第28回日本病理学会近畿支部学術集会検討症例

613：薬疹を疑った1例

市立堺病院　病理・研究科(1)、関西労災病院　病理科(2)、皮膚科(3)

和田直樹1)、山内道子1)、森野英男2)、大前あゆみ3)、三浦宏之3)、足立　準3)

投票結果

8
2
1

　　　　　　　　　　　

Linear IgA bullous dermatitis
Dermatitis herpetiformis
Drug eruption

検討結果
Linear IgA bullous dermatitis

症例６０才代後半、女性

経過
【既往歴】高血圧、高コレステロール血症

【現病歴･現症】約２年前、近医整形外科で右膝関節痛に対しボルタレン(酸性抗炎症剤)の投与をうけ、また、内科で高コレステロール血症に対しメバロチン(HMG-CoA還元酵素阻害剤)の投与をうけ、同時に内服したところ、４日目より、指頭大までの紅斑及び水疱がほぼ全身に生じた。掻痒感はなかった。近医皮膚科受診し、７日目よりボルタレン、メバロチンの服用をやめ、以前より服用しているアムロジン(Ca拮抗剤)だけにしたうえで、セレスタミンを6日間内服するとともにリンデロン-VGを外用するも、次第に皮疹が増え、全身倦怠感も出現。２０日目に総合病院皮膚科に入院し、背部の小水疱を伴う環状になった紅斑から生検を施行し、蛍光抗体法も行った。診断確定後、プレドニン、レクチゾール(ジアフェニルスルホン)投与にて皮疹改善。５５日目の診察にて水疱の新生はなく、症状も落ち着いている。

【病理組織学的所見】表皮下水疱を認め、水疱内に好中球を主体として好酸球も少数混じる表皮下膿疱の形成を認める。また、真皮浅層の血管周囲にリンパ球・好中球浸潤を認める。やや拡張した血管もみられ、周囲に浮腫を伴う。subepidermal vesicular dermatitis、neutrophils prominentのパターンを示す病変である。蛍光抗体法を行ったところ、表皮基底膜、水疱蓋、水疱底部にIgAの線状沈着がうかがえた。IgG、C3の沈着は認めなかった。

写真体幹に生じた水泡を伴う紅斑、背部の小水泡を伴う環状になった紅斑、IgA、対物×4、対物×10、対物×40その１、対物×40その２

614：肝腫瘍の一例

大阪労災病院　臨床病理科

大橋寛嗣、川野　潔

投票結果

11　
3　
1　
1　
3　
1

1　
2　
1

　　　　　　　　　　　　

Angiomyolipoma
PEComa
Atypical adenomatous hyperplasia
Paraganglioma
Liver cell adenoma
　　うちclear cell variant

Hepatocellular carcinoma (clear cell type)
Metastatic carcinoma
　　うち腎癌

検討結果
Angiomyolipoma

症例３０歳台後半、女性

経過
【既往歴】左卵巣嚢腫(endometriotic cyst)摘出術、子宮内膜症(1年前にダナゾール内服6ヶ月継続)

【現病歴】自覚症状は無し。検診にてエコー上、肝S5領域に径35ｍｍの陰影を指摘され、2ヵ月後肝生検を当院にて施行。検診より4ヶ月後に肝部分切除が施行された。

【画像所見】CTにて35mmの結節はiso densityで、造影にて均一なearly enhancementが認められた。血管造影では腫瘍の中心から車軸状の血管増生がみられた。

【血液検査所見】HBV, HCVは陰性。AFP, PIVKA II, CEA, CA19-9は基準範囲内。その他、CBC、生化学所見に異常はみられなかった。

【肉眼所見】腫瘍は25×20mmの楕円形で、肝実質との境界は明瞭で被膜は認めず、黄褐色から茶褐色の色調を呈する充実性の腫瘍であった。

写真マクロ1、マクロ2、ミクロ1、ミクロ2

613：薬疹を疑った1例市立堺病院　病理・研究科(1)、関西労災病院　病理科(2)、皮膚科(3) 和田直樹1)、山内道子1)、森野英男2)、大前あゆみ3)、三浦宏之3)、足立　準3)
投票結果 8 2 1	Linear IgA bullous dermatitis Dermatitis herpetiformis Drug eruption
検討結果	Linear IgA bullous dermatitis
症例	６０才代後半、女性
経過	【既往歴】高血圧、高コレステロール血症【現病歴･現症】約２年前、近医整形外科で右膝関節痛に対しボルタレン(酸性抗炎症剤)の投与をうけ、また、内科で高コレステロール血症に対しメバロチン(HMG-CoA還元酵素阻害剤)の投与をうけ、同時に内服したところ、４日目より、指頭大までの紅斑及び水疱がほぼ全身に生じた。掻痒感はなかった。近医皮膚科受診し、７日目よりボルタレン、メバロチンの服用をやめ、以前より服用しているアムロジン(Ca拮抗剤)だけにしたうえで、セレスタミンを6日間内服するとともにリンデロン-VGを外用するも、次第に皮疹が増え、全身倦怠感も出現。２０日目に総合病院皮膚科に入院し、背部の小水疱を伴う環状になった紅斑から生検を施行し、蛍光抗体法も行った。診断確定後、プレドニン、レクチゾール(ジアフェニルスルホン)投与にて皮疹改善。５５日目の診察にて水疱の新生はなく、症状も落ち着いている。【病理組織学的所見】表皮下水疱を認め、水疱内に好中球を主体として好酸球も少数混じる表皮下膿疱の形成を認める。また、真皮浅層の血管周囲にリンパ球・好中球浸潤を認める。やや拡張した血管もみられ、周囲に浮腫を伴う。subepidermal vesicular dermatitis、neutrophils prominentのパターンを示す病変である。蛍光抗体法を行ったところ、表皮基底膜、水疱蓋、水疱底部にIgAの線状沈着がうかがえた。IgG、C3の沈着は認めなかった。
写真	体幹に生じた水泡を伴う紅斑、背部の小水泡を伴う環状になった紅斑、IgA、対物×4、対物×10、対物×40その１、対物×40その２

