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概要

プログラム集

65内部障害とフレイル ~安全で効果的な理学療法のために~東京工科大学医療保健学部理学療法学科高橋 哲也 近年、「フレイル」の関心が高まっている。フレイルは、「高齢期にさまざまな要因が関与して生じ、身体の多領域にわたる生理的予備力の低下によってストレスに対する脆弱性が増大し、重篤な健康問題を起こしやすい状態」と定義されている。フレイルは、「健常から要介護状態に至る中間段階である」との記述も少なくないが、フレイルは、disability(能力低下・身体障害)やcomorbidity(疾病を2 つ以上保有)を併存する場合があることを認識すると、多くの理学療法士にとっても大変受け入れやすいものとなる。事実Fried らの報告では、わずか73.4%でdisability またはcomorbidity、もしくはその両方を持つとされている(Fried LP, J Gerontol A Biol Sci Med Sci, 2004)。 フレイルは、身体的フレイル以外にも、精神心理的フレイル、社会的フレイルといった多次元的に評価することが望まれる。その中でも身体的フレイル評価は20 以上の評価法が開発されているが、Fried Index =Cardiovascular Health Study (CHS) 基準が最も広く国際的に用いられている。Fried Index は、体重減少、易疲労性、活動性低下、歩行速度の低下、筋力(握力)の低下の5 項目で構成されている。この中でも特に歩行速度の低下がフレイルおよび有害な結果を最も予測するとされる。また、Fried が示したフレイルサイクルでは、歩行速度の低下に影響する因子として、筋力や筋パワーの低下と全身持久力の低下が挙げられている。すなわち、我々理学療法士は、フレイル患者またはフレイル予備軍の歩行速度や筋力・筋パワー、全身持久力を低下させないプログラムを実施する必要があるといえよう。 フレイル患者に対する理学療法は、身体が弱々しいことを理由に低強度で無理なく行うような指導では不十分である。筋力低下に関与する要因は、筋量の低下に加えて、筋脂質量の増加や興奮収縮連関異常、筋構造の変性(筋束の短縮や筋束角度の低下など)が挙げられる。加えて、皮質や脊髄興奮性の減少、最大運動単位発射率の減少、神経電動速度の低下など、神経的要因の関与も大きい。筋力と筋量が相関することはよく知られてるが、高齢者の筋量を増やすことは容易なことではない。よって、理学療法による筋力の改善は、神経学的順応(neural adaptation)が主であり、まさに筋パワー(力×速さ)の重要性を示唆するものである。 フレイルがあると、主たる疾患の治療後も、再発が多かったり生命予後が悪いという報告は多い。今、内部障害に対する理学療法は単に機能の改善を目的にするのではなく、フレイルを予防・改善し、再発、再入院を予防する理学療法へと進化してきている。当日は、循環器疾患のフレイルを中心に安全で効果的な理学療法について講演する。教育講演