688: Mucinosisが疑われ、局所再発した一例

 1)神戸市立医療センター中央市民病院 病理、2)神戸大学 腫瘍病理学教室、3)神戸市立医療センター中央市民病院 形成外科

榎木 英介1,2)、宇佐美 悠1)、間藤 尚美3)、今井 幸弘1)、 横崎 宏2)

 

【症例】  57歳男性。

【家族歴、既往歴】 特記すべきことなし(甲状腺疾患、糖尿病なし)

 【現病歴】 4年前、左耳下部に腫瘤をふれ、局所麻酔下に摘出切除行った。組織学的には、真皮から皮下結合織にかけて間質に粘液腫様物質の沈着を認めた。一見lipoblast 様の foamy cell をごく少数認めたが、S-100 陰性であった。focal mucinosisと診断した。
その後同部位に再発を認めたため、切除術施行された。

 
【肉眼所見】 真皮内に半透明の粘液腫様物質がみられた。周囲の正常組織との境界は比較的明瞭で、周囲組織を圧排するような像を示した。

 
【組織所見(標本供覧)】 真皮深層から皮下脂肪織に、粘液腫状物質が沈着する像がみられた。周囲との境界は一見明瞭であったが、既存の線維性結合織や付属器が巻き込まれていた。細胞成分は極めて乏しかった。表皮に著変は認めなかった。

 
【問題点】 同部位に局所再発するmucinosisをどう考えればよいか。
                各種低悪性度肉腫との鑑別。