614：肝腫瘍の一例大阪労災病院　臨床病理科大橋寛嗣、川野　潔
投票結果 11　 3　 1　 1　 3　 1 1　 2　 1	Angiomyolipoma PEComa Atypical adenomatous hyperplasia Paraganglioma Liver cell adenoma 　　うちclear cell variant Hepatocellular carcinoma (clear cell type) Metastatic carcinoma 　　うち腎癌
検討結果	Angiomyolipoma
症例	３０歳台後半、女性
経過	【既往歴】左卵巣嚢腫(endometriotic cyst)摘出術、子宮内膜症(1年前にダナゾール内服6ヶ月継続) 【現病歴】自覚症状は無し。検診にてエコー上、肝S5領域に径35ｍｍの陰影を指摘され、2ヵ月後肝生検を当院にて施行。検診より4ヶ月後に肝部分切除が施行された。【画像所見】CTにて35mmの結節はiso densityで、造影にて均一なearly enhancementが認められた。血管造影では腫瘍の中心から車軸状の血管増生がみられた。【血液検査所見】HBV, HCVは陰性。AFP, PIVKA II, CEA, CA19-9は基準範囲内。その他、CBC、生化学所見に異常はみられなかった。【肉眼所見】腫瘍は25×20mmの楕円形で、肝実質との境界は明瞭で被膜は認めず、黄褐色から茶褐色の色調を呈する充実性の腫瘍であった。
写真	マクロ1、マクロ2、ミクロ1、ミクロ2

615：腹壁腫瘍の１例

大阪赤十字病院　病理部(1)、外科(2)

新宅雅幸1)、山中健也2)

　　投票結果

5　
1
1
2　
1　
4　
2　
1　
2　
1　
2　
1　
1　

　　　　　　　　　　　

Liposarcoma
　うちMyxoid
　うちDedifferentiated
Malignant fibrous histiocytoma
Sclerosing epithelioid fibrosarcoma
Solitary fibrous tumor
Pleomorphic hyalinyzing angioectatic tumor
Extraskeletal astrocytoma
Spindle cell lipoma
Giant cell angiofibroma
Benign (atypical) fibrous histiocytoma
Epithelioid hemangioendothelioma
Myoepithelioma

検討結果
Solitary fibrous tumor

症例７０歳代前半、女性

経過【病歴ならびに経過】自覚症状なし。４年ぶりに受診した人間ドックにて、CTで右腎前方に径約８cmの腫瘤が見出され、開腹手術を受けた。術前の画像診断は脂肪肉腫の疑い。腫瘍は前腹壁の軟部組織から発生しており、広基性ポリープ状で、腹膜を被って腹腔内に浮遊するように突出し、腹腔内諸臓器との癒着はない。腹水なし。大きさ約８×５×５ｃｍ。腫瘍の全摘出と腹壁の再建を行い。術後経過は良好。

写真マクロ、ミクロ1、ミクロ2、ミクロ3、ミクロ4

615：腹壁腫瘍の１例大阪赤十字病院　病理部(1)、外科(2) 新宅雅幸1)、山中健也2)
投票結果 5　 1 1 2　 1　 4　 2　 1　 2　 1　 2　 1　 1	Liposarcoma 　うちMyxoid 　うちDedifferentiated Malignant fibrous histiocytoma Sclerosing epithelioid fibrosarcoma Solitary fibrous tumor Pleomorphic hyalinyzing angioectatic tumor Extraskeletal astrocytoma Spindle cell lipoma Giant cell angiofibroma Benign (atypical) fibrous histiocytoma Epithelioid hemangioendothelioma Myoepithelioma
検討結果	Solitary fibrous tumor
症例	７０歳代前半、女性
経過	【病歴ならびに経過】自覚症状なし。４年ぶりに受診した人間ドックにて、CTで右腎前方に径約８cmの腫瘤が見出され、開腹手術を受けた。術前の画像診断は脂肪肉腫の疑い。腫瘍は前腹壁の軟部組織から発生しており、広基性ポリープ状で、腹膜を被って腹腔内に浮遊するように突出し、腹腔内諸臓器との癒着はない。腹水なし。大きさ約８×５×５ｃｍ。腫瘍の全摘出と腹壁の再建を行い。術後経過は良好。
写真	マクロ、ミクロ1、ミクロ2、ミクロ3、ミクロ4

616：若年女性に発症した肺腫瘍の一例

大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター　臨床病理検査科(1)、呼吸器外科(2)

永野輝明1)、佐々木尚子2)、安川元章2)、桂　浩2)、岩崎輝夫2)、中川勝裕2)、河原邦光1)

投票結果

18
1

1
　　

　　　　　　　　　　　

Choriocarcinoma
Poorly differentiated carcinoma
with trophoblastic differentiation
Gestational trophoblastic disease
low risk

