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概要

プログラム集

61脳卒中のニューロリハビリテーション~効果的な理学療法のためのエビデンス~畿央大学健康科学部理学療法学科・大学院健康科学研究科理学療法士松尾 篤 脳卒中患者に対するニューロリハビリテーションは,多くの神経科学研究および臨床研究の成果によってその礎を築いてきた.脳卒中という疾患は複数の1次性の機能障害を引き起こすが,これらは「脳」をいう器官の障害によって出現するものであり,器官機能と機能障害には密接な繋がりがある.よって,脳梗塞や脳出血,くも膜下出血というような疾患別にリハビリテーションを考える必要性はなく,器官レベルで機能障害を把握し,さらにはそれらによって引き起こされる活動制限に対して適切な治療を行う必要がある.一方で,脳卒中患者は多くの場合,廃用症候群などの2 次性の機能障害も有していることから,理学療法士は運動麻痺や高次脳機能障害などの1 次性の機能障害に対して注意を向けすぎることなく全人的なレベルでアプローチを実践しなければならない. ニューロリハビリテーションは,神経科学を中心にして,心理学,認知科学,ロボット科学,医療工学などの様々な学際領域が横断的にリハビリテーションに応用可能な知見を採用しながら有効な評価・治療方法を展開するものである.神経科学の発展がその基礎にあるが,これらの知見は脳卒中のリハビリテーションにおいても大きく貢献しており,それはリハビリテーション治療による神経学的回復と機能的回復の双方が同時的に検証可能となったことが重要なポイントとして挙げられるだろう. 今回の講演では,脳卒中のニューロリハビリテーションに関連して,まずは回復の神経メカニズムについての概観を示す.そして,次にはニューロリハビリテーションの実践における重要事項を説明する.例えば,トレーニング量に関する知見や課題指向的アプローチの意味について紹介したい.次に,脳卒中のニューロリハビリテーションに関するエビデンスを幾つか紹介する.これについてはRCT を中心にCochraneLibrary を引用しながら,また可能な限り最新の知見を含めて紹介しようと考えている.最後に,社会神経科学という領域から,リハビリテーションおよび理学療法の実践に深く関わる知見を,セラピストの社会性とコミュニケーションの視点から,エビデンスをどのように使うかを提案したいと考えている. 様々な知見を「知る」こと,これらの知見を対象者に「使う」ことは別である.脳というシステムから見ると「入力」と「出力」の問題である.我々理学療法士は,この入出力のバランスを意識しながら,臨床という現場でどのように対象者に最良の治療を届けることができるのかを一緒に考える機会になれば幸いである.教育講演