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概要

プログラム集

63糖尿病を合併した症例における安全で効果的な足部の管理ー切断予防とフットケアの観点からー城西国際大学福祉総合学部理学療法学科河辺 信秀 理学療法の対象疾患である脳血管疾患、心疾患、腎疾患などを呈する症例は、動脈硬化症の進展を背景としているため、糖尿病合併症例が多い。変形性関節症など肥満が要因となる骨関節疾患患者においても、糖尿病の合併率は高い。これらの背景を踏まえ、本学会の『見る 知る 考える ?安全で効果的な理学療法?』というテーマに則り、本講演では糖尿病合併症例に対するリスク管理と理学療法に関して解説する。糖尿病合併症例に対する運動時のリスク管理は低血糖対策が一般的であるが、本講演では足病変リスクの管理を中心とした内容とする。糖尿病患者は、下肢切断率が非糖尿病患者の8 倍にのぼるとされており、切断リスクが非常に高い。しかも、切断の要因となる下肢慢性創傷は、理学療法の実施により発症、再発、治癒遷延を引き起こす可能性がある。その理由は下肢慢性創傷の病態に起因する。下肢慢性創傷は糖尿病神経障害による著しい防御知覚の低下を一義的な要因とし、様々な危険因子が加わることで発生する。特に足底負荷量上昇が重要な危険因子である。負荷量の上昇は胼胝形成を招き創傷(皮下潰瘍)を引き起こす。形成された創傷は、褥瘡と同様に、創部に荷重が加わる限り治癒が得られない。このように足底負荷量上昇は、下肢慢性創傷の発症・再発および治癒に影響を及ぼす危険因子である。一方で、理学療法では荷重を伴う立位、歩行練習が行われる。前述のように創傷が存在している場合、免荷(off-loading)を行わないで歩行練習を実施することは創傷治癒遷延の直接的な要因となってしまう。このため、off-loading を達成した状況下での理学療法の実施が必要不可欠である。創傷周囲の関節における可動域練習を行うことも、極めてリスクが高い。関節を動かすことにより剪断力が加わり創傷が牽引される場合、リモデリングを阻害し治癒の遷延を招いてしまう。また、感染が認められる場合、その拡大を招く可能性もある。創傷が存在しない症例でも、高度な知覚障害が存在する場合、フィッティング不良により靴ずれを引き起こす可能性がある。短下肢装具や義足の装着においても防御知覚の消失を考慮に入れないと新たな創傷の発生を引き起こす場合がある。以上のように、糖尿病合併症例においては、足部の管理を行わずに理学療法を実施することは潰瘍形成を招き、切断リスクを高める可能性があるといえる。したがって、糖尿病合併症例に対しては、足病変リスクを把握するための評価、およびリスクを低減するための介入が必要となる。本講演では、これらの具体的な方略について概説する。教育講演