検討結果
Poorly differentiated carcinoma
with trophoblastic differentiation

症例２０歳代後半、女性

経過
【主訴】左肺異常陰影

【出産歴を含む既往歴】４年前、第１子出産。２年半前流産、その３ヶ月後に流産、さらにその９ヶ月後に流産。最終流産の１年後、今回入院の５ヶ月前に第２子出産。

【現病歴】入院１ヶ月前より３８℃台の熱発と咳嗽あり近医受診、胸部レントゲン検査にて左肺に異常影指摘され、肺炎として抗生剤処方された。症状改善後も異常影残存するため　胸部CT施行、肺癌疑いにて当院紹介され、精査加療のため入院した。
入院後、経気管支生検行ったが有意な所見得られず、腫瘤摘出術施行された。

【検査所見】（術前）血液・生化学検査で特記すべき所見なし、CEA 0.7 ng/ml（正常<5）、NSE 25.5（<10）、CYFRA 1.5（<3.5）、SCC 0.9（<1.5）
（術後６日目）hCGβ 0.4ng/ml（<0.1）（術後16日目）hCG 13mIU/ml（<1.0）

【画像所見】胸部レントゲン：左中肺野に3.0×3.3cmの結節影。
胸部CT：左S3に3.0×2.5cmの充実性腫瘤。

【病理肉眼所見】腫瘤は左肺上葉の肺実質内に存在し、割面は2.7_2.3cm大、壊死・出血を伴った褐色の充実性病変。

写真

616：若年女性に発症した肺腫瘍の一例大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター　臨床病理検査科(1)、呼吸器外科(2) 永野輝明1)、佐々木尚子2)、安川元章2)、桂　浩2)、岩崎輝夫2)、中川勝裕2)、河原邦光1)
投票結果 18 1 1	Choriocarcinoma Poorly differentiated carcinoma with trophoblastic differentiation Gestational trophoblastic disease low risk
検討結果	Poorly differentiated carcinoma with trophoblastic differentiation
症例	２０歳代後半、女性
経過	【主訴】左肺異常陰影【出産歴を含む既往歴】４年前、第１子出産。２年半前流産、その３ヶ月後に流産、さらにその９ヶ月後に流産。最終流産の１年後、今回入院の５ヶ月前に第２子出産。【現病歴】入院１ヶ月前より３８℃台の熱発と咳嗽あり近医受診、胸部レントゲン検査にて左肺に異常影指摘され、肺炎として抗生剤処方された。症状改善後も異常影残存するため　胸部CT施行、肺癌疑いにて当院紹介され、精査加療のため入院した。入院後、経気管支生検行ったが有意な所見得られず、腫瘤摘出術施行された。【検査所見】（術前）血液・生化学検査で特記すべき所見なし、CEA 0.7 ng/ml（正常<5）、NSE 25.5（<10）、CYFRA 1.5（<3.5）、SCC 0.9（<1.5）（術後６日目）hCGβ 0.4ng/ml（<0.1）（術後16日目）hCG 13mIU/ml（<1.0）【画像所見】胸部レントゲン：左中肺野に3.0×3.3cmの結節影。胸部CT：左S3に3.0×2.5cmの充実性腫瘤。【病理肉眼所見】腫瘤は左肺上葉の肺実質内に存在し、割面は2.7_2.3cm大、壊死・出血を伴った褐色の充実性病変。
写真

617：健診にて右胸水指摘され，肺腫瘍が疑われた１例

田附興風会北野病院　臨床病理部(1)、胸部外科(2)、京都大学付属病院　病理部(3)、大阪歯科大学口腔病理学(4)

鷹巣晃昌1)，河野文彦1)，香月奈穂美1)、石田久雄2)、吉澤明彦3)、奥野知子3)、和唐雅博4)

投票結果

8　
2
11　
1
1
2　

　　　　　　　　　　　

Reactive pleuritis
うち　Fibrous
(Malignant) Mesothelioma
うち　Biphasic
うち　Desmoplastic
Adenocarcinoma

検討結果
Malignant mesothelioma, desmoplastic

症例５０歳代前半、男性

経過
【主訴】胸水精査目的

【現病歴】当院受診2ヶ月前、健診にて右肺の葉間に胸水指摘され、1ヶ月ほど後、某院入院。右胸水の試験穿刺を行うも細胞診Class II。 ADA30。5、喀痰塗抹陰性、有意な菌なし。胸水の排液試みるも、600ml程度しか引けず、画像上も改善みられないことから、本人の希望にて当院転入院となる。

【入院時検査成績】（検体検査成績：省略）
　胸部造影CT:右胸郭に胸水大量貯留し、液面形成。トロアカーチューブ挿入。肺実質内に複数のmassを認めるが、造影効果はほぼ均一でatelectasisともmalignancyとも判別できず。

【入院後経過】入院当日トロアカー留置を施行して、胸水の排水と分析を行うも悪性所見を認めず、気管支鏡下、可視領域に異常なく、洗浄も炎症所見のみであった。しかし胸水は浸出性で胸水中CYFRA140ng/mlや硬い印象をうける画像など悪性が疑われたため、縦隔鏡施行を試み、入院15日目に胸部外科転科。ドレーン抜去部からポートを挿入し、胸腔内観察。多量の胸水とフィブリン塊あり。上肺野は胸壁と癒着し、肺尖部までの観察は不可能。下肺野は圧迫性無気肺様に折りたたまれた状態であった。壁側胸膜の術中凍結診断を行った。結局、剥離困難にて閉胸した。永久標本とともに組織確定診断を行った。

