する中,正しい知識を知り真の対応をとることが国民,医療者の双方にとって必要である。 痛みは一「感覚」ではなく,脳内で統合される複合情報である。その情報処理が歪むと,痛みは治らず慢性痛になる。こうなると,からだの末梢組織(痛みを発している部位)に何らかの治療や対処を行っても鎮痛・緩和効果を得ることはできない。近年,慢性痛治療には脳を含めた神経科学的な視点が必要とされている。簡単に言えば“脳トレ”で痛み脳を変えることが必要である。だからと言って,難しい技術が必要というわけでなく,誰もが行える運動が薬物療法や手術療法などを含めたすべての治療法の中で慢性痛に最も有効であるとされており,世界中で第一選択治療法に掲げられている。今回の講演では,慢性痛の基礎知識から治療・脳トレの考え方について概説し,健康長寿を目指す“正しい”慢性痛対応策について情報提供する。市民公開講座