685:躯幹部皮膚に多発性丘疹をみた一例

 1)関西医科大学病理学第二講座,  2)附属滝井病院皮膚科,  3)附属滝井病院病理部

圦 貴司1), 山崎文和2), 鷹巣晃昌3), 四方伸明3), 螺良愛郎1)

【症例】  60歳代 女性

【既往歴】 特発性血小板紫斑病(ステロイド内服加療 減量中)、糖尿病(内服加療中)

【主訴】   数か月前より体幹部を中心に出現した多発性小皮膚腫瘤

【現病歴】 特発性血小板減少症にて当院血液内科にて通院管理されていたが、耳下腺腫脹とともに胸水貯留を認めたため、精査目的にて当院血液内科に入院した。入院にあたり、数か月前より認めていた腹部を中心に右胸部および背部に数ミリ~1cm大の多発する黒子様の膨隆を伴う皮膚病変につき皮膚科を紹介受診し、腹部の病変2か所から生検を施行された。その後、多発する皮膚腫瘤に対し、冷凍凝固療法を複数回行ったが、胸水等の全身状態の改善とともに皮膚腫瘤は消退傾向をみた。耳下腺の組織学的検索結果も含め、各種検査結果より悪性リンパ腫等の悪性疾患の併存は否定され、現在外来通院中である。

【生検時現症】 末梢神経のしびれ感、両眼瞼および下腿浮腫 

【検査所見】 経過中、一過性に尿中に微量Mタンパク(κ型)が出現するも、再検にて消失。腹部超音波検査にて肝脾腫()

                   末梢血 抗血小板抗体()、血小板数 1020/μl、免疫グロブリン(IgG, IgM, IgA)いずれも正常範囲内。

 
【組織所見】
 長径8mmおよび4.5mm大の隆起を示す皮膚結節が採取され、2標本とも同様の像であった。組織学的に真皮上層に拡張した血管腔内に著明な毛細血管が増生する所見を認めた。増生する血管内皮細胞の胞体内にはエオジン好性の球状顆粒を含んでいた。

 【配布標本】 2か所から切除された皮膚腫瘤(微小標本にて3セット分のみの用意です)

【問題点】 病理組織学的診断



        【画像1】  【画像2】  【画像3】