写真 617_1.jpg、617_2.jpg、617_3.jpg

617：健診にて右胸水指摘され，肺腫瘍が疑われた１例田附興風会北野病院　臨床病理部(1)、胸部外科(2)、京都大学付属病院　病理部(3)、大阪歯科大学口腔病理学(4) 鷹巣晃昌1)，河野文彦1)，香月奈穂美1)、石田久雄2)、吉澤明彦3)、奥野知子3)、和唐雅博4)
投票結果 8　 2 11　 1 1 2	Reactive pleuritis うち　Fibrous (Malignant) Mesothelioma うち　Biphasic うち　Desmoplastic Adenocarcinoma
検討結果	Malignant mesothelioma, desmoplastic
症例	５０歳代前半、男性
経過	【主訴】胸水精査目的【現病歴】当院受診2ヶ月前、健診にて右肺の葉間に胸水指摘され、1ヶ月ほど後、某院入院。右胸水の試験穿刺を行うも細胞診Class II。 ADA30。5、喀痰塗抹陰性、有意な菌なし。胸水の排液試みるも、600ml程度しか引けず、画像上も改善みられないことから、本人の希望にて当院転入院となる。【入院時検査成績】（検体検査成績：省略）　胸部造影CT:右胸郭に胸水大量貯留し、液面形成。トロアカーチューブ挿入。肺実質内に複数のmassを認めるが、造影効果はほぼ均一でatelectasisともmalignancyとも判別できず。【入院後経過】入院当日トロアカー留置を施行して、胸水の排水と分析を行うも悪性所見を認めず、気管支鏡下、可視領域に異常なく、洗浄も炎症所見のみであった。しかし胸水は浸出性で胸水中CYFRA140ng/mlや硬い印象をうける画像など悪性が疑われたため、縦隔鏡施行を試み、入院15日目に胸部外科転科。ドレーン抜去部からポートを挿入し、胸腔内観察。多量の胸水とフィブリン塊あり。上肺野は胸壁と癒着し、肺尖部までの観察は不可能。下肺野は圧迫性無気肺様に折りたたまれた状態であった。壁側胸膜の術中凍結診断を行った。結局、剥離困難にて閉胸した。永久標本とともに組織確定診断を行った。
写真	617_1.jpg、617_2.jpg、617_3.jpg

618：口蓋腫瘍の1例

大阪歯科大学　口腔病理学(1)、口腔外科学第二(2)

富永和也1)、和唐雅博1)、益野一哉1)、大西祐一2)、覚道健治2)、田中昭男1)

投票結果

14　
3
4　
1　
1　
1　

　　　　　　　　　　　

Mucoepidermoid carcinoma
うち　Low grade
Mucinous adenocarcinoma
Acinic cell carcinoma
Adenocarcinoma
Malignant pleomorphic tumor

検討結果
Mucinous adenocarcinoma

症例５０歳代、男性

経過
【主訴】左側口蓋部の腫脹

【既往歴】直腸ポリープ

【現病歴】約２か月前から左側口蓋部の腫脹を自覚していたが，無痛性のため放置していた。症状に変化はないが、近医の診療所で相談したところ精査をすすめられ、本学附属病院口腔外科を受診した。初診時、顔貌は左右対称で、触診による所属リンパ節の腫脹はみられなかった。左側硬口蓋後方部に約７×６mm大の腫脹を認めた。腫脹は一部発赤を伴い弾性硬で、周囲に硬結を触知した。しかし、圧痛は認められなかった。
MRI所見：Ｔ１強調像は低信号であり、内部性状は均一で、Ｔ２強調像は高信号の病変を呈した。

【処置および経過】口蓋部唾液腺腫瘍の疑いで、局麻下で生検を施行し、「粘表皮癌の疑い」との病理組織学的診断を得、約1か月後、全麻下にて上顎骨部分切除術を施行した。

写真生検、摘出物、摘出物2

618：口蓋腫瘍の1例大阪歯科大学　口腔病理学(1)、口腔外科学第二(2) 富永和也1)、和唐雅博1)、益野一哉1)、大西祐一2)、覚道健治2)、田中昭男1)
投票結果 14　 3 4　 1　 1　 1	Mucoepidermoid carcinoma うち　Low grade Mucinous adenocarcinoma Acinic cell carcinoma Adenocarcinoma Malignant pleomorphic tumor
検討結果	Mucinous adenocarcinoma
症例	５０歳代、男性
経過	【主訴】左側口蓋部の腫脹【既往歴】直腸ポリープ【現病歴】約２か月前から左側口蓋部の腫脹を自覚していたが，無痛性のため放置していた。症状に変化はないが、近医の診療所で相談したところ精査をすすめられ、本学附属病院口腔外科を受診した。初診時、顔貌は左右対称で、触診による所属リンパ節の腫脹はみられなかった。左側硬口蓋後方部に約７×６mm大の腫脹を認めた。腫脹は一部発赤を伴い弾性硬で、周囲に硬結を触知した。しかし、圧痛は認められなかった。 MRI所見：Ｔ１強調像は低信号であり、内部性状は均一で、Ｔ２強調像は高信号の病変を呈した。【処置および経過】口蓋部唾液腺腫瘍の疑いで、局麻下で生検を施行し、「粘表皮癌の疑い」との病理組織学的診断を得、約1か月後、全麻下にて上顎骨部分切除術を施行した。
写真	生検、摘出物、摘出物2

619：涙腺腫瘍の１例

滋賀医科大学附属病院　検査部(1)、病理部(2)

石田光明1)、齊藤英生1)、九嶋亮治2)、角谷亜紀1)、岡部英俊1、2)

投票結果

15
2
1
1
1

1

　　　　　　　　　　　

Carcinoma ex pleomorphic adenoma
Pleomorphic adenoma
Malignant mesothelioma
Polymorphic low-grade adenocarcinoma
Malignant myoepithelioma
and adenoid cystic carcinoma
Ductal type carcinoma

