日本生体防御学会 概要

日本生体防御学会 会長からのご挨拶

平成27年1月より日本生体防御学会会長を仰せつかりました松崎吾朗と申します。何卒よろしくお願い申し上げます。日本生体防御学会についてご存じない方も多いかと思いますので、まず簡単に本学会の特徴についてご紹介させて頂きます。

 日本生体防御学会は、哺乳類から魚類までを含む脊椎動物から無脊椎動物、植物に至るまで、多様な生命体が外来性異物(ウイルス・細菌・真菌などの病原微生物、寄生虫、プリオンなど)あるいは異物的自己成分(老廃成分、損傷細胞、腫瘍細胞など)を排除することにより、生命の成立と恒常性を維持するシステムを「生体防御機構」としてとらえ、この生体防御の仕組みを解き明かすことを目指す研究者の組織です。「生体防御機構」自体が非常に興味のある生命システムであるのみでなく、その仕組みが解明されることによって、各種生命体の「生体防御機構の破綻あるいは暴走」から生じる様々な感染症や疾患の病態が明らかになり、さらに「生体防御機構」を再構築し制御する方法を研究することで前記の疾患の治療や予防法の開発を加速することが可能になります。また、本学会の特長である、多彩な生命体を研究対象とする研究者の交流により、新鮮な視点から自分の研究への示唆を得ることが可能であり、研究の新たな発展の駆動力となっています。

 本学会が提唱する「生体防御学」の社会的認知は、1980年代初頭に遡ります。その当時、免疫学、微生物学、感染病理学、系統発生学などの多様な学問領域において、異物処理を基盤とする生命の恒常性維機構を、哺乳類等に特化せずあらゆる生命体を対象として包括的に把握し、それを生体防御という生命体に普遍的な現象として理解しようとする機運が高まりました。当時、九州大学生体防御医学研究所の野本亀久雄教授を中心に、多様な領域から志を同じくする研究者が集まり、東京大学医科学研究所の講堂で生体防御シンポジウムが設立され、植物、昆虫からマウス、ヒトに至るまでの多彩な生物の防御機構についての学際的研究者を組織することになりました。その後、生体防御シンポジウムは生体防御学会として平成2年に発展的に再編成され、野本亀久雄、金ヶ嵜史朗、仙道富士郎、岡田秀親、光山正雄、吉開泰信、川上和義の歴代会長のもと、学際的で包括的な学会活動を続けて参りました。

 日本生体防御学会は、会員数300名ほどの比較的小さい学会ですが、会員間の交流が親密であり、建設的な情報交換が年一回開催される学術総会を中心に行われています。また日本生体防御学会奨励賞の授与により、若手研究者の研究の発展を支援しています。細分化を指向する現代生命科学の潮流のなかで、日本生体防御学会の包括的な学問態度は、ユニークかつ大きなブレークスルーにつながるものと期待していますし、それを目指して学会運営を進めていく所存です。ぜひ一度、日本生体防御学会にご参加頂き、「生体防御学」のアプローチのおもしろさと可能性に触れていただければ幸いです。

 平成27年1月 会長 松崎吾朗 (琉球大学熱帯生物圏研究センター)


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