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概要

プログラム集

51超高齢社会・重複障害時代のリハビリテーション-理学療法士に期待すること-東北大学大学院医学系研究科内部障害学分野教授・東北大学病院リハビリテーション部長上月 正博 わが国は、平均寿命、高齢化率、高齢化速度の3点において世界一の超高齢社会である。超高齢社会では多疾患患者が増え、障害も単一ではなく、重複障害という新たな課題に直面している。 わが国の身体障害者数の中でも内部障害者数の増加が大きく、身体障害者数全体に占める割合は1980 年の10%から2006 年の30%に増加した。2001 年~ 2006 年の調査では、5 年間での内部障害者数の増加は身体障害者数増加分の93%を占めた。また、重複障害者が77.1%と急増し、その中でも内部障害と肢体不自由との重複障害が最多であった。超高齢社会・重複障害時代のわが国では、内部障害リハビリテーション(リハ)がリハ関連職種の精通すべき基本領域になったことを意味している。 重複障害リハは、多疾患による重複障害に基づく身体的・精神的影響を軽減させ、症状を調整し、生命予後を改善し、心理社会的ならびに職業的な状況を改善することを目的として、メディカルチェック、臓器連関や障害連関への対応、運動療法、食事療法と水分管理、薬物療法、教育、精神・心理的サポートなどを行う、長期にわたる包括的なプログラムである。 医学・医療は” Adding Years to Life(生命予後の改善)“を主目的に発展してきた。一方、リハ医学・医療は、障害をもたらす疾患で生じた機能障害、能力低下、社会的不利に対する評価と介入を通じて、” Adding Lifeto Years(生活機能予後やQOL の改善)“を主目的に発展してきた。しかし、心臓リハなどの内部障害リハのゴールは、単にそれだけではなく、”Adding Years to Life”も達成できる。すなわち、内部障害リハでは”Adding Life to Years and Years to life”という「医療の王道」を達成できる。 重複障害時代のリハを確実に担うためには、各臓器に特異的な問題とともに、脳・心・肺・骨関節などの臓器連関を考慮する必要がある。リハの目標を“Adding Life to Years”と”Adding Life to Years andYears to Life”の選択を意識してプログラムを作成・実行することも肝要である。つまり、重複障害の状況に応じた個別プログラムによる積極的なリハを行うべきである。そのためには、理学療法士は循環・腎・呼吸・代謝疾患の病態生理、心電図、呼吸機能検査、血液ガスデータなどの理解や心・腎・肺・脳・骨関節などの臓器連関の理解が必要である。 医学・医療は日進月歩である。日々の診療を漫然と行うだけでは、時代に取り残される一方である。理学療法士は医学・医療関係雑誌を読み、学会、研究会、講習会などに積極的に参加して知識を吸収し、技術に磨きをかけてほしい。各自の専門領域を発展させるとともに、重複障害に対応するために広いベースを失わずに、ますます活躍されることを期待したい。基調講演