検討結果
Ductal carcinoma ex pleomorphic adenoma

症例７０歳代前半、女性

経過
【主訴】左眼球突出

【既往歴】虫垂炎（３３歳）、胆嚢摘出術（６０歳）

【現病歴】１７年前に左眼球突出、結膜充血を自覚し、近医を受診。CTにて左涙腺腫瘍を指摘され、当院眼科受診。腫瘍摘出術が施行され、病理組織検査にて多形性腺腫と診断された。以後近医にてフォローされていたが、一昨年より再び左眼球突出を自覚し、MRIにて左涙腺に約3cm×1.5cmの腫瘍を指摘され当院眼科を手術目的にて受診。多形性腺腫の再発が疑われ、腫瘍摘出術が施行された。

写真

619：涙腺腫瘍の１例滋賀医科大学附属病院　検査部(1)、病理部(2) 石田光明1)、齊藤英生1)、九嶋亮治2)、角谷亜紀1)、岡部英俊1、2)
投票結果 15 2 1 1 1 1	Carcinoma ex pleomorphic adenoma Pleomorphic adenoma Malignant mesothelioma Polymorphic low-grade adenocarcinoma Malignant myoepithelioma and adenoid cystic carcinoma Ductal type carcinoma
検討結果	Ductal carcinoma ex pleomorphic adenoma
症例	７０歳代前半、女性
経過	【主訴】左眼球突出【既往歴】虫垂炎（３３歳）、胆嚢摘出術（６０歳）【現病歴】１７年前に左眼球突出、結膜充血を自覚し、近医を受診。CTにて左涙腺腫瘍を指摘され、当院眼科受診。腫瘍摘出術が施行され、病理組織検査にて多形性腺腫と診断された。以後近医にてフォローされていたが、一昨年より再び左眼球突出を自覚し、MRIにて左涙腺に約3cm×1.5cmの腫瘍を指摘され当院眼科を手術目的にて受診。多形性腺腫の再発が疑われ、腫瘍摘出術が施行された。
写真

620：家族性が疑われる多発性セメント質骨形成線維腫の1例

大阪大学歯学部　口腔外科学第二(1)、口腔病理学(2)

應谷美幸1)、金ヵ朋彦1)、藤田祐生1)、墨　哲郎1)、松本　憲1)、豊澤　悟2)、岸野万伸2)、由良義明1)

投票結果

7　
1
1　
1　
1　
1　

　　　　　　

Cemento-ossifying fibroma
うち　Familial
Cemento-osseous dysplasia
Cementifying fibroma
Juvenile ossifying fibroma
Fibrous dysplasia

検討結果
Cemento-osseous dysplasia

症例１０歳代前半、女児

経過
【主訴】左側頬部の腫脹。

【既往歴】生下時にHirschsprung病。

【家族歴】実母、伯父、祖父および曽祖父に顎骨腫瘍。

【現病歴】左側頬部の腫脹を自覚し近歯科医院を受診。レントゲン撮影にて下顎左側臼歯部に透過像を認めたため、紹介により来院。

【処置および経過】初診時、左側頬部がびまん性に腫脹し、口腔内所見として上下顎両側に骨膨隆を認めた。CTにて上下顎両側4部位に充実性の腫瘍性病変を認めた。確定診断を得るために初診より１ヶ月後、左側下顎小臼歯部から生検を行った。以後外来にて経過観察していたが左側の膨隆が著明になってきたため、６ヶ月目に全身麻酔下に上下顎左側の腫瘍摘出術を施行した。腫瘍は被膜を有しており白色充実性で、分割し全摘出した。

写真弱拡大、中拡大、強拡大、CT-low、CT-up

620：家族性が疑われる多発性セメント質骨形成線維腫の1例大阪大学歯学部　口腔外科学第二(1)、口腔病理学(2) 應谷美幸1)、金ヵ朋彦1)、藤田祐生1)、墨　哲郎1)、松本　憲1)、豊澤　悟2)、岸野万伸2)、由良義明1)
投票結果 7　 1 1　 1　 1　 1	Cemento-ossifying fibroma うち　Familial Cemento-osseous dysplasia Cementifying fibroma Juvenile ossifying fibroma Fibrous dysplasia
検討結果	Cemento-osseous dysplasia
症例	１０歳代前半、女児
経過	【主訴】左側頬部の腫脹。【既往歴】生下時にHirschsprung病。【家族歴】実母、伯父、祖父および曽祖父に顎骨腫瘍。【現病歴】左側頬部の腫脹を自覚し近歯科医院を受診。レントゲン撮影にて下顎左側臼歯部に透過像を認めたため、紹介により来院。【処置および経過】初診時、左側頬部がびまん性に腫脹し、口腔内所見として上下顎両側に骨膨隆を認めた。CTにて上下顎両側4部位に充実性の腫瘍性病変を認めた。確定診断を得るために初診より１ヶ月後、左側下顎小臼歯部から生検を行った。以後外来にて経過観察していたが左側の膨隆が著明になってきたため、６ヶ月目に全身麻酔下に上下顎左側の腫瘍摘出術を施行した。腫瘍は被膜を有しており白色充実性で、分割し全摘出した。
写真	弱拡大、中拡大、強拡大、CT-low、CT-up

621：下顎骨に発生した腫瘤の1例

大阪大学歯学部　検査部(1)、口腔病理学(2)、口腔外科学第一(3)

中原寛和1)、福田康夫1)、岸野万伸2)、豊澤　悟2)、伊藤千聡1)、下山玲子1)、田中千寿美1)、瀧　康高3)、山西　整3)、内橋隆行3)、古郷幹彦1、3)

投票結果

6
1
1
1
1

　　　　　　　　　　　　　　　　　　

Cemento-ossifying fibroma
Fibrous dysplasia
Aggressive ossifying fibroma
Cementoma with low grade malignancy
Osteoblastoma

検討結果
Cemento-ossifying fibroma

症例４０歳代後半、女性

経過
【主訴】下顎骨前歯舌側部の膨隆

【既往歴】子宮筋腫（経過観察中）、腎臓結石、甲状腺嚢胞、胆嚢ポリープ（いずれも経過観察のみ）、ボーダーライン症候群（某病院にて投薬を受けている）

【家族歴】父親、前立腺癌治療中

【現病歴】１４年前頃より右側下顎前歯部歯牙の挺出感を自覚するも放置。４年半前某大学口腔外科にて同部位のセメント質・骨形成性線維腫との診断下に腫瘍切除術を施行した。外来で経過観察を行っていたところ、術後１年過ぎにレントゲン所見にて異常治癒を思わせる内部不均一な透過像が認められ、精査の必要性を伝えられたところ、本院での治療を希望し、本院を初診。本院転院後、症状を自覚しないこと、さらに患者の都合にて約2年半は外来にて経過観察を行っていた。初回手術後４年後、当院にて生検を施行し、生検４ヶ月後に全身麻酔下にて下顎骨腫瘍切除術を施行した。以降、外来にて経過観察中である。

写真初回標本x4、初回標本x40、本院手術材料x4（皮質骨との境界部分）、本院手術材料x20、本院手術材料x20（セメント粒様石灰化物）

613：薬疹を疑った1例市立堺病院　病理・研究科(1)、関西労災病院　病理科(2)、皮膚科(3) 和田直樹1)、山内道子1)、森野英男2)、大前あゆみ3)、三浦宏之3)、足立　準3)
投票結果 8 2 1	Linear IgA bullous dermatitis Dermatitis herpetiformis Drug eruption
検討結果	Linear IgA bullous dermatitis
症例	６０才代後半、女性
経過	【既往歴】高血圧、高コレステロール血症【現病歴･現症】約２年前、近医整形外科で右膝関節痛に対しボルタレン(酸性抗炎症剤)の投与をうけ、また、内科で高コレステロール血症に対しメバロチン(HMG-CoA還元酵素阻害剤)の投与をうけ、同時に内服したところ、４日目より、指頭大までの紅斑及び水疱がほぼ全身に生じた。掻痒感はなかった。近医皮膚科受診し、７日目よりボルタレン、メバロチンの服用をやめ、以前より服用しているアムロジン(Ca拮抗剤)だけにしたうえで、セレスタミンを6日間内服するとともにリンデロン-VGを外用するも、次第に皮疹が増え、全身倦怠感も出現。２０日目に総合病院皮膚科に入院し、背部の小水疱を伴う環状になった紅斑から生検を施行し、蛍光抗体法も行った。診断確定後、プレドニン、レクチゾール(ジアフェニルスルホン)投与にて皮疹改善。５５日目の診察にて水疱の新生はなく、症状も落ち着いている。【病理組織学的所見】表皮下水疱を認め、水疱内に好中球を主体として好酸球も少数混じる表皮下膿疱の形成を認める。また、真皮浅層の血管周囲にリンパ球・好中球浸潤を認める。やや拡張した血管もみられ、周囲に浮腫を伴う。subepidermal vesicular dermatitis、neutrophils prominentのパターンを示す病変である。蛍光抗体法を行ったところ、表皮基底膜、水疱蓋、水疱底部にIgAの線状沈着がうかがえた。IgG、C3の沈着は認めなかった。
写真	体幹に生じた水泡を伴う紅斑、背部の小水泡を伴う環状になった紅斑、IgA、対物×4、対物×10、対物×40その１、対物×40その２

614：肝腫瘍の一例大阪労災病院　臨床病理科大橋寛嗣、川野　潔
投票結果 11　 3　 1　 1　 3　 1 1　 2　 1	Angiomyolipoma PEComa Atypical adenomatous hyperplasia Paraganglioma Liver cell adenoma 　　うちclear cell variant Hepatocellular carcinoma (clear cell type) Metastatic carcinoma 　　うち腎癌
検討結果	Angiomyolipoma
症例	３０歳台後半、女性
経過	【既往歴】左卵巣嚢腫(endometriotic cyst)摘出術、子宮内膜症(1年前にダナゾール内服6ヶ月継続) 【現病歴】自覚症状は無し。検診にてエコー上、肝S5領域に径35ｍｍの陰影を指摘され、2ヵ月後肝生検を当院にて施行。検診より4ヶ月後に肝部分切除が施行された。【画像所見】CTにて35mmの結節はiso densityで、造影にて均一なearly enhancementが認められた。血管造影では腫瘍の中心から車軸状の血管増生がみられた。【血液検査所見】HBV, HCVは陰性。AFP, PIVKA II, CEA, CA19-9は基準範囲内。その他、CBC、生化学所見に異常はみられなかった。【肉眼所見】腫瘍は25×20mmの楕円形で、肝実質との境界は明瞭で被膜は認めず、黄褐色から茶褐色の色調を呈する充実性の腫瘍であった。
写真	マクロ1、マクロ2、ミクロ1、ミクロ2

615：腹壁腫瘍の１例大阪赤十字病院　病理部(1)、外科(2) 新宅雅幸1)、山中健也2)
投票結果 5　 1 1 2　 1　 4　 2　 1　 2　 1　 2　 1　 1	Liposarcoma 　うちMyxoid 　うちDedifferentiated Malignant fibrous histiocytoma Sclerosing epithelioid fibrosarcoma Solitary fibrous tumor Pleomorphic hyalinyzing angioectatic tumor Extraskeletal astrocytoma Spindle cell lipoma Giant cell angiofibroma Benign (atypical) fibrous histiocytoma Epithelioid hemangioendothelioma Myoepithelioma
検討結果	Solitary fibrous tumor
症例	７０歳代前半、女性
経過	【病歴ならびに経過】自覚症状なし。４年ぶりに受診した人間ドックにて、CTで右腎前方に径約８cmの腫瘤が見出され、開腹手術を受けた。術前の画像診断は脂肪肉腫の疑い。腫瘍は前腹壁の軟部組織から発生しており、広基性ポリープ状で、腹膜を被って腹腔内に浮遊するように突出し、腹腔内諸臓器との癒着はない。腹水なし。大きさ約８×５×５ｃｍ。腫瘍の全摘出と腹壁の再建を行い。術後経過は良好。
写真	マクロ、ミクロ1、ミクロ2、ミクロ3、ミクロ4

616：若年女性に発症した肺腫瘍の一例大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター　臨床病理検査科(1)、呼吸器外科(2) 永野輝明1)、佐々木尚子2)、安川元章2)、桂　浩2)、岩崎輝夫2)、中川勝裕2)、河原邦光1)
投票結果 18 1 1	Choriocarcinoma Poorly differentiated carcinoma with trophoblastic differentiation Gestational trophoblastic disease low risk
検討結果	Poorly differentiated carcinoma with trophoblastic differentiation
症例	２０歳代後半、女性
経過	【主訴】左肺異常陰影【出産歴を含む既往歴】４年前、第１子出産。２年半前流産、その３ヶ月後に流産、さらにその９ヶ月後に流産。最終流産の１年後、今回入院の５ヶ月前に第２子出産。【現病歴】入院１ヶ月前より３８℃台の熱発と咳嗽あり近医受診、胸部レントゲン検査にて左肺に異常影指摘され、肺炎として抗生剤処方された。症状改善後も異常影残存するため　胸部CT施行、肺癌疑いにて当院紹介され、精査加療のため入院した。入院後、経気管支生検行ったが有意な所見得られず、腫瘤摘出術施行された。【検査所見】（術前）血液・生化学検査で特記すべき所見なし、CEA 0.7 ng/ml（正常<5）、NSE 25.5（<10）、CYFRA 1.5（<3.5）、SCC 0.9（<1.5）（術後６日目）hCGβ 0.4ng/ml（<0.1）（術後16日目）hCG 13mIU/ml（<1.0）【画像所見】胸部レントゲン：左中肺野に3.0×3.3cmの結節影。胸部CT：左S3に3.0×2.5cmの充実性腫瘤。【病理肉眼所見】腫瘤は左肺上葉の肺実質内に存在し、割面は2.7_2.3cm大、壊死・出血を伴った褐色の充実性病変。
写真

617：健診にて右胸水指摘され，肺腫瘍が疑われた１例田附興風会北野病院　臨床病理部(1)、胸部外科(2)、京都大学付属病院　病理部(3)、大阪歯科大学口腔病理学(4) 鷹巣晃昌1)，河野文彦1)，香月奈穂美1)、石田久雄2)、吉澤明彦3)、奥野知子3)、和唐雅博4)
投票結果 8　 2 11　 1 1 2	Reactive pleuritis うち　Fibrous (Malignant) Mesothelioma うち　Biphasic うち　Desmoplastic Adenocarcinoma
検討結果	Malignant mesothelioma, desmoplastic
症例	５０歳代前半、男性
経過	【主訴】胸水精査目的【現病歴】当院受診2ヶ月前、健診にて右肺の葉間に胸水指摘され、1ヶ月ほど後、某院入院。右胸水の試験穿刺を行うも細胞診Class II。 ADA30。5、喀痰塗抹陰性、有意な菌なし。胸水の排液試みるも、600ml程度しか引けず、画像上も改善みられないことから、本人の希望にて当院転入院となる。【入院時検査成績】（検体検査成績：省略）　胸部造影CT:右胸郭に胸水大量貯留し、液面形成。トロアカーチューブ挿入。肺実質内に複数のmassを認めるが、造影効果はほぼ均一でatelectasisともmalignancyとも判別できず。【入院後経過】入院当日トロアカー留置を施行して、胸水の排水と分析を行うも悪性所見を認めず、気管支鏡下、可視領域に異常なく、洗浄も炎症所見のみであった。しかし胸水は浸出性で胸水中CYFRA140ng/mlや硬い印象をうける画像など悪性が疑われたため、縦隔鏡施行を試み、入院15日目に胸部外科転科。ドレーン抜去部からポートを挿入し、胸腔内観察。多量の胸水とフィブリン塊あり。上肺野は胸壁と癒着し、肺尖部までの観察は不可能。下肺野は圧迫性無気肺様に折りたたまれた状態であった。壁側胸膜の術中凍結診断を行った。結局、剥離困難にて閉胸した。永久標本とともに組織確定診断を行った。
写真	617_1.jpg、617_2.jpg、617_3.jpg

618：口蓋腫瘍の1例大阪歯科大学　口腔病理学(1)、口腔外科学第二(2) 富永和也1)、和唐雅博1)、益野一哉1)、大西祐一2)、覚道健治2)、田中昭男1)
投票結果 14　 3 4　 1　 1　 1	Mucoepidermoid carcinoma うち　Low grade Mucinous adenocarcinoma Acinic cell carcinoma Adenocarcinoma Malignant pleomorphic tumor
検討結果	Mucinous adenocarcinoma
症例	５０歳代、男性
経過	【主訴】左側口蓋部の腫脹【既往歴】直腸ポリープ【現病歴】約２か月前から左側口蓋部の腫脹を自覚していたが，無痛性のため放置していた。症状に変化はないが、近医の診療所で相談したところ精査をすすめられ、本学附属病院口腔外科を受診した。初診時、顔貌は左右対称で、触診による所属リンパ節の腫脹はみられなかった。左側硬口蓋後方部に約７×６mm大の腫脹を認めた。腫脹は一部発赤を伴い弾性硬で、周囲に硬結を触知した。しかし、圧痛は認められなかった。 MRI所見：Ｔ１強調像は低信号であり、内部性状は均一で、Ｔ２強調像は高信号の病変を呈した。【処置および経過】口蓋部唾液腺腫瘍の疑いで、局麻下で生検を施行し、「粘表皮癌の疑い」との病理組織学的診断を得、約1か月後、全麻下にて上顎骨部分切除術を施行した。
写真	生検、摘出物、摘出物2

619：涙腺腫瘍の１例滋賀医科大学附属病院　検査部(1)、病理部(2) 石田光明1)、齊藤英生1)、九嶋亮治2)、角谷亜紀1)、岡部英俊1、2)
投票結果 15 2 1 1 1 1	Carcinoma ex pleomorphic adenoma Pleomorphic adenoma Malignant mesothelioma Polymorphic low-grade adenocarcinoma Malignant myoepithelioma and adenoid cystic carcinoma Ductal type carcinoma
検討結果	Ductal carcinoma ex pleomorphic adenoma
症例	７０歳代前半、女性
経過	【主訴】左眼球突出【既往歴】虫垂炎（３３歳）、胆嚢摘出術（６０歳）【現病歴】１７年前に左眼球突出、結膜充血を自覚し、近医を受診。CTにて左涙腺腫瘍を指摘され、当院眼科受診。腫瘍摘出術が施行され、病理組織検査にて多形性腺腫と診断された。以後近医にてフォローされていたが、一昨年より再び左眼球突出を自覚し、MRIにて左涙腺に約3cm×1.5cmの腫瘍を指摘され当院眼科を手術目的にて受診。多形性腺腫の再発が疑われ、腫瘍摘出術が施行された。
写真

620：家族性が疑われる多発性セメント質骨形成線維腫の1例大阪大学歯学部　口腔外科学第二(1)、口腔病理学(2) 應谷美幸1)、金ヵ朋彦1)、藤田祐生1)、墨　哲郎1)、松本　憲1)、豊澤　悟2)、岸野万伸2)、由良義明1)
投票結果 7　 1 1　 1　 1　 1	Cemento-ossifying fibroma うち　Familial Cemento-osseous dysplasia Cementifying fibroma Juvenile ossifying fibroma Fibrous dysplasia
検討結果	Cemento-osseous dysplasia
症例	１０歳代前半、女児
経過	【主訴】左側頬部の腫脹。【既往歴】生下時にHirschsprung病。【家族歴】実母、伯父、祖父および曽祖父に顎骨腫瘍。【現病歴】左側頬部の腫脹を自覚し近歯科医院を受診。レントゲン撮影にて下顎左側臼歯部に透過像を認めたため、紹介により来院。【処置および経過】初診時、左側頬部がびまん性に腫脹し、口腔内所見として上下顎両側に骨膨隆を認めた。CTにて上下顎両側4部位に充実性の腫瘍性病変を認めた。確定診断を得るために初診より１ヶ月後、左側下顎小臼歯部から生検を行った。以後外来にて経過観察していたが左側の膨隆が著明になってきたため、６ヶ月目に全身麻酔下に上下顎左側の腫瘍摘出術を施行した。腫瘍は被膜を有しており白色充実性で、分割し全摘出した。
写真	弱拡大、中拡大、強拡大、CT-low、CT-up

621：下顎骨に発生した腫瘤の1例大阪大学歯学部　検査部(1)、口腔病理学(2)、口腔外科学第一(3) 中原寛和1)、福田康夫1)、岸野万伸2)、豊澤　悟2)、伊藤千聡1)、下山玲子1)、田中千寿美1)、瀧　康高3)、山西　整3)、内橋隆行3)、古郷幹彦1、3)
投票結果 6 1 1 1 1	Cemento-ossifying fibroma Fibrous dysplasia Aggressive ossifying fibroma Cementoma with low grade malignancy Osteoblastoma
検討結果	Cemento-ossifying fibroma
症例	４０歳代後半、女性
経過	【主訴】下顎骨前歯舌側部の膨隆【既往歴】子宮筋腫（経過観察中）、腎臓結石、甲状腺嚢胞、胆嚢ポリープ（いずれも経過観察のみ）、ボーダーライン症候群（某病院にて投薬を受けている）【家族歴】父親、前立腺癌治療中【現病歴】１４年前頃より右側下顎前歯部歯牙の挺出感を自覚するも放置。４年半前某大学口腔外科にて同部位のセメント質・骨形成性線維腫との診断下に腫瘍切除術を施行した。外来で経過観察を行っていたところ、術後１年過ぎにレントゲン所見にて異常治癒を思わせる内部不均一な透過像が認められ、精査の必要性を伝えられたところ、本院での治療を希望し、本院を初診。本院転院後、症状を自覚しないこと、さらに患者の都合にて約2年半は外来にて経過観察を行っていた。初回手術後４年後、当院にて生検を施行し、生検４ヶ月後に全身麻酔下にて下顎骨腫瘍切除術を施行した。以降、外来にて経過観察中である。
写真	初回標本x4、初回標本x40、本院手術材料x4（皮質骨との境界部分）、本院手術材料x20、本院手術材料x20（セメント粒様石灰化物）